The collection of MARIBAR 

マリバール 文集・ギャラリー

運動オンチ

2004-11-28 23:18:17 | 文章道場
 子供の頃私はデモに動員されていた。親に連れられ、握りこぶしを揚げ、何を主張しているのかわからないが、一緒に何かを叫びながら歩いた。普段は危険だからと遊ぶことを禁じられた、広い道路を大勢の人と進んでいくのが楽しかった。

 それから二十年以上の時を経て、メーデーに行かされたり、選挙応援をしたり、首相退陣を迫る座り込みをしたり、集会やパレードみたいなデモに参加したりした。政治信条があって、社会的問題を解決するために積極的に行動したわけではない。

 運動のスタイルは変わらぬオールドファッションで、格好良くはないけれど面白そう。近所の祭を見に行くようなものだ。踊り手に混じってちょっと踊ってみたりして。

 ここ数年、盗聴法、住民基本台帳法、個人情報保護法など、国家が個人の管理を強めようとする法案が次々成立した。反対する市民運動はその都度あったが成果は全く無かった。

 市民運動が歴史や制度を変えたことがあったのか。薬害エイズや北朝鮮拉致事件などの問題では市民運動がそれまでの流れを変えたかのように見えた。「命、家族を救え、守れ」というフレーズは感情に訴えることができ、わかりやすい。

 日々の個人の自由な活動が脅かされ、直接被害を受けるのは意図の見えにくい法律の方だ。しかし多くの人は、どうせなら流れを変えそうな運動に参加して、「みんなで一致団結して得た成果は大きかった」と感じたいのだろう。
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ポピュリズム万歳

2004-11-15 16:11:15 | 文章道場
 康夫ちゃんは小泉、石原と同じメディア利用にたけたパフォーマンス好きのポピュリズム的政治家として見られる。しかし康夫ちゃんのパフォーマンスは選挙と権威のためではない。行政サービスのありかたを体現しているのだ。

 今や誰でも知っているのに「ガラス張りの知事室」と言い続けるしつこさ。「国政、東京ばかり見ている」という声もあるが「もうわかった」と言いたくなるほど信州信州長野長野だ。

 エリートへの反感、嫉妬を利用するのがポピュリストなら、「ポピュリズムはファシズムに繋がり、危険だ」と批判する方にも激しい嫉妬がある。独裁者!とくってかかったり苛めたり。迎合出来ない大衆を見下したり嫌悪したり。

 「『大衆迎合主義』と訳されがちなポピュリズムとは、冷静に捉えれば『判官贔屓』の精神です」と康夫ちゃんは言う。そして日本の善男善女は「小泉ワンワン君が、“弱きを挫き、強きを助ける”逆・判官贔屓な政事屋だと見抜けぬ儘なのです。いやはや」と溜息。

 康夫ちゃんの役割は古い権力、悪しき体質を壊し、「お上と下々」の意識を「サービスを提供するものと税金を払ってサービスを受けるもの」に変えることだ。当然軋轢はある。

 次は根回しもやって議会を取り込め、ポピュリズムを超えろって、そんなの無理。「何を言ったか、やったか」を重視すればいいのでは。長野ルネサンスを終えたら是非東京へ。待ってるわ、康夫ちゃん。
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警察を利用する

2004-11-08 01:19:24 | 文章道場
 JRや東京メトロでは駅の貼紙でも車内放送でも「警察のご指導とご協力を頂いて、安全対策に努めてまいります」などと言っている。これは乗客よりも警察への配慮を感じて、非常に不快だ。なぜ警察にへりくだるのだろう。

 「テロの危険が高まっている。警備に行ってやる」とかなんとか言われ、見回りを有難くお迎えしているのだろうか。「会社が抱える諸問題につきましても何かとご配慮いただければ、天下りのポストもご用意できます、ハイ」なんてやり取りが聞こえそうな気さえする。

 昨今不祥事・犯罪の多い警察署ほど暴力団追放運動に熱心だという。暴力団排除を強く訴えることで警察のワルサを隠そうとする、浅ましい魂胆がみえみえだ。

 警察は人々が暴力団被害を訴えるから動くのではなく、暴力団の持つ利権を狙って動いている。

 そんなキャンペーンに協力する必要があるのか。

 仮に必要があるとしても公務員の仕事、行政サービスなのだから、後退するな、繋がりを切れと指図され、はっぱをかけられるほどのことでもない。

 「反暴力団の文化」よりむしろ「警察に頼らない文化」をつくる必要を感じる。もはや犯罪の予防や捜査で警察を頼ったり期待するのはやめた方がいい。警察の情報や手法も使えるものなら利用する、ぐらいの意識でよろしいのでは?
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大統領と児童会長

2004-11-03 02:51:50 | 文章道場
 「アホでマヌケなアメリカ白人」のトップに立つブッシュと、魔法使いのおばあさんのような風貌でベトナム戦争の英雄ケリーと、どちらが勝っても面白くない。

 前回大統領選の混乱の反省から、投票システムを変更した選挙区が増えたという。

 しかし新しい電子投票機の重大な欠陥や、投票機メーカーと共和党の繋がり、黒人有権者に対する投票妨害行為などは以前から指摘されている。

 オハイオ州では有権者登録の申請用紙が薄い、などという理由で多くの申請が却下されたとか。

 この分では2000年と同じ混乱が繰り返されるだろう。

 アフガニスタンでも10月9日に大統領選挙が行われた。

 アメリカの駐アフガニスタン大使が立候補取り下げを説得して回ったとか、一人が何回も投票する不正が行われたという訴えがあった。

 神に守られた民主主義の超大国も、戦国時代に戻ってしまった最貧国も、大統領は不正の横行する選挙で選ばれる。

 私が選挙の有権者となった最初の記憶は小学校の児童会長選挙だった。同じクラスの仲の良い女子が立候補した。

 担任教師は「同じクラスだからとか友達だから、という理由で選んではいけない。何を約束したかで決めるのだ」と言った。

 友達は立派な立候補演説をし、学校初の女子児童会長となった。

 誠にキレイな選挙、清き一票であった。
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