The collection of MARIBAR 

マリバール 文集・ギャラリー

10月2日 『おちゃのこ菜々』,『なすび』

2006-10-03 19:39:23 | 抱茎亭日乗メモ
 8月20日以来連絡が途絶えた母。
メールも留守電メッセージも無反応。
また口内炎でもできたか?元気がなくなったか?

私の恋人が心配して「家の固定電話に電話してみたら?」と言う。
家族割引があるのでケータイで連絡を取ることは母娘の取り決めだ。
だから固定電話は使いたくない。

しかし、そんな拘りより恋人優先。
母のためではなく、恋人に報告するために固定電話にかけてみる。

「ああ、ごめん」と母。
「生きてたんだ。どうしたの。電話してよ」
「ごめんごめん」
すっかり元気がない母。病院は行ってないらしい。
「歯医者のお金はどうなるの?」
「用意してあるけど」
「こっちは必死なのに!連絡してよ!」
「そうねえ」
もーう!

 というわけで東久留米で会うことになる。15分遅刻。
私は1ヶ月以上待たされていたので、母も怒らず。

いつもの『おちゃのこ菜々』。この店のテーブルの脚は不快な形。
つま先が上がった状態になって足が疲れる。
それを避けようと座敷席にしてもらったのに、テーブルは同じ作りでガッカリ。
いっそのこと青竹踏みのようになっていれば、気持ちいいのに。

母は特に落ち込む原因があったわけではなく、GWから続いた躁状態の疲れが出たのではないかと思われる。
私としては少し元気がないぐらいがちょうどいいような気もするが、心療内科の受診を勧める。

私が話している最中に「もう帰りたい」と言ったので、結構ヤバいかもしれないとも思う。
頭は正常だし、死にたいとか、食欲が全くないとか、そういうことはない様子。

「寺島しのぶが樋口一葉やるでしょう」
「知ってる」
「お母さん好きだろうから、絶対『行く!』って言うと思ってメールしたのに無反応で」
「5日に見に行くわよ」
「なにー?!失礼しちゃうわね!」
「ごめん」
全然やる気が出ないとか、どこへも出掛けないとか言って!
まあいいや。好きにしてくれ。

歯の治療代をもらって、私は大助かり、大感謝。

 飲み足りないので、一人で目白のバー『なすび』に行く。
母の話、日記の話。『太古八』の羽賀さん登場。謀議いろいろ。ああ楽しい。
結構飲んで、あまり記憶がない。

 帰宅して、化粧したまま、服のまま寝てしまう。

恋人のおやすみコールにはちゃんと出たのか?それだけが私の目下の心配事。
私が母を心配するよりも、よっぽど母を気にかけている、優しい、素敵な人なのであった。
ああ有難い。ああ幸せ。
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10月1日 ジェイソン君

2006-10-03 17:27:05 | 抱茎亭日乗メモ
 お腹ぺこぺこでコンビニを横目に通り過ぎる。
外国人が店から出てくるところだった。

地下鉄駅構内のカフェでベーグルを買おうと思っていたら、先ほどの白人男性が話しかけてきた。
かなりたどたどしい日本語で、恥ずかしそうだった。

「アナタノヘアスタイルハトテモステキ」
「わあ、ありがとうございます」
「ショウガッコウノクラスメートガアナタノスタイルトオナジ」
「へえ。小学校。何年前?」
「ニジュウネンマエ」
「おお、それはなかなかアヴァンギャルドな小学生ですね」
「ンー」

言いたいことがいろいろありそうなので
「Do you speak English?」
と聞いてみたらパッと明るい表情になって、
「Oh yes!」

で、以降は8割ぐらい英語。
とにかく私は腹ペコなので、ベーグルを買い、カフェで一緒にお茶をする。
自己紹介。ジェイソン君は都心に住む、アメリカ国家機関の職員だった。

20年前といえば、私もパンクが好きでロンドンに憧れて、東京でもアメリカでもモヒカン刈りとか奇抜なファッションが流行ったよね、なんて話。

名前は怖いが、ピーター・バラカンのような落ち着いたインテリジェンスを感じさせるジェイソン君。

ロンドン時代、私はイギリス人の友達ができなかった、という話。
「ドウシテ?」とジェイソン君。

ジェイソン君は今年の初めに日本に来たが、職場にいる日本人は皆完璧な英語をしゃべるので、日本語を練習する場面がないという。
やはり日本人と友達になるのは難しいとのこと。
「それは多分、私がロンドンでイギリス人の友達がいなかったのと同じ。イギリス人と日本人は似ているところがあるから。」
なんて異文化コミュニケーション論。楽しい。

スペイン人のヘアメイクアーティスト ベゴニアさんがいなくなってから、私はほとんど英語を喋る機会がない。
私の英語は酷いが、ジェイソン君の日本語も拙いので、あまりコンプレックスを感じずに話せるのも助かる。

「I feel 不思議 this situation」
「フシギ?」
「不思議」を英語で言うと「ワンダフル」?「ミステリアス」?「ストレインジ」?
どれも違うような。日本語は難しい。

メールアドレスを聞いて、「話しかけてくれてありがとう」「話ができて楽しかった」と言って別れる。

帰宅後、早速メール。『ヘアカタログ』のURLを教える。
かなり楽しんで頂けた様子。

> Minna no shashin ga DAISUKI desu!

いいねいいね。

私の友人が米国商工会議所で働いてる。
聞いてみたら彼女の同僚をジェイソン君はよく知っていた。
「世間は狭いね」とはアメリカ人も感じるものらしい。

> It was the most pleasant moment I've had in Tokyo for a long time.

とまで言ってくれちゃって、嬉しいねえ、英語は表現が大げさで。

しみじみ、人生とは出会いと別れの繰り返し。
こういう「不思議」をたくさん楽しみたい。
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