Tokyo at rain and Tokyo at night MOVIE!

東京の夜景動画ブログです。

Fall Europa

2008-01-09 23:59:28 | 撮影とテーマ設定2008~09年3月
Shinjyuku009


今日は朝から曇りがちなところに、午前中から仕事上の厄介ごとをいくつか処理しなければならなかったので、昼すぎにはすっかり憂鬱な気分になっていた。こういう時には、無理せずおとなしくしているのが一番だけど、それが出来れば苦労は無いねってのが現実だねぇ~



ただ、仕事とは反比例するかのようにプライベートは好調で、また今年に入ってからは鑑賞した展示が全てアタリという、なんともかんとも恐怖劇場アンバランスな日々が続いている。プライベートのことはさておくとして、展示は杉本博司氏の「漏光」と高橋ジュンコ氏の「wreck 」に、荒木珠奈氏の個展と、やはりなんだかんだで表現手段としての写真に寄ってはいる。とはいえ、表現手段の表面的な類似やカテゴリー別けとは全く無関係に、作家の視程が「いわゆる写真の領域」を大きく超えており、それぞれに極めて刺激的な展示だった。



もちろん、週間アエラ2008年1月14日号の「現代の肖像」で取り上げられたように、杉本博司氏は既に評価の定まった大御所作家といえ、今回ギャラリー小柳で展示されているのはいずれも代表作なのだから、まぁよくて当たり前といってしまえばそれまでだ。しかし、個人的にはオリジナル作品の大きさやインスタレーションの仕掛けなどから、杉本氏の視程が「いわゆる写真の領域」を大きく超えていることを「体感」する内容だったと思う。問題は、それが「一回性の再現不能なアウラ」に回収されてしまうものなのか、あるいは「それでもなお複製可能な存在」と見なしうるものなのかだが、自分のような浅学無頼の徒にはわかるはずも無いのだろう(インスタレーションを構成している物質的存在に、その答えは隠されているような気がする)。



次に荒木珠奈氏の個展だけど、なによりもまずギャラリーの空間的特性を存分に利用した構成がすばらしく、さらに制作技術も非常に高い水準に到達しておられるように思え、様々な意味で作家の力量に圧倒される展示だった。個人的には、版画という技法へのフェティッシュな愛着コミの評価となってしまうのだけど、その分を割り引いても多くの方に鑑賞していただきたい内容だと思う。



最後に高橋ジュンコ氏の「wreck 」だけど、こちらは自分自身の興味や関心が、作家の視程と全くかけ離れていることが却って興味深く、またその距離感が自分にとってのツボを刺激した展示だった。もちろん、この感覚はあくまでも受け手側に内在する個人的な要素が引き起こしたものに過ぎず、どこにも普遍性は存在していない。だが、それでも「ある特異な背景を持つ海難」に対して、作家が写真という表現手段を用いて制作した結果と、単に記録として写真という媒体を用いることとの相違について、あれこれと考えをめぐらせたのは面白い経験だった。



というわけで、以下のリンクをおまけにはっておく。機会があれば、海難そのものの背景を知った上で、作品を鑑賞するのも面白いのではないかと思う。



貨物船「HUAL EUROPE(ファル・ヨ-ロッパ)号」座礁油流出事故に対する対応状況について
ファル・ヨーロッパの事故を思い出して
HUAL EUROPE


杉本博司 「漏光」
会場: ギャラリー小柳
スケジュール: 2007年12月06日 ~ 2008年01月12日
年末年始休業: 12月28日〜1月7日
住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル8F
電話: 03-3561-1896

荒木珠奈 展
会場: 巷房階段下
スケジュール: 2008年01月04日 ~ 2008年01月12日
住所: 〒104-0061 東京都 中央区 銀座1-9-8 奥野ビルB1
電話: 03-3567-8727 ファックス: 03-3567-8727

荒木珠奈 展
会場: Space Kobo & Tomo
スケジュール: 2008年01月04日 ~ 2008年01月12日
住所: 〒104-0061 東京都 中央区 銀座1-9-8 奥野ビルB1
電話: 03-3567-8727 ファックス: 03-3567-8727

高橋ジュンコ 「wreck」
会場: 森岡書店
スケジュール: 2007年12月17日 ~ 2008年01月12日
住所: 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号 森岡書店
電話: 03-3249-3456

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