今宵の一枚は向井滋春の「Pleasure」、1980年の制作でレーベルは日本コロンビア。フュージョンミュージック真っ盛りの時代にNYで録音された、アルバムである。15年ぶりに針を落としたが、録音の良さに驚いた。左右に良く広がり、各楽器の定位も明確で心地よい。デジタル録音ではないがいやだからこその素晴らしい録音である。向井滋春は、誰か忘れてしまったが、Jazz系のコンサートにゲスト出演しているのを聴き、トロンボーンの魅力を教えてくれた。で、このLPの購入となった。
このアルバムメンバーが凄い。Steve Gaddを筆頭にWarren Benhardt、Jeff Mironovそして川崎燎。正直このアルバム、向井滋春の影が薄い。録音時代マイクがオフ気味に聴こえるし、周りに腕利きたちに煽られて肩身が狭い感じだ。巨匠松岡直也のプロデュース&アレンジ。緻密な構成で素晴らしい編曲だが、向井滋春の奔放さがでてこないのが残念。
アルバムの白眉は川崎燎。存在感が別格で、クレジットにGuitarとだけでなく、solo(A面2曲目)とわざわざ記されている。聴けば納得。圧倒的な演奏で、Steve Gaddが翳むほどである。日本では残念ながら知名度が低いが世界的に評価の高い人で、もっと彼に焦点が当たれば、と願っている。個人的にはJeff Beckより上手い、と思う。今日、JeffはRockギタリストではなくJazzギタリストとして評価されている。
sideA
1.Dragon Fanatic
2.Wind Bell
3.Mirage
sideB
1.Still miss you
2.From the lonely afternoon
3.Don't touch may mustache
4.Hudson Breeze
(personnel)
向井滋春(tb)
松岡直也(keyboard)
Joge Dalto(piano)
Warren Bernhadt(Obercheim8voice&ob-box)
Ed Walsh(mini moog)
Jeff Mironov(guitar)
川崎燎(guitar)
Steve Gadd(drums)
Neil Jason(bass)
Raphael Cruz(conga)
Nana Vasconcellos(percussion)