[書籍紹介]
佐伯真理子(76歳)は、
変わり映えのしない毎日に辟易していた。
15年前、保育園園長の仕事を引退した今、
言葉をかわす相手はスーパーの店員か
近所に住むやはり独り身の老女、
年に数回会いに来ては嫌みをいう兄だけだ。
同じことを繰り返すばかりの日々では、
記憶も感情も更新されない。
30年前に夫は出て行って、
離婚届が送られ、
慰謝料代わりに家はもらった。
兄の話では、
離婚成立後、元夫は若い美人と結婚して、子供をもうけたという。
この年で新しいことに挑戦することもできず、
新たな友達も作れない。
貯蓄が減るのも不安で、倹約ばかりの食事も味気ない。
最近、近所の老婆が孤独死し、
自分もこのまま死んでいくのかと、不安の毎日だった。
そんな真理子の生活に変化が起こる。
台風の夜、庭にけがをして倒れていた加代(73歳)を助け、家に泊める。
聞けば、加代は家賃が払えず、アパートを締め出されて、
山口から知り合いを頼って上京したのだという。
ならば、来月の年金支給日までいたらいい、と
しばらく一緒に住むことに。
話す相手がいることがこんなに新鮮かと驚く毎日。
食事も二人だと楽しい。
一緒に買い物もし、散歩をすれば、新しい発見ばかり。
次第に、真理子は加代なしの生活が考えられなくなって来る。
別れの日が近づくと、
加代は自分の故郷の山口に一緒に行こうと提案する。
新幹線の切符の手配、ホテルの予約も
全部加代がやってくれた
久しぶりの旅に心が浮きたつ真理子。
このあたりで、
この話、こんな風に転がっていくのではないか、
と予測したら、見事に的中。
そういう意味で、先が読める話だった。
だいたい、
題名の「死ねばいい! 」に副題として、
「呪った女と暮らします」なんて書いたら、
底割れしてしまう。
もっとも、こうした副題に惹かれて読む人もいるのだろうが。
ただ、独居老女性の孤独や悩みはよく描けていた。
話もテンポ良く展開し、
テレビドラマ化に向いているかもしれない。
ところで、タグに「死ねばいい! 」と書いたら、
「タグ名: 死ねばいいは、受け付けられません」と拒絶された。
そういう言葉は使ってはならないらしい。
題名は受け付けてもらえたから、題名ならいいようだ。
はて。
私はフワちゃんか。
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