月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

徒然草英訳/「色」から、lovemaking?

2010-03-14 21:13:28 | コラム
Donald Keene訳の吉田兼好「徒然草」を、英語の勉強にと読み始めたばかりのところですが、面白い言葉が出てきたものだなと思ったのが、第三段のところですね。
文中の、but if he has no taste for lovemaking,という部分。兼好さんの文の中に、lovemaking などと訳される内容のもの、ありましたでしょうか? その原文は「萬にいみじくも、色このまざらむをのこは」と始まる部分で、色このまざらむおのこ、その「色」がlovemakingと英語に訳されているわけなんですねえ。
その部分、日本語の現代語訳(1952角川文庫今泉忠義訳のものではありますが)では、「情趣の分からないような男は」となっていて、「色」は「情趣」と訳されているわけです。英訳のものを外国人が読む時に、lovemakingという言葉から、「情趣」という意味合いを感じとれる? もっとストレートな行動、あるいは意味イメージへと向かうのではないですか? 私の持っている学生時代からの古い英和辞書には、lovemaking「n,くどき、言い寄り、求婚」ということになっておりますね。もっと直接的な性行動の意味合いも今は、あるのではないのかな。ドナルド・キーン氏(1922-)と言えば、高名な日本文学の研究者でもあります。心得た訳の筈ですから、ううむ、興味深いところですねえ。そうした訳。
余談ですが、何年か前、近くの船橋駅で待ち合わせの人たちと会っているところの彼を、通りすがりに見たことがありました。80代の半ばというご年齢だったわけですが、そんな年齢とも思えないような印象であったように記憶しています。
コメント
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