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月のmailbox

詩或いは雑記等/小林貞秋発信。

詩-Space  ジョグ終えて

2010-01-31 22:41:41 | Weblog

       ノラ猫
       キャットJを膝に
       乗せて
       誰もいない夜の
       運動公園
       自由広場のベンチ
       背を撫でる
       頭
       鼻の上
       喉から顎
       撫でる
       星空
       園内の暗がりに立つ
       照明灯
       静けさ
       夢幻的
       キャットJと
       命二つ
       夜の時刻
       空気に浸る
       手
       撫でたり
       止まったり
       意識の外
       動いて
       その刻
       永遠
       続く夢など
       滲み
       出て

                          29 January 2010 

詩-Space  消えないままに

2010-01-29 22:51:07 | Weblog
                                                   
          ふいと
          浮かんだ
          言葉
          あるのでその方を向くと
          言葉
          ある
          人に繋がり
          かつてその人から出た
          言葉
          であったことを思い
          甦れば
          ああ
          懐かしいと
          寂しさにおそわれたりも
          するのだ
          もうこの世にはいない
          という事実の
          ふしぎ
          生きているのは
          記憶の中だけ
          という
          ふしぎ

                           27 January 2010
                                                           

詩-Space  消しゴム

2010-01-27 22:45:17 | Weblog
         
         見上げれば
         星空 
         畑地脇の薄暗い道を
         今夜も
         予定の時間
         走る
         いつも
         追っているものが
         あるね
         星空の下
         続くものがたり
         また繋げるようにして
         追っていることが
         あるね
         遠くの明かりなど
         見ながら
         ジョグ
         やりつつ時には
         使うこともね
         消し
         ゴム

                           27 January 2010

詩-Space  ぽつんぽつんと

2010-01-25 22:27:52 | Weblog
        ぽつん
        と食べる
        くつろぎの
        時
        ぽつんぽつん
        と食べる
        何をであるのか
        過ぎた
        あの
        頃
        振り返りたくなる
        ぽつん
        と食べる
        その感じは緩やかで
        ひとつの煎餅
        でも
        今を味わう滋味
        ありそうで
        ぽつん
        亡き母の記憶に
        重なる
        その
        言葉

詩-Space  幻想night

2010-01-22 22:53:16 | Weblog
         幻想
         なのだけれど
         めりめりっ
         くうかんを両手で押し
         開き
         時間も共に
         一日
         二十四時間を十倍に
         伸ばし切るのだ
         という向き
         幻想の
         筈
         なのだけれど
         めりめりっ
         と
         押し開いた空間の
         先にそれ
         ありそうな予感
         など
         する

                          21 January 2010 
         

詩-Space  ウエーヴ

2010-01-20 22:39:04 | Weblog
         あなたがひそかにうたいつづけていた歌
         わたしの聴いたことのない歌でした
         自然とあふれでてきて
         思い出のかなたに漂い伸びていくような
         そんな無垢なひとの思いのかたち
         あるひとに教えられて知りました

         いつもあなたを見つづけてきていながら
         最後まで触れられず触れようともしないで
         去ったあとでおそすぎたことに気づかされる
         そんな扉がいくつも現われ見えて
         思いもしないウエーヴを見せる時間
         揺れはいつまでも引きそうにありません


                        15 March 1991
          

詩-Space  無題

2010-01-17 23:00:57 | Weblog
        あそこ
        あの風に吹かれ
        空間が色変わりしたように見える
        あの場所に立ち昇る炎は
        あそこ
        あの黒みを帯び
        節くれだった太い樹の
        幹にしなだれかかる
        あの薄く物思うひとの脳裏の
        何処かに留まりつづけ
        その見定めがたい熱放つものが
        朧に写し出されたものでもあるのか
        その炎の姿
        その背景透けて見えるような
        冷えびえとした
        いのち
        そのゆらめくものの色合い
        突如の風の異変にでもよるものか
        俄か
        俄かに変わる
        背景
        また生気盛り返すごとくに
        艶めいたもの帯びだして
        それまた誘いに屈するように
        変わるのである
        なんの前触れもなく
        あそこ
        あの場所だけのことでもない
        遍く場所という場所で
        あそこ
        あの場所でのように
        あるもの
        中枢溶かしこむように
        のめりこんできて呆気なくも
        表裏が転換するごとく
        これこそが
        いま眼の前にひらけていること
        生々しく手に触れることができるものと
        幸運の薫り滲ませ
        近づいてくる

                                  2004

        

詩-Space  砕く

2010-01-15 22:28:13 | Weblog
          歯に
          応え過ぎるガギ
          ガギ
          あるいは
          ガグ
          音

          中天に太陽
          おそらくは円形
          かつ
          笑わず
          昇る

          こちらの歯に応える
          ガギガギ
          あるいは
          ガグ
          音
          それは硬すぎて
          食べ物にもあらず
          愛も含まず
          だが
          入りこまずにはいない
          散在するある種
          苦いもの
          額に皺寄せさせる
          迫るもの
          ながらも
          刻苦
          顔歪めてでも
          噛み砕くべきもの
          来るのだ
          来る
          のだ
          迎えて
          砕け
          く
          だ
          け
          き
          れ

          中天には太陽
          おそらくは
          円形
          かつ
          笑わず昇る

                              15 January 2010       

詩-Space  ルフラン

2010-01-13 22:53:26 | Weblog



        久しく姿
        見せないのが薔薇色
        とはいかない
        透明に
        毛の生えた訳ありげな
        色合い
        帯びた顔
        らしきものをのぞかせる
        今日
        というKeyの上
        訳を追えば
        あちらに生まれた隆起
        一夜のもの
        だけではない艶
        帯びて底に沁み渡る
        有難き気配
        なので
        逃さずに膨らませる
        のだとか

                           December 2009
        

         
        

詩-Space  落ちる

2010-01-11 23:37:46 | Weblog
         そこに満開の桜
         見えようと
         天空に満ちる花火
         映ろうと
         季節無縁に
         落ちる時は落ちる
         それに加わるあれらの
         力に
         ゴクロウサマ
         と言おうか
         時には奈落の底まで
         突き落としてくれる
         それら力に
         アリガトウ
         とお礼の言葉述べようか
         となるのは
         ただでは
         起きたくなんかない
         からなんだろうな
         見上げれば
         空
         変わらずで
         ううむ
         余計なこと
         洩らさないのだ
         ひたすら行くしかないのだ
         復活達磨
         言う     
          

                          10 January 2010


         
      

詩-Space  渡る

2010-01-09 22:55:03 | Weblog
         なにがなんだか
         という橋
         どんな顔して渡ろうか
         分かっても
         分からなくても
         時間は
         水澄ましのように
         前に
         万物を
         引き連れていくもの
         だから
         立ち止まれない
         という事情
         あそこの枝に止まっている
         空飛ぶ生きものに
         どう思う?
         などときいても
         仕方のないこと
         なので
         呑み込んで
         なにがなんだか
         分かっても
         分からなくても 
         ああ
         そこで先に光を期待
         するものなんだな
         仰ぎ見る
         思いで
         越えるのか
         運ばれるのか
         その
         通過場
         行く

                         9 January 2010


詩-Space  空虚に陥る

2010-01-08 22:26:48 | Weblog
       その時には
       手に持っている
       なにか
       右回りに腕など
       振って
       空気の球
       銀のボールペン
       ポケットに残る
       コーヒー店の紙ナプキン
       また別の
       空気の球
       あるいは
       ただ掴みたいある
       思いの塊
       なんであれ
       ただ
       投じたかったのだ
       その水面の
       向こう
       向こうに
       むけて

                      8 January 2010

2010-01-05 22:11:25 | Weblog
「銀の鏡だって感覚をもっていたら、みがかれれば痛いと感ずるだろう。だけどつるつるに、ぴかぴかになってしまえば、鏡はそれに映るすべての像を、なんの苦痛も感じずに、激昂することもなく、反射するんだね」

           from グスタフ・マイリンク「ゴーレム」(1915)今村孝訳



こうした言葉が、甦ってくる。なぜにこれらの言葉に魅惑され、引き寄せられるのか。ある境地から、永久に届かない場にいつづける宿命を、感じるからかもしれませんね。憧れ、などという思いも、抱くからでしょうか。



詩-Space  眺め

2009-12-22 23:08:58 | Weblog


         そこに見える道は歪んでいる                
         歪みたくもない道の筈なのだが
         視界の悪い日々がつづくと
         レンズで矯正するのに疲れるのだ
         おどろくほどにひとの姿がなく
         歓呼の一隊が抜いていくべき
         枯れた樹はそのまま
         流れの定まらない風が
         幹に枝になぶるように絡み
         そのあたりの風景は
         フィルター無しで見ると
         少しもさらりとしていない


                 *


         見てはいけない場所だとか
         触れてはいけないもののことが
         あちこちの掲示板に焙りだされて
         わずか一度だけの訪問地
         それを強調したがる
         桃の花にはその訳がある
         燦々とかがやく季節は
         はるか境界線をのどかに越えて
         引き伸ばされるべきものなのだ
         空には追いつめられた風船
         その膜を弾け抜ければ懐かしの
         眠りの中のあのメロディ
         幻想曲が戦車のように壁を抜ける


                            June 1995 






無知だとか食わず嫌いのこと

2009-12-18 21:46:53 | Weblog
1930年生まれの方だから、今年79才になられる、ある人の書いた本を読んでいる。映画の分野の評論などで知られた人、ということになるけれども、長年その人のことは知りながらも、これまで書かれたものを殆ど読んだという記憶もない。なんとなく写真などで見る顔の印象だとか、感じさせる何かに漠然と近づきたくはないタイプ、という印象を与えるものがあったらしいのである。それが今度、たまたま彼の書いた評論、あるいはエッセイと言っても良いものの入った著書を読むことになって、食わず嫌いというのは、こういうものだったのかなと、感じている。彼の知性や、その人の考え方、あるいは心の在り方のようなものまで見えるようで、関心を覚え、とても良いものに思えたのである。もっとその考えに触れてみたいという関心が湧いてきている。こういうことは、他の食わず嫌いとも言えるひとたちの誰かしらについても同様でありうるのだろうし、そこのところは考えないといけないということを、思わされもしますね。
それから、無知のこと。それは、膨大無限に近い諸々の知識教養に対するものとしても良いのだけれども、無知であることは、つまらないという個人的感想も、食わず嫌いとは別にか、今朝辺り浮かんだことでした。つまらない。知る側に、刺激や愉しみがあるからでしょう。そうしたことが浮かんだのは。知らないことで、愉しみを味わえない分、損をしている。という感覚があっても良いのではないかな、と。