Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

ソウル遠征記: 映画『息子』 と反転

2007-05-08 21:23:45 | K-Movie Notes

(記事などで書かれていること以外のネタバレはなし)

笑って、泣きました。正統派ドラマでもあり、既定の枠にとらわれない、相変わらずチャレンジングな監督・・・

チャ・スンウォンが息子に会うために刑務所から出かける前半の前半の場面で、すでに涙が出てきてしまったのですが、なんでこんなところで・・・ あとで音楽のせいだとわかりました。音楽もよかったのです。

『拍手する時に去れ』の時もスンウォンの目が印象的でしたが、この作品でも目が・・・そしてドクファン君も目が印象的で、左目の横に小さなホクロがあってそこが可愛くて・・・今回のホクロは鼻の下ではなく(笑)。ハルモニ役のキム・ジヨンを始めとする助演陣が手堅く、誰ひとり、画面からはみ出たり、気負った演技をする人がいなくて心地良かったです。当然ですが、チャン・ジン監督のディレクティングの中にすっぽり収まっていた感じがしました。

チャ・スンウォンがインタビューで、「監督がすでに考えた台詞に何かを加えることは『過ぎたるは及ばざるが如し』という感じです」と語っていて、アドリブは一切入れないそうです。なるほど、セリフが理解できなくても、そういうところって伝わってくるものなのだと思いました。

監督自ら、『シックスセンス』を超える反転があると豪語されていたので、字幕なしで鑑賞する場合、その肝心な反転がどこで、どんなふうに起こるのか分からなかったらショックだよなー、と見る前はやや不安に思っていたのですが・・・

セリフの分からない私のために気を遣ってくれてありがとう、監督!って、そういう意図でないことは確かですが(笑)、もともとこの作品に対して抱いていた素朴な疑問が反転に結びついたことは、ちょっと驚きでもありましたが、むふふふ(意味不明)。そして、遅ればせながら、いつも見た後に気づくのですが、冒頭からの1つ1つの場面が糸のように最後に結びついていて、どこにも無駄がないのですね。

CINE21の評論では、この反転と、心理状況を「実況中継」するナレーションの使い方に問題があって、全体の様相がねじれているとありましたが、反転がないとシマリがないし、実況中継だからちょっと朗読劇みたいな面白さがあるんじゃない・・・と私的には思ったのですが・・・「正統派ドラマ」としては異質な部類なのでしょうかね。

もともとチャン・ジン作品は会話のやり取り、言葉の面白さで見せる場面が多いので、言葉がわからないとホントつらい  評論家さんにとっては、言葉の多さがどうも Too Much だったようですが、言葉にならない部分だって多かったのに・・・と思います。私はもちろんセリフの細かい部分を理解していないため、評論家さんのご意見はあくまでも参考までに。

他には、「『知り合いの女』を思い起こさせるスタイルだ」 という意見もあり・・・たしかにその系統かもしれません。アレ(言えない )は電柱に近いかもしれないし(笑)。

「チャン・ジン式ファンタジー」 という意見もあり・・・ファンタジーの定義がよくわかりませんが、雁家族とアレ(言えない)とアレ(言えない)がファンタジックな存在かしら? いやー、雁家族はどちらかというと、ファンタジー系ではなく、お笑い劇団みたいなのですが(笑)。監督は生き物好きなんでしょうかね。

海賊版防止対策の一環としてアジア各国で米国よりも早く5月1日に先行公開された『スパイダーマン3』に合わせて『息子』も公開されたようですが、先週の韓国映画館はスパイダーマン一色と言っても過言ではなく、たとえばCOEX メガボックスは19スクリーンのうち、半分がスパイダーマンで占められており、寡占状態でした。ちなみに大手シネコンでは、国内映画は『極楽島殺人事件』、『飛べ、ホ・ドング』、『イ・テグン、このお宅は』、『息子』の4作品がそれぞれ1スクリーンしか上映されていませんでした (週末に『息子』のスクリーン数が少し増えたようですが)。全く作品性の異なる国内映画が、スパイダーマンと競合することに意味があるとは思えないのですけれど、厳しい現実ですね。

深夜にホテルを抜け出して映画館に出かけると、さすが映画好きな国民。午前0時近いというのに深夜上映のチケットを求めるお客さんで売り場は大混雑でした。『極楽島殺人事件』か『飛べ、ホ・ドング』を見ようかと思ったのですが、絶対眠ってしまいそうだったので、眠らない自信のある『息子』をもう1回見ておくことにしました。

この作品が日本へやってくることはあるのでしょうか・・・
日本語字幕で見ることができたら、あのCINE21の評論家に反論してみたくもあり、あるいは、ガラリと印象が変わったりするかもしれません。

  

ちょいワル、いえ、ワイルドで、めっちゃくちゃカッコよかったチャ・スンウォン
えっ、本命はこちらだった?  
反転レポートですから・・・チャンチャン