最近見たもので B 級系だと思った映画 3 本。あくまでも個人的所感です。
でも、 本当の B 級の定義って、よくわかっていません。「安っぽさ」とか「薄っぺらさ」が鼻についたものと、大雑把にくくってみただけす。
ただ、3 本に共通していることは、演者が B 級に貢献しているわけではないということです。それどころか、イイ役者さん揃いで、なんとも惜しいというか・・・
『顔のない女 <얼굴 없는 미녀>』 (2004年)
監督:キム・インシク
出演:キム・テウ、キム・ヘス
サスペンスなんだか、サイコスリラーなんだか・・・結局ホラーだったのか・・・
人格障害で自殺未遂をはかったジス(キム・ヘス)が、催眠療法を得意とする精神科医ソグォン(キム・テウ)の前に患者として現れる。ソグォンは、妻を亡くした喪失感から精神が不安定になり、魅力的なジスを催眠療法の中で抱いてしまう。しかし、催眠療法で彼女の体を得られても心は得られず、ソグォンの精神状態はだんだんと壊れていく。
精神を病んだ精神科医の役という難しい設定で、キム・テウらしい熱演が光りました。でも、キム・テウが精神的錯綜の世界を彷徨い、あれほど苦しんでいるのに、最後のあのホラーな「顔のない女」にはドン引きでした。あんなに露骨な「顔のない女」が出てくると、それまで繰り広げられていた観念的、幻想的な世界が台無しになってしまうような気がします。まったくもって製作者の意図がよくわかりませんでした。あそこまでは、追い詰められていく緊迫感とか、冷んやりした感じや、ゾクゾクする感じが伝わってきてよかったのに・・・。
『礼儀なき者たち <예의없는 것들>』 (2006年)
監督:パク・チョルヒ
出演:シン・ハギュン、キム・ミンジュン、ユン・ジヘ
某所ですでにプチ暴言を吐いておりますが・・・
舌が短いために話すことがままならない「キラー」(シン・ハギュン)。ナイフの使い手である彼はマタドールになることが夢。ただ人を殺すのではやりきれず、礼儀なき者だけを殺すというルールを作る。そんなある日、バーで何も話せない彼が好きという「彼女」(ユン・ジヘ)に口説かれる。「キラー」は「バレエキラー」(キム・ミンジュン)とともに依頼された殺人で別人を処理してしまい、ヤクザから追われることに・・・
この作品、100万人近くの観客を動員しているのですね。私の理解力不足かもしれませんが、ツッコミどころというより、何だか不可解なところが多くて、笑うところも素直に笑えずじまいでした。途中で、もしかしてこれはコメディなの?とも思ったけれど、とにかくチグハグな感が否めず、最後には1本につながるのだろうかと危ぶんでいたら、的中・・・
あのオチは一体 ハギュの涙のサランへ熱演にもかかわらず、笑ってしまいました(そこは笑うところじゃないのに)。記憶を巻き戻して、「短い舌」と「礼儀なき者」と「純愛」と「マタドール」の整理をつけようとしてみましたが、ナイフの先からこぼれる血の色だけが目に焼きついていました。
いろいろなストーリーをつぎはぎしてみたけれど、つぎはぎ部分の綻びが多すぎちゃったという印象です。冒頭でも述べましたが、この作品が B 級だとしても、決してハギュのせいでないことは確かです。ある意味、印象深い(?)作品になっていたりして(笑)。
『韓半島 <한반도>』 (2006年)
監督:カン・ウソク
出演:チョ・ジェヒョン、チャ・インピョ、アン・ソンギ、カン・シニル、ムン・ソングン
ブロックバスター作品なのに B 級と言ったら、KWS のお叱りを受けそうですが・・・。見ていないと何も言えませんが、見てしまったからには、今後 KWS には思い切り悪態がつけるような気がします(笑)。
シルミドかと思わせる音楽、シルミドな人もそうでない人も顔を出し、ハリウッド風の戦のお膳立て、お決まりのコミカルな人々、お宝探し、政治抗争、抗日感情・・・何でも取り揃えて見せてくれます。(*あらすじ省略)
「アホちゃう」(実は関西育ちというのがバレる) と思わずつぶやいてしまうような始まり方なので、最後まで荒唐無稽さを貫いた娯楽映画だと言い切ってくれるなら、OK ではないでしょうか。ところがそんな潔さは持ち合わせていなかったようです。
民族主義を弄んでいるのではと問われると「商業映画の顔」を強調し、商業娯楽映画 (フィクション) に徹したのかと問われると「史実と思われる部分を取り入れ」、まるで国民の総意を反映したかのように「個人的な感情(抗日)もこめた」とは・・・この一貫性のなさに呆れてしまいました。多方面に「甘え」を見せた製作姿勢に対する B ですかね (エラソーですが・・・)。映画人のお遊びにしては、少々遊びが過ぎた作品と思われても仕方ないかもしれません。
あれこれとツッコミどころもありますが、いちいちムキになるのも大人気ないのでやめておきます。KWS お気に入り組のソル様とジェヨンが出演していなかったことが、私にとっては救い・・・かな 。
1本目は恐いの苦手なのでパスですが、精神を病んだ精神科医のキム・テウにはヒジョーにそそられるものがあります(笑)。
3本目は・・・観る前から苦笑いしてしまったのでパスしました^^;でも、濃いおやぢたちの演技には若干の未練が(笑)。特にチョ・ジェヒョンとチャ・インピョの「木浦」コンビが気になります^^
2本目は、私も毒吐き出してすっきりしているので、ここではやめておきます^^
ということで、俳優の熱演むなしく空回りしていく作品たち。でも、こういうBムービーって、ある意味レビューとかしやすくて好きです(笑)。可もなく不可もなくっていう作品が難しい。ま、そういうのが圧倒的に多いのですが。私の最近の一番のBはダントツ「浪漫刺客」(笑)。あ!「金館長vs・・・」もかなりBでした^^;
>観れば自ずと分かるもの
某監督の「どこかカルト的なB」って面白い表現ですね。そう言われると、どの作品も「どこかカルト的」な匂いが漂っていますね。監督にとっては、「商業」vs「B」なのでしょうか~。「B」は奥深いですね。
>精神を病んだ精神科医のキム・テウ
キム・テウは必見かと。なかなか迫力ありました。この作品は最後の10分だけが唐突なホラーなので、それさえ観なければ大丈夫ですよ(笑)
>濃いおやぢたち
おやぢたち、私も好きなのですけれど、この作品に限っては、どのおやぢも設定されたキャラに「偏り」がありすぎて、どれもKWSの分身に見えて仕方ありませんでした。おやぢ本来の魅力がいまひとつ発揮されずじまいだったような気がします。「木浦」コンビはやはり「木浦」の方が異彩を放っていました。
お宝探しのチョ・ジェヒョンとカン・シニルの場面などは、『マイキャプテン~』の方がまだマシ…と苦笑。
>一番のBはダントツ「浪漫刺客」
あれっ、「C」っておっしゃってませんでした?(笑)。Marioさんのレビューがとっても面白かったので観なくてもよさそうです。ホント、こういうBムービーたちってツッコミどころ満載なので、却って印象に残ったりするところがまた面白いのですね。