「モーツァルトの街」
原題: 모차르트 타운 (2008 年 韓国)
監督: チョン・ギュファン
出演: オ・ソンテ、チョ・ユラン、ブレイズ・グバト
( link to TIFF)
「超」 低予算(3000 万ウォン= 270 万円)、撮影回数 12 回。監督さん、初めての長編だということで、予算がなくて頑張って撮ったという熱意は伝わってきた。でも・・・
① カンペ(ヤクザ)、② 上から出すもの、③ 下から出すもの。
韓国映画の定番的要素とも言える描写。
こうした新進(?)の監督作品ですら、この定番的要素がついてまわり 「またか」 と。特に ③ については Q&A でもショックを受けたと述べた観客がいた。このタイトルだけを見てチケット買われた方は、イメージと違うと思う内容かもしれない。
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Q&A 概要メモ
2008/10/19 [TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6]
この作品を撮ったきっかけは何か。
旅行者の視点を通してみた社会を撮りたかった。旅行者の目に映るものというのは、一過性のものでしかなく、社会に潜む人々の哀しみの深さまでは推し量れない。そういう人々が抱える哀しみを描きたかった。
「モーツアルトの街」 というタイトルについて。異邦人から見た街、違和感を表現したかったのか。なぜベートーベンでないのか。
実は、ベートーベンであっても、メンデルスゾーンであってもよかった。ただシナリオを書いているときに、偶然ラジオからモーツアルトのソナタがかかり、ソナタはどこか哀しみを伴っており、やはりモーツアルトがしっくりくると思えた。
また、場所もソウルでなくとも、東京でもロンドンでも北京でも成立するストーリーだと思う。
女性の視点から、月経の染みと排泄というシーンはショッキングだ。そこまでして描く理由は何か。
不快感を与えてしまったとしたら申し訳ない。悲しみの象徴として月経を、不条理の象徴として排泄を表現しており、そこにインパクトを与えたかった。
キャスティングの苦労話を。
ともかく低予算作品なので、キャストは全員ノーギャラ。知名度のある俳優にも声をかけたが、ことごとく断られた。韓国人のキャストは、演劇方面の俳優にお願いした。また、外国人のキャストが必要だったが、何しろノーギャラなので、外国人が多く行き交う梨泰院(イテウォン)を歩き回っては声をかけて見つけた。外国人キャストは、みな素人なので演技トレーニングをしてから、演じてもらった。
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旅行者の視点というが、そんな視点ってあったっけ?(ワタシ、寝てた?)
どちらかというと、交差点の売店に一日中座り、時々カメラを取り出し、行き交う人々を写す女性に焦点が当てられ、彼女がのぞくファインダーを通した視点というなら話はわかるけれど。
その彼女と彼女が撮影した写真に残された複数の人々の日常のストーリーが並行していて、それがところどころ繋がっていくというプロットは良かったかな。低予算という割りには、あれもこれもと話を詰め込まれていた。
奇をてらったインパクトとか挿入しなくても(韓国映画を見慣れていても不快に感じた)、淡々とカメラをのぞいていてくれたらなぁと。