「がんばればいいこともある」
原題: Aide toi et le ciel t'aidera (2008 年 フランス)
監督: フランソワ・デュペイロン
出演: フェリシテ・ウワシー、クロード・リッシュ、エリザベス・オポン
( link to TIFF)
前半・・・テンポも良くて、ちょっとシニカルな含み笑いもあり。
後半・・・隣のじいさん絡みの話で、やや重たくなってくる。
上映時間 90 分というコンパクトさは GOOD。
主演のフェリシテ・ウワシー、とてもチャーミングで、次から次へのふりかかる災難の解決策を見つけていく姿は好感が持てる。娘の結婚式で涙、涙する母・・・でも涙の意味が・・・(笑)。本来笑っちゃいけないところで、笑えてしまうというブラックな面白さと、不幸と幸せの絶妙なミックスが見どころ。
登場するのがアフリカ系フランス人(黒人)がほとんどというフランス映画は、これが初めてらしい。
Q&A では、フェリシテ・ウワシーが登場。
フェリシテ・ウワシーは、14 才から舞台に立ち、長編映画 15 本に出演。
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Q&A 概要メモ
2008/10/19 [TOHO シネマズ 六本木ヒルズ Screen7]
この作品に出演するきっかけは。
ロマン・ポランスキーの <Doute> という舞台に出演していたときに、監督が舞台をご覧になって、この作品への出演をオファーしてくれた。シナリオを読んだら面白くて、すぐに監督に電話をして、「本当にこんな politically incorrect な内容で撮るのですか」 と聞いたら、「撮る」 と仰ったので OK した。
どんな問題にも解決策はあるという主人公をご自身はどのようにとらえたか。
監督とはいろいろ共通点がある。たとえば、70 年代のイタリア映画が好きなところなど。中でも、不幸を笑いで吹き飛ばすという主題が良いと思っている。不幸を真剣に考えると頭に銃を撃ち込むことになってしまうから。主人公のソニアを突き動かすものは、諦めないということ。問題を一つづつ解決して希望を持っている。私も解決策はあると思うのでソニアと似ている。
原題の「Aide toi et le ciel t'aidera」 は、「天は自らを助くる者を助ける」 という意味だが、邦題の 「がんばればいいこともある」 とは違いがあるように思えるのだが、どう考えるか。
原題を聞いたときに、ロマン・ポランスキーのジョークを思い出した。そのジョークとは、「モシェという男は、『宝くじが当たりますように』 と毎日神に祈りを捧げている。しかし1ヶ月すると、神はモシェの前に現れ、『モシェよ、少なくとも宝くじを買っておくれ』 と言う」。
この作品で描かれている背景は、パリのメインストリートを外れた、疎外された社会が設定されている。そこは、何かを手に入れるためには努力をする、という考え方が失われた社会。原題も邦題も同じ方向だと思う。
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