Mnetで放送された『爆烈野球団!(YMCA야구단)』(2002年10月公開 監督:キム・ヒョンソク)
あまり情報を仕込まずに見たら、ふぁ、ファン・ジョンミン? の姿にいきなり爆烈、いえ、爆笑してしまったが 、出演者は、ソン・ガンホ、キム・ヘス、キム・ジュヒョク、ファン・ジョンミン、シン・グ、伊武雅刀、チョ・スンウ・・・と顔ぶれが凄かった。
第二次日韓協約の調印で日本軍が半島への侵入を開始したた1905年の漢城(ソウル)。ホチャン(ソン・ガンホ)は、学問を重んじる父親(シン・グ)の塾を受け継ぐべきかどうか、自分の歩む道に悩んでいたが、ある日のこと、友人の(ファン・ジョンミン)と、はじめて野球を目にする。ホチャンは、女性監督ジョンリン(キム・ヘス)のもと、韓国初の野球チームYMCA野球団の一員となる。チームは快進撃を続けるが、そこに日本軍がやってきて練習場を取り上げられてしまう。練習場を奪い返すために、日本の野球チームと対戦するものの完敗、そしてチームは解散させられてしまう。ところが、実は抗日派の運動家であった投手テヒョン(キム・ジュヒョク)をおびき寄せるため、再度日本軍との試合が行われることになり、YMCA野球団はリベンジを誓う。
歴史的には、日韓併合の直前(1905年)、とっても微妙な時期の話。抗日vs親日の対立構図が見えていて、日本人はこういう題材は嫌いかもしれないけれど、この時代はポリティカルなテーマを抜きにして語れない。
それぞれに課せられた人物設定がとても明確。この時代は、外圧などの時代の波によって、李氏朝鮮時代の伝統的な社会制度が崩れ、価値観が変わろうとしている時期にあたるようで、古き良き価値観と新しき価値観の間で翻弄される若者を描くことが、この作品のモチーフだと思われる。
宣教師によって持ち込まれた「野球」そのものが、民主主義的イデオロギーの象徴のようで、スポーツを利用して民衆の心を掴もうとしている意図があったとしたら、根が深い話なんだなぁとも思えたり・・・。野球が持ち込まれた時期と、日本が半島に介入し始める時期が重なっていることが、なんとも皮肉だ。
この作品に登場する球団は、YMCA野球団という実在の球団で、当時国内では強すぎたらしいのだけど、ちっとも強く見えないのは、この作品がコメディ色を強く打ち出しているからだろうか。
親日派に屈することを拒否して自害したジョンリンの父親の葬式で、読み上げられる弔辞がなぜかホチョンのジョンリンへのラブレターとすり替わってしまうのも、コメディだから許せて苦笑にとどまるけれど、本当は笑えないのになぁと思う。
最後のオチ。チョ・スンウの「葵の御紋」的印籠で、「それで終わっていいのか、この作品!」とツッコミを入れたくなるけれど、あえてシリアスな緊迫感を一気に解き放ったのは正解かもしれない。
*「爆裂」じゃなくて「爆烈」だった・・・
日本軍人が出てくる作品には、たいていへんてこ日本語がセットですね。「天軍」もでしたが・・・
「夏物語」は憶えています。LBH&オ・ダルス&チェ・ドンムンのトリオは、年齢詐称大学生でしたから。3シーンぐらいしか出演してなかったような気がします。