Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『公共の敵』(DVD)

2006-11-24 23:52:26 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
この作品『公共の敵』(2001年 監督:カン・ウソク)、ちょっと前に見ていたのだけど、記事をあげそこなっていて、昨日『相棒』を観て思い出した。

なんとも激しかった・・・出来の悪い刑事と知能犯の対決。いかにも対決好きの韓国映画らしい。といっても、最近の韓国映画におけるちょっとした対決映画ブームは、製作年で遡って見ると、もしかすると、この作品がある意味、「起点」なのかな。それにしても、極端に暴力がリアルすぎて、生々しい。韓国を知らない人が見たら、とんでもない野蛮な国だと勘違いしそうだ。

事件・事故現場を日々歩き回る刑事の荒れ果てた生活の中に、男らしさや義理人情を見出だすような、韓国映画の定番劇(日本でも同じだけど)な部分は否めず、暴力の正当化についても、個人的にはかなり疑問があるのだけどね・・・

それにしても、出来の悪い刑事役ソル・ギョングssi は、どこからあんなエネルギーがほとばしるのかと思うほど、圧巻。決して強そうに見えないのに、有無を言わせないような気迫がみなぎっていた。イ・ソンジェssi は、どこをどう切っても冷淡で嫌味な奴に徹底している。『氷雨』とか『美術館の隣の動物園』で見られる甘さのかけらも見えない。この2人の徹底した演技が何よりも見所。

ストーリーは完璧な勧善懲悪。不良でも良心のある一匹狼的サムライが、悪代官を懲らしめる構図だと思う。まぁ、勧善懲悪は儒教の精神なので、韓国映画的テーマであっておかしくはない。ただ突き抜けるような痛快さに欠ける。『水戸黄門』的な、ワッハッハという終わり方は日本独特のものなのだろうか。勧善懲悪といっても、民族性が如実に出るのねーー

対決モノは数々見てきたけど、この作品は「原石」のような存在。これ以前にもあるのだろうけど、21世紀の作品として見た場合・・・。ここから派生した亜種の対決モノは、あれやこれやと捻りを入れているに過ぎないのかな。そういえば、『偉大な系譜』もチャン・ジン監督にしては珍しくチンピラが主人公でやっぱり対決モノなんだけね・・・あー、早く観たい


『相棒 City of Violence』

2006-11-24 02:17:17 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
東京フィルメックス招待作品『相棒 City of Violence』(2006年 監督:リュ・スンワン)。トークイベント後に上映された。

リュ・スンワン脚本・監督・製作・主演・・・すごすぎる、ひとり4役。スターシステムを崩したいと韓国映画界への挑戦状のような作品で、周囲からはそんな企画「うまくいくわけがない」という冷たい視線で観られていたそうだ。でも、その深く、熱きエネルギーは認められて、2006年ベネチア国際映画祭正式招待作品となる。こんな情熱的な監督は、ついつい応援したくなってしまう

タイトルからして、もう覚悟が必要。殴る、蹴る、血が飛ぶであろうということを・・・。この作品。ある意味「暴力」の連鎖みたいな構成でもあるのだけど、「暴力」というより「痛快アクション」の色が濃いかな・・・アクションシーンの俳優達の
「脚」がキレイなのね。回し蹴りの脚が・・・。意識して撮っていたかどうかわからないのだけど、脚を映すには当然、カメラが下に回りこむので、観客の視点が低くなって、全体的に見上げるアングルがちょっと面白かった。

『甘い人生』とちょっとかぶる場面もあった。モップおばさんの代わりにモップおじさんが出てきたし、「どうしてこんなことに・・・」というセリフや、少人数対多勢の死闘。こういうのは、アクションノアールの定型なのか

メッセージは明確。スピードがあって、約90分に端的にまとめあげられた作品。暴力の中にも、「懐古」や「情感」がしっかり組み込まれている。何しろ暴力シーンが多いので、他人にあえて勧めることはできない。ただ、ダラダラと意味のない暴力シーンではないのと、リュ・スンワンssi とチョン・ドゥホンssi のコンビのよさが救い


タランティーノ監督の『キル・ビル』と比較されることが多いというこの作品。リュ監督自身、撮影中は『キル・ビル』と比較されるとは思ってもいなかったそうだが、『キル・ビル』がアジア映画へのラブレターだとすると、この作品はそのラブレターへの返答になっているという。復讐劇というテーマは同じだが、復讐の対象がまったく違うというのが、リュ監督の主張。『キル・ビル』は個人的な復讐、この作品の復讐は、人間を狂わせてしまう資本主義への復讐だそうだ。

日本では3月公開予定。