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引っ越しました~
by lotusruby

「プサン国際映画祭と韓国映画の躍進」トークイベント

2006-11-23 23:48:46 | K-Movie Columns


今年は幸いにも10月に PIFF に参加できたので、このトークイベントは外せないと思って行ってきた。リュ・スンボムssi のお兄様、リュ・スンワン監督も登場するし・・・リュ・スンワン監督は、チャン・ジン組と近しいこともあり、チョン・ジェヨンssi もこの監督の第1作『ダイバッド』、第2作『血も涙もなく』に出演してるしね~

「プサン国際映画祭と韓国映画の躍進」
@東京フィルメックス 朝日ホール(スクエア)
キム・ドンホ
プサン映画祭ディレクター PIFF1996年創設メンバー
オ・ジョンワン
プロデューサー 『反則王』、『甘い人生』、『スキャンダル』、『浜辺の女』、『ユア・マイ・サンシャイン』など数々の作品のプロデューサーとして比較的作家性の色の強い作品を手がける
リュ・スンワン
俳優兼監督。最近の代表作は『クライング・フィスト』、最新作は『相棒』、『夜叉』。

以下は私のメモ書きなので、まとまりがないのだけど・・・・

 PIFF10年を振り返ってその躍進の要素とは?

キム・ドンホ PIFFディレクター

PIFF躍進には4つの要素がある。
1.ハリウッド映画ではない新しい海外の映画を紹介する機会の中心的役割
2.アジア映画市場における新人の発掘・教育の機会の提供
3.政府の干渉を受けない。資金の大半が民間団体の支援によるもの。
4.市民・政府・映画関係者・俳優の全面的なバックアップ


 PIFFとのかかわりについて

オ・ジョンワン プロデューサー
・カン・ジュギ監督『銀杏のベッド』プロデューサーとして第1回から参加。
・映画人が一同に会する機会がなかったが、PIFFによってそういう機会を持てることがよかった。
・PIFFは、
映画製作の現場の難しさ(困難な状況)を語れる場であり、韓国以外の海外から刺激を受ける場でもある。
・PIFFに集ってくる観客たち、映画への情熱を語る観客の姿を目の当たりにして、映画人としての自負心、責任感を感じるようになった。
・PIFF第1回開催後、独立して事務所を設立。プサン映画祭を通じて、映画の多様性の必要性を感じ、興行の成功・失敗にとらわれない作品の製作にかかわるようになった。

リュ・スンワン監督
・PIFFの成功と韓国映画の新興は同じような曲線をたどっている。
・PIFFが創設された頃の自分は、パク・チャヌク監督の大失敗作といわれる『三人組(The Three)』の助手をしていた。その頃、キム・ジウン監督は、ぷー太郎だったし、ポン・ジュノ監督も芽が出ず悪戦苦闘していた時期で、PIFFの創設は大歓迎だったが、不安な時代だった。
・実は自分の制作した作品(短編と長編)をPIFFに出品しようとしたら、落選した。自分にとってはPIFFは尊敬とともに復讐の対象の場であった。
・そうした挫折のおかげで、後日、落選した短編作品を悪戦苦闘して寄せ集めた作品『ダイバッド』でデビューし、国際的評価を得ることができた。
・PIFFに期待することは、優秀な作品を海外にどんどん輸出して、(冗談まじりで)最終的には、自分を含め、優秀な監督が数人残れば、いいと思っている。

 今後のPIFFの課題は?

キム・ドンホ ディレクター
・今年は第11回目で、次の10年の1年目という位置づけ。
・今後力を入れるところは、海外と映画を流通させるマーケットを強化。またプサン発の優秀な監督を育てるべく教育機関を充実させることにも注力。また、ドキュメンタリー映画のためのファンドなども設立。
・アジア映画産業界が協力して、アジア映画産業の振興に力を尽くしていきたい。

 韓国映画界の課題は?

リュ・スンワン監督
・韓国映画界が直面している問題点は、政治的、経済的、芸術的、文化的な側面にわたる。
・政治的な側面においては、まずスクリーンクォータの問題。ハリウッド映画では役者1人分のギャラで、韓国映画は製作される(つまり低予算の作品しか制作できない)。スクリーンクォータ制度(SQ)は、そうした韓国映画を守る大切な役割を果たしている。このSQ縮小を、FTAの人身御供のように犠牲にされたことは遺憾。
・経済的な側面においては、インターネットによる違法ダウンロードなど、著作権の問題と、ブロックバスター級の映画だけが劇場を寡占する寡占化の問題。
・芸術的な側面においては、確かに韓国映画は活性化されているが、映画が作品性よりも出資・資本の対象とされるようになってしまった。
・文化・交流的な側面においては、韓流の問題。韓流は虚像であり、本質的なものを見ずして、スターの姿を観ようとする現象に反発を感じる。作られたスターの姿ではなく、作品を通した価値観が一致してこそアジアの真の友人となるのではないか。

オ・ジョンワン プロデューサー
・かつて、映画産業界は「月の街」と呼ばれた。つまり食べていけない貧しい街という意味。それが現在では産業化されすぎて大きな変化がある。映画人中心から、資本主導となっている。
・韓流はまるで、サイズを小さくしたハリウッド映画界のよう。
・監督の力は非常に重要。産業化されすぎた映画産業を討論しならが解決していきたい。

と、まぁこんな感じで、PIFFと韓国映画界についておおまかな流れや課題に触れ、かなり充実した時間だった。私もPIFFに参加して、PIFFには言いたい事があるのだけど、現地を訪ねて、やはり映画人の熱意というか情熱が伝わってきたのは確かなので、プチフリークとしては今後に期待したいな・・・

リュ・スンワン監督、制作サイドに置いておくにはもったいないほど、カッチョいいのだけど、「家族に2人の俳優は要らない」そうだ。ユーモアたっぷりで、話はまとまっているし、非常に頭が切れて知的な印象。オ・ジョンワン プロデューサーは韓国映画界を支える
女流敏腕プロデューサーとして有名。私も雑誌で記事を読んだことがあるけれど、この方も映画への情熱とクールな分析力を兼ね備えているところが魅力的。

2人とも共通しているのは、映画の資本化への懸念と韓流の問題ということかな。これまで韓流にどっぷり浸かってきた私にとって耳の痛い話なのだけど、まったくもってリュ・スンワン監督の言うとおり。ミーハーな私が言うのもなんだけど、韓流が「価値観の共有」というレベルに至っていないというのは、紛れもない事実で、そのあたりは、個人的にも最近特に感じているところ。ある意味、訣別しなければならない部分があると思っている。