報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

アメリカvsイラン=ドルvsユーロ

2006年03月30日 19時59分19秒 | ■ドル・ユーロ・円
アメリカによるイラク爆撃の最大の理由は、フセインが石油決済通貨をドルからユーロにシフトしたことだが、いま同じことがアメリカとイランの間で起こっている。

ドルが世界の基軸通貨であることによって、アメリカは世界経済に君臨している。アメリカが巨額の財政赤字と国際収支赤字を平気で垂れ流せるのも、ドルが基軸通貨だからだ。

世界がアメリカのふたごの赤字を放置すればアメリカ経済は崩壊する。すなわちドルの暴落をまねく。ドルが暴落すれば、世界の中央銀行や金融機関が溜め込んだドルやアメリカ国債は紙切れになる。すなわち世界経済が崩壊する。

世界は、アメリカの財政赤字と国際収支赤字を嫌でも補填しなければならないのだ。ドルが基軸通貨である限り、アメリカだけは永遠に赤字を垂れ流すことができる。逆に、世界は富を奪われ続ける。

この無限地獄から抜け出すためには、ドルの使用も備蓄もしないことだ。ヨーロッパが共通通貨ユーロを作ったのもこのためだ。産油国や貿易立国も貿易決済通貨や外貨準備をユーロにシフトすればドルの支配から抜けることができる。

それを実行したのがサダム・フセインだ。もし、アメリカがこれを放置すれば、遠からずすべての産油国の石油決済通貨はユーロにシフトする。そうなればドルとアメリカの地位が大きく揺らぐ。アメリカにとってフセインは倒さねばならなかったのだ。

そして、イランも石油決済通貨をユーロにシフトすると噂されてきた。今月にもシフトするということだったが、まだその動きはないようだ。いまアメリカとイランは、決して核開発で駆け引きしているのではない。ドルとユーロの駆け引きをしているのだ。

しかし、メディアはそうしたことは一切報じない。報じたらアメリカの逆鱗に触れるからだ。あくまでイランは強引に核開発をする悪者でなければならないのだ。アメリカがイランを爆撃しても誰もアメリカを非難しないように。

世界の実像を読み解くキーワードのひとつが「ドルとユーロ」だ。