報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

チヌーク

2006年03月07日 20時04分58秒 | ●パキスタン地震
連日絶え間なく北部山岳地帯を飛行するチヌーク・ヘリコプター。
食料輸送は早朝から日が暮れるまで続く。
相当な物資が運搬されている。
ヘリでの食料輸送は標高1500m以上の村々。

チヌークのリフトアップを撮影するために空港脇で待っていると、
通りすがりの男性がやってきて、
「毎日、たくさんの食料が山に運ばれるが、目の前には届けられない」
と言った。
彼は空港のすぐ近くに住み、地震で家屋を失った都市被災者だ。
家を失い、仕事を失ったが、彼には食料援助はないという。それは事実だろう。

近郊の村でも、被災して以降3ヶ月間で受け取った食料は、
一家族に小麦が20kgだけだった。
そのインタビュー中もチヌークは我々の頭上を通過していった。

何事にも優先順位があるのは当然ではある。
未曾有の大災害にあっては、すべてが公平にとはいかない。
当分、こうした皮肉は続くことになるのだろう。