報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

2006年03月14日 20時12分12秒 | ●パキスタン地震
山岳地帯深部の被災地へ行くには、崖っぷちの幹線道路を何十キロも車で走るわけだが、山岳路なので多くの橋がある。当然、すべての橋は地震によるダメージを受けているか、受けている可能性がある。

そのため、かつては対向車線だった橋も、一台ずつしか渡れない。二台同時に渡るのは崩壊の危険があるのか、あるいは崩壊した時、被害を最小単位におさえるためなのかもしれない。橋の真ん中だけを車が通るようにドラム缶が並べられている橋もある。

ほとんどの橋が一見原型を保ち、橋として機能している。完全に崩壊した橋は数えるほどしか見なかった。パキスタンの架橋技術というのはかなり優れているのではないかと思った。

しかし、2月14日付けのパキスタンの新聞には、援助物資を運んでいた車両が橋を横断しているとき、突然橋が崩壊し、車両が眼下の川に転落したという報が載っていた。ドライバーは行方不明となった。

山岳地帯とムザファラバード間は、村人を満載した多くの車両が頻繁に行き来している。大げさでなく、全区間が崖崩れ、地滑り、橋の崩壊などの危険を孕んでいる。本来、全面通行止めにすべき状態と言える。しかし、そうすればすべての村が孤立する。

一度車両に乗れば、すべてを運に任せるしかない。

S字に曲がった歩行者用の橋。普通に使用されている。















崩壊したあとに簡易橋が架けられているが、激しく揺れる。


















山岳路を走っていると橋以外にもヒヤヒヤするような箇所が頻繁にある。