報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

堀江貴文氏の蹉跌

2006年03月10日 20時58分12秒 | □経済関連 バブル
多くの方には、すでにライブドア事件は過去のものなのかもしれませんが、僕はまだこの事件にこだわっている。最後の疑問が解けないから。

なぜ堀江氏は逮捕されたのか、という理由だ。
もちろん悪いことをしたからだが、世の中それほど単純ではない。堀江氏と同じようなことをしている人は他にいくらでもいる。にもかかわらず、なぜ堀江氏だけが逮捕されたのか、ということだ。そこには明確な理由がなくてはならない。

堀江氏は、急成長するIT企業を運営するだけでなく、先の選挙では造反組の超大物亀井静香氏への刺客として立候補し、これを機に日本の政治中枢とも太いパイプを築いた。ここまでくると本来、何をしても逮捕などされることはない。身も蓋もないが、そういうものなのだ。

堀江氏は、粉飾決算やマネーロンダリング、インサイダー取引によって逮捕されたのではない。
では、なぜ逮捕されたのか、その真相がずっと解けないでいた。

しかし、すでに本に書かれているらしい。
『さらば小泉 グッバイ・ゾンビーズ』ベンジャミン・フルフォード著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334933769/503-4114485-3229569
まだ、本は読んでいないのだが、引用しているサイトを読むと、おそらくそれが正解に違いない。

堀江氏は、裏金をばら撒くことを拒んだのだ。

政治家や官僚を自由に操りたければ、カネをばら撒くことだ。そうすれば、さまざまな便宜がいずれ還ってくる。そうすることによってまた儲けることができるし、地位はより安定する。これはサイクルであり構造なのだ。しかし、堀江氏はこの基本を無視した。

彼は、自らこの構造の中に入りながら、自分だけ別のメカニズムで動こうとしたのだろう。要するに儲けは分け与えない。しかしそれは絶対に通用しない世界だ。政治家とのパイプを築いておきながら、何も出さないというのは掟破り、あるいは裏切り行為と見なされる。裏切り者の運命はどこの世界でも同じだ。

なぜ堀江氏が分け前を拒んだのかは推測するしかないが、堀江氏は頭が良すぎたのだろう。頭脳一本で、ライブドアを日本一を狙える企業に急成長させた。その堀江氏から見ると、票田を世襲しただけで何の苦労もせず政界で大きな顔している政治家がバカに見えて仕方がなかったのかも知れない。そんな連中に分け前など与える気にはなれなかったのだろう。

堀江氏は、複雑なおカネの流れを読み解く優れた頭脳を持っていたが、人間の欲望が持つ単純な原理は理解できなかったのかもしれない。

堀江氏の逮捕とその後の永田議員の勇み足は、二人の人間の蹉跌という単純な事件ではなく、日本の暗部そのものを表している。