報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

タミフルをめぐる行政の不可解な動き

2006年03月22日 19時20分32秒 | ■鳥インフルエンザ
20日付けのasahi.comに次のような記事があった。

備蓄タミフル、5年で無駄? 新型インフルに使途限定http://www.asahi.com/life/update/0320/006.html

記事を要約すると。

国は、07年度末までに都道府県と国で計2100万人分のタミフルを行政備蓄する計画だが、その総額が約220億円になる見込みらしい。

この備蓄用のタミフルは、通常の治療用より安い値段で製造元のロシェ社から卸される。通常一錠約363円だが、備蓄用は約211円で販売される。

しかし、この安く販売されたタミフルは、”新型インフルエンザ”が発生した時にしか使ってはいけないという条件がついている。つまり、従来のインフルエンザが流行しても使用できない。

そして、ロシェ社との取り決めで、備蓄用タミフルは5年が過ぎるとすべて廃棄処分しなければならない。つまり、新型インフルエンザが発生しなければ220億円がどぶに捨てられるということだ。

そもそも、このタミフルという薬は健常者にはほとんど意味のない薬なのだ。

タミフルは、通常のインフルエンザに対して発熱期間などを1日程度短くする薬にすぎず、発症後48時間以内に服用しなければならない。数百億円もの巨費を無駄にするかもしれない価値があるのか。もう少し冷静に考えて、予算を少しでも高齢者や子どもなどハイリスクの患者の対策に回すべきではないか。
〈母里啓子(もり・ひろこ)・元国立公衆衛生院疫学部感染症室長の話〉

上記記事より

こんな薬を備蓄する意味そのものがまったくないのだ。
では、なぜ国や地方自治体はタミフルを備蓄したいのか。

それは利権確保以外の何ものでもない。医療行政というのは、みどり十字の汚染血液製剤の事件で明らかなように、国民の命を奪う結果となっても企業の利益を優先させる。

無意味な薬剤タミフルを多量に備蓄するのも当然利権のためだ。企業の利益を確保すれば、官僚には天下りのポストが用意され、政治家には分け前がまわってくる。

タミフルでもすでに死亡例が確認されている。

タミフル服用患者の死亡例、世界で71人 米FDA報告
http://www.asahi.com/life/update/1118/003.html