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ずっと不思議に思っていました。
いったい、いつから、クリスマスは「恋人たちの日」になったのでしょう?
クリスマスの本家(?)であるキリスト教には、もちろん、そのような意味合いはありません。
私が子供の頃、クリスマスは「子供たちの日」でした。クリスマス・ツリーを飾り、三角帽子をかぶり、普段めったに食べられないケーキを食べ、サンタさんのプレゼントを待つ日だったのです。「恋人たち」というワードは、クリスマスとは無関係でした。少なくとも、いい歳をしたおにいさん・おねえさんが、狂騒する日ではありませんでした。
そんなクリスマスが、いつの間にか「恋人たちの日」に変わっていました。現在では、「クリスマスまでには、恋人を作りたい」などという風潮もあります。逆に、恋人のいない人にとって、クリスマスは「みじめな日」とさえなりました。
いつから?
著者 堀井憲一郎氏の調査によると、クリスマスが「恋人たちの日」に変貌したターニング・ポイントは1983年、雑誌an・anの記事「クリスマス特集・今夜こそ彼の心(ハート)をつまかえる!」だそうです。ここから、「クリスマスは恋人たちの日である」というテーゼは広まり、1988年頃からは、「クリスマスが恋人たちの日でないわけがない」というクリスマス・ファシズムが始まったとのこと。
確かに、私が大学生だった1986年~1990年は、ファシズムの嵐が吹き荒れてました。クリスマス前になると、若者たちはみな「空いていれば誰でもいい」とばかりに相手を探し、おしゃれな趣向を求め、狂奔しておりました。えっ!?・・・私?・・・・・・ぇぇ・・・キョウホンしてました。まったくもってメンボクなぃ・・・
本書は、「昭和の終わり頃」である1980年代をテーマに、その頃に激変した「若者」をめぐる意識や環境の「境目」を検証した本です。
私には文句なしにおもしろかった!しかし、80年代の激変を知らない世代には、ピンと来ないかも知れません。