ワクチンが足りない、ワクチンが遅い――何をしても批判ばかりのわが国民は今日も大合唱です。
しかし冷静に考えてみたらどうなんでしょうか?わが国の感染状況は悪化しているとはいえ、世界的に見ればまだ「マシ」な方です。正確な数字は調べていませんが、人口当たりの感染者数の比較では、たぶん真ん中より下(「感染者数が少ない」って意味)。ワクチンにより急速に、劇的に状況が改善したというイギリスと同等、ドイツ、フランスよりはずっと状況は良いようです。
一方のワクチンは、世界的な増産体制に入っているとはいえ、世界人口から考えたらまだまだ不足しているのは間違いありません。ワクチンは世界の公共財、それも有限の公共財ですから、その分配には正義が必要でしょう。大国・先進国が金に飽かせて買い占める――なんて、著しく正義に悖ることです。
分配の基準には、当然、現在の感染状況も斟酌されるべきでしょう。そうすると比較的「マシ」な日本は、やや後回しになっても仕方ないのでは?少なくとも、他国のことを顧みず、世界の状況も考えず、「それっ競争だ!」とワクチン確保に邁進したとしたら、私はそのことの方を恥ずかしいと感じます。わが国の現状では、ワクチンは世界に比べて少し遅いくらいで良いです。その分、状況の悪い国、とりわけ医療体制の整っていない開発途上国に回すべきでしょう。そう、「わが国の金」で、そのような国にワクチンを回すべきでしょう。
ワクチンは有限ではありますが、将来を見越していうなら、増産によりやがて世界の人々全員に行き渡ることでしょう。少し、待ちましょう。その少しが待てませんか?
と、そんなことを考えていたら、こんなニュースが飛び込んできました。
ワクチンの75%は10か国に集中、テドロス氏「恥ずべき不公平だ」
ネットニュース記事はすぐ流れてしまうので、おおまかな内容を記しておくなら、次のようなことです。
「ワクチンの75%は先進国10か国に集中している。この状況をWHOテドロス事務局長は、『恥ずべき不公平だ。ワクチンが公平に分配されていれば、世界の医療従事者・高齢者に接種するのに十分な量だった。そうすればもっと良い状況にいられた』と批判した。」
テドロスというオッサンの評価はちょっと脇に置くとしても、この指摘はおっしゃる通り。グローバル社会だ何だと偉そうに言ったところで、結局は自国中心のエゴイズム。人類はいったい何を学んで来たんでしょう。救い難いとしか言いようがありません。
このまま行ってもエゴイズムによる殺し合いの未来しか見えません。人類はいっそここで、コロナで滅んでしまうのがいいのではないでしょうか。