なかなかブログ更新ができません。
言いわけさせていただくなら、昨年末からなにしろ忙しい。これまでとは次元の違うような忙しさに、毎日まいにち追われております。
誰に向かって言いわけしてるの?と笑われそうですね。自分でも可笑しいですが……まぁ、ほん~の少~しだけ、私のブログを楽しみにしてくださるファンがいらっしゃるようですので、その方々への言いわけです。
更新さぼってどうもスイマセン
ひさびさの記事は、やっぱ忙しくて時間がないので、自分でもいちばん好きで得意な「本の紹介」を。
詩人が、親友である別の詩人の妻に恋をしてしまう物語。苦しい恋の経験を通じて、詩人はあらたな言葉の力を得るのです。
――と紹介すると、とってもロマンティックで切ない物語を想像するでしょう。しかしちょっと、いやいやずいぶん、事情が違います。恋する詩人は妻も子もある53歳、相手の人妻は46歳。「好いた惚れた」というには、ずいぶんトウの立った年齢です。あんのじょう、ふたりの恋は周囲を、そして自らをも、ドロドロの地獄にたたき落とします。
まずは生活、なによりゼニ・カネです。どうやって稼いだらいいのか?どうやって妻への仕送り(法律的には「婚費分担」ですな)と、自分の生活費とを両立させるのか?恋の喜びはほどほどに、そんな生活苦あふれる、別の意味で切ない物語です。
そして驚くべきことにこの物語、細部はともかくストーリーとしては、ほぼ実話なんです。
詩人の名は北村太郎。そして親友の詩人は田村隆一。同人詩誌「荒地」を舞台に戦後現代詩をリードしたふたりの詩人は、東京府立第三商業学校の同級生で同じクラス。三商の国語教師にして詩人の佐藤義美先生から共に薫陶を受け、詩の世界に羽ばたいた40年来の親友なのでした。
「そんな親友の女房を寝取るなよ~」って、それだけで私はギブ・アップ。しかし、恋をするとなったらそれができてしまうのが、詩人の詩人たる所以なのでしょうかねぇ?寝取られた田村さんも、図太く平気です。自分もほかの女に走ったりします(笑)。私は詩人になれませんね。
ちなみに、この小説の作者・ねじめ正一さんは直木賞作家ですが、もともとは(もちろんいまでも)詩人であり、詩壇でもっとも権威ある新人賞の「H氏賞」を受賞しています。タイヘンな詩を書く人です。ヘンタイな詩を書く人と言っても間違いではありません(笑)。ここに引用すると公然わいせつ罪に問われそうですので、やめときます。どうぞご自身で詩集を買って、こっそり音読してみてください。
ねじめさんの詩を読むと……やっぱり私は詩人になれそうもないや。