マイナンバー(個人番号)制度がスタートしたのは平成28年(2016年)1月1日、今から6年以上も前のことなんですね。そのときマイナンバーカードも同時にスタートしました。
行政が税制度や社会保障制度、各種福祉制度などを運営するにあたり、効率性・実効性などの観点から国民・住民を一元的に管理する必要があり、その柱としてマイナンバー(とマイナンバーカード)は導入されました。効率性とは、簡単に言えば「安上り」ということ。マイナンバーのシステムを利用することで、例えば「住所・氏名・生年月日」等の名簿で管理していた従来のシステムよりも行政の運営にかかる費用が安くなるということです。実効性とは、例えば行政による給付対象に「漏れ」や「落ち」のない運用を行うということ。Aさんは給付金10万円をもらえたのに、何らかのミスで給付対象であるべきBさんはもらえない、こういうミスをなくしたいということです。これも、マイナンバーによる管理はシンプルで間違いが少なくなるでしょう。単なる数字の羅列より「住所・氏名・生年月日」の方が分かりやすくてミスがない?何言ってんすかwいまはそういうのコンピューターが処理するんですよ。コンピューター的には一意の番号の方が管理しやすいのです。マイナンバーカードのICチップの情報を直接使用できれば情報の転記等にもミスがなくなり、確実な手続きが遂行できます。
さて、このマイナンバー制度、お世辞にも普及が進んだとは言えない状況にありました。その背景にはいろんなことがあったと思うんですが、どうも誤解が最大の要因だったように思います。マイナンバーで「芋づる式」に様々な個人情報が流出してしまう、所得・資産がガラス張りになり課税強化される等々。こんなアホーな感じの噂でマイナンバー(カード)が敬遠された、それが実情でした。また、行政(省庁)の側でも国民的不人気を背景に、あまり積極的に活用しようとしなかったという側面もあります。ちなみに上記噂に一応反論しておくなら、マイナンバーはそもそも情報を芋づるにぶら下げるのが目的の制度ですが、その芋づるを引くことができるのは権限ある公的機関だけです。民間業者が営利目的で顧客のマイナンバーから情報にアクセスできるわけではありません。また、課税の観点からしたら所得・資産のガラス張りはむしろ望ましいことじゃないんですかねぇ?脱税したい人以外にとっては。
転機は新型コロナウイルスによって訪れました。定額給付金の受給にマイナンバー制度(マイナポータル)が利用できることになり、かなり利用者が増えました。私もマイナンバーカードを現実に使用したのは定額給付金が初めてでした。定額給付金については各地で様々なトラブルが報じられていましたが、マイナポータルでの手続きは非常に楽で、お金もすぐに振り込まれました。「おーやるじゃんマイナンバー」と、そのとき改めて思いました。その後、電子決済のポイント付与などのインセンティブもあり、どうやら国民の半数程度が持つくらいにまでマイナンバーカードが普及したとのことです。
このたび、健康保険証はマイナンバーカードに一本化し、紙の保険証を廃止するとの方針が政府から出されました。確かにマイナンバーに健康保険に関する情報が紐づけられれば、保険事務の効率化が図られるのはもちろんのこと、診療情報や投薬情報なども一元管理でき、そのメリットは小さくないものと思います。
ところが例によって、何にでも反対反対がいますなぁ・・・曰く、「マイナンバーカードの取得は任意だったはずなのに事実上の強制となる」「紙の保険証を選択する自由がある」。なんとも、はや・・・小さい声で言います。アタマ悪りぃなぁまったく。
いうまでもなく健康保険制度は国の巨大システムです。なるべく効率的に運営する(そしてコストダウンを図る)ことは責務であるとさえ言えます。これまでマイナンバー等で一元管理して来なかったことの方が、むしろ問題だと思います。でもまぁこれからでも結構ですから、効率的・実効的運営を推進して頂きたいと思います。
そのときに、「私は紙がいい、俺だけは従来どおり紙の保険証を使う」と言い出すヤツがいる。いや、仮にそれを求める「権利」があるとして(ないと思うけど)、紙の保険証を使い続けることによって生じるシステムのコスト増や手続の停滞・遅滞のリスクは、権利を主張する人が負ってくれないと。
ちょっとたとえ話。
ある高校では、1年生から3年生まで定期テスト・実力テスト・模擬テスト等の全ての得点データをコンピューターで管理し、各テスト・科目ごとの偏差値、成績の上昇・下降、苦手科目・分野の傾向などを瞬時に分析できるようにしています。その高校に、いろいろ拗らせたO住S宏という生徒が入学して来て、「俺の成績を腐れ教師の運用するコンピューターで管理されてたまるか!俺の成績だけは紙ベースで手計算で集計しろ!」とメンドクサイことを言い出す。そんなヤロー無視してもいいんだけど、一応希望を容れて、手計算で集計するとします。だけど、後回しだよ、そんな岡Zとかいう生徒の得点集計は。遅れても文句言うなよ、すぐに得点情報利用できなくても我慢しろよ、それが条件、そういうことになるでしょう。そしてまた、ソイツの得点集計のために先生は残業しなければならない。そうすると「残業代はお前が払えよな岡住!」と言いたくもなるでしょう、半ば冗談にしても。
どうしても紙の保険証がいい――結構でしょう、だけどあなたの医療費自己負担率は高くなります、マイナンバーカードの人が受けられる医療上のサービスは受けられません。こうなってもなお、紙がいいですか?だいたい何でそんなにマイナンバーカードを作りたくないんですか?何を拗らせてんですか?もはやそろそろ、意味不明の状態になりつつありますよ。
新型コロナの流行この方、ワクチンとか小室圭とかアメリカ大統領選挙とか、高性能バカ発見器が次々に誕生しています。さて、また新たなバカ発見器の誕生かな?これ。