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Left to Write

司法書士 岡住貞宏の雑記帳

はるな愛さん

2010-08-31 22:56:56 | 考えたこと
世界一のはるな愛になるダイエット
はるな 愛
扶桑社

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 はるな愛さんは近ごろ大人気で、TVによく出演していますね。

 「ニューハーフ系」(???でいいのかな?)のタレントさんは、どうもベタベタしたキャラクターの人が多くて私は苦手なのですが、はるなさんは清潔感があって、好感が持てます。本当に美人ですよね。

 ところで、はるなさんの本名になるのでしょうか?それとも、従前の名前なのかな?「大西賢示」さんと言うそうで……TV番組などでは、他の共演者がことさらにこの「男性名」を強調したり、もともとは男であることを笑いモノにしたり。あまりにシツコくて、最近、ちょっと気の毒な感じがします。

 聞くところでは、はるなさんは性同一性障害で、子供の頃から自分が男であることに強い違和感を覚えていたとのこと。で、ある時から「自分に正直に女として生きていこう」と決心したそうです。そうであるなら、あまり「男性だった過去」をネタに笑うのは、いかがなものなんでしょう?

 まぁ、はるなさんは基本的に「お笑いタレント」という位置付けで、本人も納得ずくでそれをネタにしているのでしょうが……本心としてはやっぱりイヤなんじゃないかなぁ

 世の中には、性同一性障害でいまだ「笑えない」悩みを抱えている人もたくさんいることでしょう。そのことへの配慮も必要な気がします、TV番組の制作者さん。


出版バブル?

2010-08-30 14:02:56 | 世の中のこと
寝ながら学べる構造主義 (文春新書)
内田 樹
文藝春秋

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 出版界で、いま売れっ子(という言い方自体、怒られてしまうかも知れませんが…)の学者・内田樹さんが、ご自身のブログで「ウチダバブルの崩壊」を宣言し、話題になっています。

 事実関係を簡単に整理すると、まずはブックファースト川越店の店長・遠藤晋さんが、ご自身のブログで、茂木健一郎さん・勝間和代さん・池上彰さんなどの「超多作ぶり」を「バブル」と捉え、批判的な意見を述べました。その意見を内田樹さんが支持し、単に支持するだけにとどまらず、自ら「ウチダバブルの崩壊」を宣言。具体的には、「ゲラは編集者のみなさんの手元には、ご期待の期日までには決して届かないであろう」と明言したのです(なんと大胆な)。ところが、さらにこれら遠藤さん・内田さんの意見に対し、「茂木バブル」「勝間バブル」の当事者である茂木健一郎さん・勝間和代さんが、ご自身のブログでちょっとした反論を試みるという展開になっています。

 ここで私ごときが何ぞモノを述べるのは、はなはだセンエツではありますが、一読書人の率直な感想として言わせていただくなら、やっぱり遠藤店長さんの意見に賛成ですねぇ。一度売れると、同じ著者からほぼ同じ内容の「焼き直し」本が次から次へと出版される現状には、ちょっと悲しいものを感じます。

 茂木さん、勝間さん、池上さん、そして内田先生。私はこの方々の作品の愛読者です。みなさん素晴らしい著作を出されますね。それだけに、じっくりと腰を据えて、いい作品を書いて欲しいと願っています。

監査役設置会社

2010-08-19 22:25:33 | 仕事のこと
会社法の基本を問う
稲葉 威雄
中央経済社

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 久しぶりに会社法の話を。

 現在の会社法では、株式会社に監査役を置くかどうかは任意です。つまり「株式会社には、監査役のいる会社と、監査役のいない会社がある」ということ。株式会社に監査役を置くかどうかは、各会社が定款で定めます。ただし「取締役会を置く株式会社は、監査役も必ず置かなければならない」など、一定のしばりがあります。

 そして「監査役を置く株式会社」は、「監査役設置会社」であることが登記されます。

 ここまでは、そう分かりにくい話ではないですね。

 と・こ・ろ・が! 会社法の規定上、「監査役を置く株式会社」=「監査役設置会社」とは限らないのです。

 ん?えっ?よく分からない……???

 「監査役を置く株式会社」は「監査役設置会社」であることが登記される。しかし、「監査役を置く株式会社」=「監査役設置会社」とは限らない……?そうすると、「監査役設置会社と登記された会社」≠「監査役設置会社」ということ???

 実は、そのとおりなんです。

 「監査役設置会社」については、会社法上、きちんと定義があります。

会社法第2条
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 九 監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)……<中略>……をいう。


 つまり、「監査役を置く株式会社」でも、「監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある」場合には、「監査役設置会社」ではないということです。

 細かい話になりますが、監査役は「業務監査」と「会計監査」の二つの監査権限を持っています。ところが株式会社によっては、監査役の監査権限を「会計監査」に限定すること、すなわち「業務監査」の権限を与えないことを、定款で定めることができます。で、このような定款の定めのある株式会社は、たとえ監査役がいても「監査役設置会社」とは言わない、というのが法律の定めなのです。

 大丈夫ですか?話について来れていますか?

 もう少し話を分かりやすくしましょう。会社法上、監査役には、(1)「業務監査」と「会計監査」の両方を権限に持つ監査役と、(2)「会計監査」の権限しか持たない監査役の2種類があります。ここでは仮に、(1)の監査役を「大監査役」、(2)の監査役を「小監査役」と呼んでおきましょう。会社法では、大監査役がいる株式会社を「監査役設置会社」と言い、小監査役のいる株式会社はそう言わないということなのです。

 ではでは。株式会社の登記に「監査役設置会社」と記載があったら、その会社に「大監査役がいる」ということを表しているのでしょうか?

 そうではないんです。ここがヤヤコシイところ。

会社法第911条第3項
 第1項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
 十七 監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)であるときは、その旨及び監査役の氏名


 な、なんと、この登記に関する規定では一転して、「小監査役」がいる場合も含めて「監査役設置会社」と言うと定められているのです。

 なんちゅーまぎらわしさ会社法第2条で定める「監査役設置会社」と会社法第911条で定める「監査役設置会社」では、まったく同じ字面の「監査役設置会社」でも、意味するところが違うのです。

 この違い、あらかじめ知っていなければ絶対に理解できませんよね。ポイントは、「監査役設置会社と登記されている会社でも、会社法2条でいう監査役設置会社であるとは限らない」ということ。あなたの会社の登記事項に、「監査役設置会社」であることが記載されていますか?もし記載されていたとしても、会社法上、ホントーは「監査役設置会社」でないかも知れません。法律上、そういうことになっているのです。

 しかしまぁ、どうしてこんな規定になってしまったのでしょうかねぇ……そしてまた、今からでも遅くありません、さっさと改正できないものなのでしょうか?世間的な常識からしたら、ほとんど理解不能な規定の矛盾。しかし立法サイドでは「何も問題はない」と強弁しています。

 会社法立法を担当した優秀な官僚様。あなたがたの頭の中は、私のような凡夫にはトーテイ計り知れません。