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司法書士 岡住貞宏の雑記帳

煙草と酒、依存の性質の違い

2021-03-02 14:56:36 | 考えたこと

 私は20歳から煙草も酒も始めました。真面目だったので、20歳まではやりませんでした(笑) しかし薬物に対する依存体質なんでしょうか、煙草はヘビースモーカーになりましたし、酒もやや病的な依存をするに至りました。

 

 煙草は35歳頃に禁煙し、現在に至ります。実は30歳頃から止めたいと思っていて、何度も何度も禁煙に失敗し、やっと35歳の時に止められた、というのが実情です。アレン・カーの有名な本「禁煙セラピー」は大変役に立ちました。また、当時「インターネット禁煙マラソン」というのがあって(今でもあるのかな?)、当初3か月くらいはそのアドバイスを受けました。ニコレット(ニコチンガム)も使いました。そういう援助手段を使って、やっと止めたのです。

 禁煙は楽だったか?――率直に言って、苦しかったです。止めて1か月くらいは、起きている間のほとんどの時間、煙草のことを考えていました。半年くらいまで、毎日毎日、猛烈に煙草を吸いたいと思っていました。ところが、半年過ぎたころから、薄皮を1日1枚ずつ剥いで行くように煙草を吸いたい気持ちが薄らぎ、1年経った頃にはほぼ「何でもない」状態になりました。禁煙から1年間で劇的な変化があったということです。

 

 一方の酒。30代の後半から悪酔いをするようになり、ブラックアウト(飲酒時の記憶を失うこと)も頻発、酔って他人に暴言を吐くなどの問題が起こり、多分37歳から42歳まで、5年間禁酒をしました。

 煙草と同じ問いを立てるなら、禁酒は苦しかったか?――これが、たいして苦しくなかったのです。止めようと思い立ち、止めた。それだけのことでした。禁断症状は特にありませんでしたし、強い忍耐力を必要とする場面もありませんでした。抗酒剤という、酒を飲めなくなる薬(「飲みたくなくなる」わけじゃなく、体質的に「飲めなくなる」だけ)を処方してもらいましたが、ほとんどお守り程度で、多分、抗酒剤なんてなくても禁酒はできたでしょう。

 「全然お酒を飲みたくなかったの?」と聞かれるなら、そりゃ飲みたかったです。でも、「あー飲みたいなぁ」と、のんびり思う程度。煙草を止めたときには、ひと月くらい「チックショー!煙草が吸いてぇ!煙草!煙草をくれー!」と毎秒(毎日でも毎時間でもなく)思っていましたから、その差は大きいものがありました。

 

 ところが。

 

 禁酒1か月で「あー飲みたいなぁ」と思った気持ちは、1年経っても同じように「あー飲みたいなぁ」。2年、3年、そして5年経っても「あー飲みたいなぁ」と、全然消えないのです。禁酒5年経ったところで、適当な言い訳のもと飲酒を再開するに至りました。再開しても、すぐに飲みたいだけ飲みまくるということはなく、「これからは節度を持って飲んで行こう」とのんびり思いました。が、1か月後には元通り、5年前と同じ酒飲みになっていました。

 

 これは薬物における依存の性質の違いなんでしょうか?専門的なことは分かりませんが、とても不思議なことです。5年ぶりに飲んだ酒(飛行機内で飲んだビールでした)は、うまくもまずくもなく、「酒ってこんなもんだよな」という印象でした。5年のブランクを感じさせないものでありました(笑)

 私がもし、禁煙後5年ぶりに煙草を吸ったらどう思ったことでしょう?しかし、この仮定はナンセンス。だって禁煙後5年経ったら、私にとって煙草はもはやゴミになっていましたから。煙草を吸ってみろと言われても、「ゴミに火をつけて煙吸う馬鹿はいないでしょ?」と思ったことでしょう。禁煙から5年、日常生活において煙草の存在を忘れていました。20年近く経った今では、あれ?自分は煙草なんて吸ってたっけ?とすら思います。

 

 さて、酒の方ですが、今では年齢的にあまり飲めなくなり、まず実害と言えるほどのこともありません。ですが、飲めば体調は良くないし、習慣的に飲んでいると時々は飲み過ぎてしまうこともあるし、体重は増えるしで、やっぱり完全禁酒したいと思っています。

 実は本日現在、禁酒10日目です。最近はこうして長めの休肝日を設けることが多くなっています。それで飲みたくならないか?そう、のんびりと「あー飲みたいなぁ」と思います。そして、この「のんびり感」が、1年も5年も10年も続くのでしょう。

 

 恐るべし酒、その依存力。強烈な禁断症状より、じわじわ来る方が強力だとは。最近の若い人は酒離れが進んでいると聞きます。とても良いことだと思います。酒の悪魔に魅入られると、一生じわじわ責められ続けるのですから。