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Left to Write

司法書士 岡住貞宏の雑記帳

憎悪の蔓延

2022-07-09 12:26:51 | 世の中のこと

 安倍元首相が銃撃され、死亡するという恐るべき事件が起こりました。まずは謹んで安倍元首相のご冥福をお祈り申し上げます。

 

 かつて安保法制をめぐって、当時首相であった安倍氏に対し、「病気になれ、入院しろ」などと酷い声が上がったことがありました。そのとき私は、「いくら安倍氏が嫌いでも生身の人間にそんなこと言うもんじゃない」と窘める趣旨の投稿をFacebook上でいたしました。が、それに対して、ある知り合いから、「私は病気にでもなればいいと思いますけどね」というストレートな反論(コメント)を受けました。嘘を言っては問題なので再度確認してみましたが、上記コメントは一字一句そのままの言葉です。2015年8月のことでした。その投稿及びコメントをここに晒し上げてもいいのですが、コメントした人も一時の熱狂から勇み足を踏んだだけのことなのかも知れませんので、やめておきます。

 

 社会に憎悪が蔓延している。膨張した憎悪が爆発した――今回の事件に、そのような印象を受けています。

 

 安倍元首相のような公人、とりわけ彼のようにファンが多いだけアンチも強烈という人に対して向けられる社会の憎悪は、もはや看過できないレベルに達しています。公人はどれだけ口汚く罵ってもよい、欠点・失点は最大限に誇張して(ときには捏造のレベルに及んで)叩くことも許される、そのような風潮さえ感じます。

 

 暴力はいけない、それは多くの人々が同意することでしょう。しかし、暴力にさえ訴えなければ何を言ってもいいということではありません。憎悪はむしろ言葉から生まれ、言葉によってこそ増幅される。そうして極限にまで膨らんだ憎悪の果てが暴力です。

 

 与野党の政治家、マスコミ、言論人、憎悪の拡大に加担してはいませんか?あなたがたのその言葉は本当に適切でしょうか?相手が、政敵が憎いからと、極端すぎる批判を向けてはいませんか?

 

 そしてSNSを使うみなさん。SNSによって、かつてのサイレントマジョリティはもはやサイレントではありません。あなたの流したその憎悪が、どこかで爆発してはいませんか?憎悪が爆発する事態までを想定して発言を、投稿をしていますか?

 

 この憎悪が蔓延する社会を鎮めるにはどうしたら良いのでしょうか?私はもはや悲観的な気持ちでいますが、それでもほんの少しの期待を込めて提案するなら、一歩立ち止まって冷静に考えること、理性と知性を大切にすること。あまりに陳腐かつ月並みで、口にするのもいかがなものかということですが、それしかないと思います。誰かがそうするのではありません、自分が、ひとりひとりがそうするんです。陳腐、ではありますが、多くの人々はそうできていません。

 

 しかし――もう無駄かも知れない。絶望。

 

 


おとしまえ?

2022-07-04 14:21:36 | 世の中のこと

 わが国民はすっかり関心を失っているご様子ですが、本場(?)アメリカでは、いままさにトランプ氏訴追に向けた動きが過熱しているようであります。議会突入をトランプ氏が指示したのではないかという疑いです。

 

 トランプ前大統領に扇動・妨害疑惑 特別委、起訴狙う

 

 ネット上のニュースは掲載期間が短く、また全文を読めない方もいらっしゃるでしょうから、ごく簡単に要約すると以下のとおりです。

 

――米下院の特別委員会は6月からの公聴会の結果を踏まえ、司法省にトランプ氏の起訴を促す構え。公聴会ではホワイトハウス元高官(トランプ政権当時)らが、「選挙不正はないと諫言したが、トランプ氏は聞き入れなかった」との旨を証言した。また、公聴会にあたって、トランプ氏に不利な証言をしないよう脅迫されたことを明らかにする向きもあった。しかし、これらの証言をもっても訴追の直接証拠というにはまだ疑義もあり、ハードルは高いとの見方も根強い。――

 

 大統領選直後には、わが国民もかなり過熱していたと思います。過半数とまではいいませんが相当数の人々が、不正だ!不正だ!とトランプ氏を擁護する発言をしていました。「何月何日には全ての真実が明らかになる!」と息巻き、その期限はどんどん後ろ倒しとなり、やがて期限自体が消滅しました。ディープステート(DS)が世界を支配しているなんてヨタ話を大マジメでSNS拡散する輩も見られました。米議会・米裁判制度の自称専門家が急増し、荒唐無稽な理論を展開していました。クラーケンだドミニオンだグアンタナモだと、にわか仕込みの横文字を口角泡飛ばして羅列するオッチョコチョイもいました。

 

 母さん、あの人たち、どうしたでせうね?

 あの人たちの中には門田隆将氏・百田尚樹氏などという有名人もいたはずなんですが、どうしたでせうね?

 

 トランプ氏が実際に訴追されるかどうか、それはまだ上記報道のとおり分かりません。しかし議会突入を指示したかどうかはともかく、「選挙不正はあったのか、なかったのか」という問いについては、もはやはっきり答えが出ているのではないですか?元高官や側近がそろって、「トランプ氏に『不正の証拠はない』と意見したが、聞く耳を持たなかった」と。その中にはイバンカ・トランプ氏もいます。曰く、「私は選挙不正を否定したバー司法長官の意見を受け入れた」。

 

 あの人たち、恥ずかしくないのかな?それとも、もう忘れてしまったのかな?

 あの当時は真実がよく分からなかった?そんなはずないですよ。当時、不肖私も下記のとおり意見を述べさせて頂いております。この意見を要約するならば――ちっと頭使えば分かるだろ?この〇〇――ということです。

 

 アメリカ大統領選挙の「不正」?

 アメリカ大統領選挙の「不正」?(その2)

 

 市井の人でも、ましてや有名人であればなおさら、自分の表明した意見に責任を持つべきなんじゃないですかね。間違っていたなら間違っていたと、訂正を表明してしかるべきでは?

 

 おとしまえは、ヤ〇ザの専売ではなく言論の世界にもあり得ることです。おとしまえをつけるべきなのではないでせうか、あの人たち。