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Left to Write

司法書士 岡住貞宏の雑記帳

橋下徹大阪市長と維新塾

2012-04-10 11:47:30 | 世の中のこと
体制維新――大阪都 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


――いま「我が世の春」を謳歌する小沢幹事長と民主党。来年の年末も、同じ勢いのままでいられるのでしょうか?3年後は?5年後は?誰にも分からないことです。――

 これは2009年の年末、私がこのブログで書いた記事の一節です。その後の小沢さんと民主党の人気凋落、両者に対する批判の激しさは、なにも私が解説するまでもないでしょう。

 いま大変な勢いの橋下徹さんと維新塾。どうか気を付けて頂きたいと思います。上り調子のときは神とまで持ち上げ、ひとたび落ちればゴキブリのようにぶっ叩く――これがわが国のマスコミとわが国民の不変の習性です。これまで何人もの人々がその餌食となって来ました。人生を大きく狂わせてしまった人さえいます。3年後、5年後の批判の激しさを見越して、政治活動にあたって欲しいと願っています。

 さて、私は生来のへそまがりですから、橋下さんが調子のいい今こそ、彼に対する批判をしておきたいと思います。

 まず第一に、彼の主張する政治改革は、あまりに急激すぎるように思います。たとえそれが悪い制度であれ、急激な改革は大きなひずみを生み、不満分子の爆発を引き起こします。反動でより悪い結果をもたらすこともあります。爆発と反動を繰り返したフランス革命を、いまは志向するときではありません。
 現代の政治は漸進主義であるべきです。マックス・ウェーバーは、政治とは「堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり抜いていく作業」であると言いました。いまの政治家は、このような「くり抜き作業」ができていません。やり始めても、すぐにやめて(やめさせられて)しまいます。「じわっじわっ」と、少しずつ政治改革を進めて行って欲しいものです。

 第二に、どうして大阪府知事、大阪市長なのでしょう。国政を志向するなら、きちんとその舞台に出て来て欲しいと思います。自らはそこに出ず、TV・マスコミ的な発信力を通じて外から国政をコントロールしようとする姿勢は、疑問を禁じざるを得ません。もっとも、それにコントロールされつつある既存政党も、はなはだみっともない話ではありますが・・・。彼の主張する政治改革は、ほとんど国政レベルの対応が必要なものです。だとするなら、正々堂々と国政の場でその実現を目指すべきです。そうでなければ、その主張は欺瞞です。「地方の時代」とかなんとか、あやふやなイメージだけで彼の姿勢を論じ、その欺瞞性を批判をしないマスコミの責任も大きいものがあります(ま、いまさらマスコミに何も期待してませんけどね・・・)。

 第三に、維新塾のこと。政治は数こそが力ですから、広く同志を求めるのはいいでしょう。しかし、この同志、ホントに大丈夫なのでしょうか。単なる「流行りモノ」に終わってしまわないのでしょうか。「○○チルドレン」とか「○○ガールズ」とか、急ごしらえの質の低い政治家にはもはや心底辟易しています。それらの二の舞にならないことを、切に願っています。

スローカーブを、もう一球

2012-04-03 23:26:14 | 本の紹介
スローカーブを、もう一球 (角川文庫 (5962))
クリエーター情報なし
角川書店


 昭和56年(1981年)、私の母校、高崎高校は「春の甲子園(選抜大会)」に初出場を果たしました。その出場に至るまでの物語を表題作とする本書は、第8回角川書店日本ノンフィクション賞受賞。スポーツ・ノンフィクションというジャンルを確立した作家、山際淳司さんの代表作でもあります。

 山際さん独特のクールな視点で描き出された、「タカタカ」のエース川端俊介さんのどこか飄々とした姿は、熱血や感動でひとからげにされがちな高校スポーツのリアリティを伝えています。

 それから31年。今年、わが高崎高校は2度目の「春の甲子園」出場を果たしました!

 「タカタカ」再びの快進撃。もし山際さんがいたなら、今度はどんな物語を描き出してくれたのでしょうか。1995年、山際さんは46歳という若さでこの世を去ってしまいました。

 続『スローカーブを、もう一球』を読みたかった!――そう思うファンは少なくないはずです。