Left to Write

司法書士 岡住貞宏の雑記帳

日経新聞クロスワードパズル

2024-06-16 15:13:34 | 考えたこと

日経新聞の日曜版にクロスワードパズルがあります。

アレ、すっごい難問が多いんですが、難しいのはいいとして、ちょっと間違ってんじゃないの?ということも多いです。

 

例えば、本日令和6年6月16日の出題(カギ)。

「歌枕としても知られる、宮城・松島湾の塩釜浦にある島」とあります。

答えは「浮島(ウキシマ)」。というか、「ウキシマ」と「答えさせたい」ようであります。

 

枕草子にも「島は八十島。浮島」とあるくらいで、確かに「歌枕」として有名です。

 

しほがまの前に浮きたる浮島の浮きて思ひのある世なりけり

みちのくは世を浮島もありと云ふを関こゆるぎの急がざらなん

塩釜の浦の干潟のあけぼのに霞に残る浮島の松

 

みちのくの、塩釜の浮島。ああ、とても有名なんですね。

 

一見、何の問題もないように見えますが、この浮島、「島」じゃないんですわ、実は。

 

 

もう一度、日経の出題に戻ると「松島湾の塩釜浦にある島」と。まるで海に浮かぶ実在の島のように言ってますが、どこの島じゃい?という感じですね。そもそも、「塩釜浦」というのはどの辺を指しているのでしょう?現在の塩竈港とか塩竈湾、その辺りを指しているのでしょうか?現在は地名として「塩竈」という文字を使うようですが、「塩釜」という表記でよろしいの?地元の人、怒らない?「松島湾の」塩釜というのも、地元の人にとって正しい認識なんでしょうか?

 

昔の人は歌枕なんて実際に行く機会はなく、その噂や字面だけでイメージを膨らませていました。都の人にとって世界の果てであるような「みちのく」に、「世を憂き島」があるわけなんですよ。新幹線も飛行機もありませんし、本物の「浮島」を見て歌った人なんていません。あくまでも文学的な表現です。

 

けれども現代、日経編集部。実際に浮島がどこにあるか、どんな島であるかなんて、容易に調べがつくじゃないですか。実際に行かなくても、Google先生が行ってストリートビュー付きでご案内してくれるじゃないですか。それを平安時代そのままに「塩釜浦にある島」なんて、訳知り顔に。恥ずかしくないのかと思います。

 

日経クロスワードのネタ元は「コトバンク」であることが分かっています(自分調べ)。コトバンクで適当に言葉を拾ってきては、パズルを組み立てる。実はパズル作者自身、知りもしない初めて聞いた言葉、身に付いていない言葉なので、今回のような間違いが頻発します。

 

コトバンクで調べてみると、ありました。「うき‐しま【浮島】  宮城県塩竈(しおがま)市の松島湾塩釜浦にある島。歌枕。(精選版日本語大辞典)」と。この受け売り、というか丸写しだったわけです。精選版日本語大辞典の編者も問題ではありますが、それを疑いもせず丸写しの不勉強さに呆れます。ちなみに陸上の「浮嶋」は、塩竈市ではなく多賀城市にあるとのこと。もっとも、塩竈の海からほど近いのは間違いないようです。

 

同日の出題にもうひとつ変なのがありました。

「2つのカップを合わせたカクテル製造用カップ、〇〇〇カップ」

 

カクテル「製造用」のカップだから「シェーカー」かな?と思いましたが、シェーカーカップとは言わないだろうし字数が合わない。答えは「ジガー」カップ。

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いやそれさあ、カクテルの材料を「計量」するための道具だろ?そういうの「製造用」って言うかフツー?

 

まぁ、お遊びなんだから目くじら立てるのもどうかとは思います(笑)けれども、言葉を使ったお遊びだからこそ、もう少し言葉に敏感にならないと。そもそも新聞社って言葉を商売とする会社なんでしょ?「肝心の新聞記事も調べもせずテキトーに書いてるんだろうな」と思ってしまいます。

 

久しぶりのブログがこんな記事ですいません。


『酔っぱらいの歴史』マーク・フォーサイズ

2023-09-27 09:18:11 | 酒にまつわる言葉

 アメリカの禁酒法はご機嫌に上手く行っていた。そうでないとは誰にも言わせない。憲法修正第18条〔禁酒法〕が、13年間の施行を経て1933年に廃止されたとき、この法は首尾よく行った、やるべきことを見事に果たしたと、法の支持者のほとんどは思ったのだった。

 歴史上最も愚かな法として普通言及されるのに、かなり奇妙な診断のように思われるかもしれない。だがそれは、この時代全体があまりに神話と神秘に包まれてしまっているため、博識な人でさえ、何がなぜ起こったのかを正しく理解できていないからだ。 (18禁酒法・p228)

 

 


免許証の番号の意味(その2)

2023-09-19 10:45:41 | 仕事のこと

 前回、運転免許証の番号について書いたところ若干の反応があったので、続編を。

 「第4286××××0000号」という免許証番号について、前回は最初の4桁の数字の規則性をお話ししましたが、今回は末尾の数字(1桁)について。ここは運転免許証を紛失・毀損した場合に「再発行」を受けた回数を示しているそうです。「0」の人はいままでに一度も再発行を受けたことのない人、「1」は1回再発行、「2」は2回・・・となっています。

 と、そのとおりなんですが、あんまり役に立たない情報ですね。私たち司法書士は本人確認を目的として運転免許証の提示を求めますが、再発行の回数が分かってもねぇ。

「む!あなたは2回再発行を受けてますね!?」

「はぁ・・・そうですが何か・・・?」

「おっ!あなたは再発行を受けていない!」

「(・・・だからどうした?)」

となるのがオチです。

 しかしながら、司法書士の内輪ネタとしてはちょっと興味深い現象があります。

 不動産の登記申請の際に必要な登記識別情報(または登記済証)を紛失している場合には、本人確認情報という書類(または情報)を添付して登記申請を行います。その際、やはり本人確認資料として運転免許証の提示を求めるのですが、末尾「0」ではなく「1」「2」、あるいは「それ以上」の人が多いのです。

 どういうことかって?

 登記識別情報(または登記済証)とは、昔風に言うと土地・建物の「権利証(権利書)」のこと。言うまでもなく、大事な書類です。失くしては困る書類です。運転免許証もまた、失くしては困る大事なモノですよね。つまり、「免許証を失くしたことのある人は権利証も失くしているケースが多い」、もっと露骨に言うと「免許証を失くすようなウッカリさんだから権利証も失くしてしまう」という傾向にあるということです。

 無論、あくまで傾向に過ぎませんので、絶対にそうだという訳ではありません。

 とまぁ、これも大して役に立つ話でもありませんね。「権利証がみつからないんです」という方に、それでは本人確認情報を作成しましょうと運転免許証の提示を求め、末尾を見たら「2」で「ああやっぱり」と苦笑する、そんな程度のことです(笑)

 みなさん、あなたの「ウッカリ度」が数字で見えてしまうことがありますので、運転免許証は大切に。登記識別情報もね。

 「末尾『3』で、もう恥ずかしい!」という方は、本人確認にはマイナンバーカードを使用しましょう。

 


免許証の番号の意味

2023-08-02 16:54:17 | 仕事のこと

 運転免許証の番号には規則性があるようで、ある程度はその内容が判明しています。

 「第4286××××0000号」という免許証番号の場合、冒頭の「42」は最初に免許を取得した都道府県の番号(42は群馬県)、次の「86」は最初に免許を取得した西暦年の下2桁です。そして、運転免許証には別途「免許を取得した年月日」の記載があり、冒頭「4286」の免許証には「昭和61年」に何らかの免許を取得したとの記載があるはずです。ちなみに冒頭「4286」は私の免許証の番号であり、昭和61年に群馬県で初めて原チャリの免許を取ったことからこの番号になっています。その翌々年に自動車の免許も取りましたが、番号は変わりませんでした(冒頭「4288」とはならない)。

 この3桁目4桁目(上記「86」の部分)と免許の取得年の齟齬を発見することによって免許証の偽造による「なりすまし」を見破り、「お前はいったい誰だ!」とやるのがドラマや小説でよく使われるネタにもなっているのですが・・・実際には偽造や「なりすまし」でなくても齟齬している例を見かけます。

 どうやら、①免許の更新をうっかり忘れ失効させてしまったことがある人、②昭和41年よりも前に免許を取った人では、齟齬が生じるようです。「ようです」という言い方をするのは「確証まで得られていない」という意味ですので、念のため。また、①②以外の原因でも齟齬が生じることがあるかもしれません。同職の皆さん、本人確認の場面で齟齬を発見したからとて、直ちに「お前は誰だ!」とはやらない方が良さそうです。実感としてはかなりの確率で齟齬していますよ笑。上記①うっかり失効の人がかなり多いということなんですかね。

 ちなみに、上記①うっかり失効の場合、番号は変わらず、免許の取得年が新しくなる(失効後、再取得の年となる)ようなので、番号「4286」なのに取得「平成10年」ということはあり得ます。そう考えると、番号「4286」なのに取得「昭和55年」とかなっていたら、偽造の疑いアリなんでしょうか?また、平成元年生まれの人の免許番号が「4286」だったら、やっぱり偽造なんでしょうか?

 いずれにせよ、番号だけではどうも決め手にはならなそうです。俗説には免許番号で学科試験の点数が分かるとかいう噴飯モノもあって、アテになりません。学科試験の点数なんか免許に表示したって何の意味もねーだろが(爆


『酒虫』芥川龍之介

2023-08-02 14:15:17 | 酒にまつわる言葉

 第三の答。酒虫は、劉の病でもなければ、劉の福でもない。劉は、昔から酒ばかり飲んでいた。劉の一生から酒を除けば、後には、何も残らない。して見ると、劉は即酒虫、酒虫は即劉である。だから、劉が酒虫を去ったのは自ら己を殺したのも同前である。つまり、酒が飲めなくなった日から、劉は劉にして、劉ではない。劉自身が既になくなっていたとしたら、昔日の劉の健康なり家産なりが、失われたのも、至極、当然な話であろう。


『福翁自伝』福沢諭吉

2023-01-17 14:44:18 | 酒にまつわる言葉

 ソレカラ又酒の話になって、私が生得酒を好んでも、郷里に居るとき少年の身として自由に飲まれるものでもなし、長崎では一年の間、禁酒を守り、大阪に出てから随分自由に飲むことは飲んだが、兎角銭に窮して思うように行かず、年二十五歳のとき江戸に来て以来、嚢中(のうちゅう)も少し温かになって酒を買う位の事は出来るようになったから、勉強の傍ら飲むことを第一の楽みにして、朋友の家に行けば飲み、知る人が来ればスグに酒を命じて、客に勧めるよりも主人の方が嬉しがって飲むと云うような訳けで、朝でも昼でも晩でも時を嫌わず能(よ)くも飲みました。夫(そ)れから三十二、三歳の頃と思う。独り大(おおい)に発明して、斯う飲んでは迚(とて)も寿命を全くすることは叶わぬ、左ればとて断然禁酒は、以前に覚えがある、唯(ただ)一時の事で永続きが出来ぬ、詰り生涯の根気でそろ/\自から節するの外ほかに道なしと決断したのは、支那人が阿片(あへん)を罷(や)めるようなもので随分苦しいが、先ず第一に朝酒を廃し、暫くして次ぎに昼酒を禁じたが、客のあるときは矢張り客来を名にして飲んで居たのを、漸く我慢して、後にはその客ばかりに進めて自分は一杯も飲まぬことにして、是れ丈けは如何やら斯うやら首尾能く出来て、サア今度は晩酌の一段になって、その全廃は迚も行われないから、そろ/\量を減ずることにしようと方針を定め、口では飲みたい、心では許さず、口と心と相反して喧嘩をするように争いながら、次第々々に減量して、稍や穏になるまでには三年も掛りました、と云うのは私が三十七歳のとき酷い熱病に罹かって、万死一生の幸を得たそのとき、友医の説に、是れが以前のような大酒では迚も助かる道はないが、幸に今度の全快は近年節酒の賜に相違ないと云ったのを覚えて居るから、私が生涯鯨飲の全盛は凡(およ)そ十年間と思われる。その後酒量は減ずるばかりで増すことはない。初めの間は自から制するようにして居たが、自然に減じて飲みたくも飲めなくなったのは、道徳上の謹慎と云うよりも年齢老却の所為でしょう。兎に角に人間が四十にも五十にもなって酒量が段々強くなって、遂には唯の清酒は利きが鈍いなんてブランデーだのウヰスキーだの飲む者があるが、アレは宜くない。苦しかろうが罷めるが上策だ。私の身に覚えがある。私のような無法な大酒家でも、三十四、五歳のときトウ/\酒慾を征伐して勝利を得たから、況(ま)して今の大酒家と云っても私より以上の者は先ず少ない、高の知れた酒客の葉武者(はむしゃ)だ、そろ/\遣やれば節酒も禁酒も屹(き)っと出来ましょう。


『大宰帥大伴卿讃酒歌十三首』大伴旅人

2023-01-15 12:16:55 | 酒にまつわる言葉

痛醜 賢良乎為跡 酒不飲 人乎熟見者 猿二鴨似 (原文)

 

あな醜賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似む (訓読)

あなみにく さかしらをすと さけのまぬ ひとをよくみば さるにかもにむ

 

小頭がよくて自分を勝ち組って信じて酒も飲まないような奴ってよく見ると猿に似てるよね (現代語訳・町田康)

 

(万葉集・第3巻344番歌)

 


『しらふで生きる』町田康

2023-01-15 12:09:46 | 酒にまつわる言葉

 酒をやめたと言いしばしば酒徒から受ける問いに「それで人生寂しくないですか?」というのがあるがそんなことはない。なぜなら、人生とはもともと寂しいものであるからである。

 (中略)

 酒を飲まないからといってあまり賢くない人が賢くなる訳ではない。けれども酒を飲むと賢い人が阿呆になる。そして阿呆はもっと阿呆になる。どうやらそんなことのようだ。


『酒ぎらい』太宰治

2023-01-10 12:12:13 | 酒にまつわる言葉

 よそから、もらったお酒が二升あった。私は、平常、家に酒を買って置くということは、きらいなのである。黄色く薄濁りした液体が一ぱいつまって在る一升瓶は、どうにも不潔な、卑猥な感じさえして、恥ずかしく、眼ざわりでならぬのである。台所の隅に、その一升瓶があるばっかりに、この狭い家全体が、どろりと濁って、甘酸っぱい、へんな匂いさえ感じられ、なんだか、うしろ暗い思いなのである。家の西北の隅に、異様に醜怪の、不浄のものが、とぐろを巻いてひそんで在るようで、机に向って仕事をしていながらも、どうも、潔白の精進が、できないような不安な、うしろ髪ひかれる思いで、やりきれないのである。どうにも、落ちつかない。

 夜、ひとり机に頬杖ついて、いろんなことを考えて、苦しく、不安になって、酒でも呑んでその気持を、ごまかしてしまいたくなることが、時々あって、そのときには、外へ出て、三鷹駅ちかくの、すしやに行き、大急ぎで酒を呑むのであるが、そんなときには、家に酒が在ると便利だと思わぬこともないが、どうも、家に酒を置くと気がかりで、そんなに呑みたくもないのに、ただ、台所から酒を追放したい気持から、がぶがぶ呑んで、呑みほしてしまうばかりで、常住、少量の酒を家に備えて、機に臨んで、ちょっと呑むという落ちつき澄ました芸は、できないのであるから、自然、All or Nothing の流儀で、ふだんは家の内に一滴の酒も置かず、呑みたい時は、外へ出て思うぞんぶんに呑む、という習慣が、ついてしまったのである。

 


『不良少年とキリスト』坂口安吾

2023-01-10 11:49:09 | 酒にまつわる言葉

 (「酒にまつわる言葉」という新カテゴリーを作りました。)

 酒は、うまいもんじゃないです。僕はどんなウイスキーでもコニャックでも、イキを殺して、ようやく呑み下しているのだ。酔っ払うために、のんでいるです。酔うと、ねむれます。これも効用のひとつ。

 しかし、酒をのむと、否、酔っ払うと、忘れます。いや、別の人間に誕生します。もしも、自分というものが、忘れる必要がなかったら、何も、こんなものを、私はのみたくない。

 自分を忘れたい、ウソつけ。忘れたきゃ、年中、酒をのんで、酔い通せ。これをデカダンと称す。屁理窟を云ってはならぬ。

 私は生きているのだぜ。さっきも言う通り、人生五十年、タカが知れてらア、そう言うのが、あんまり易しいから、そう言いたくないと言ってるじゃないか。幼稚でも、青くさくても、泥くさくても、なんとか生きているアカシを立てようと心がけているのだ。年中酔い通すぐらいなら、死んでらい。

 


アメリカ政治の混乱

2023-01-06 10:47:46 | 世の中のこと

 昨年のアメリカ中間選挙で共和党が下院の多数派を占めましたが、今度は共和党内の仲間割れで、何度投票しても下院議長の選出ができない事態に陥っています。

 この原因は、やはり前大統領のあのオッサンの存在のようです。オッサン支持派が造反し、共和党多数派の推すオッサンに投票しないのだとか。オッサンばっかりだなw分かりにくいので言い換えると、トランプ支持派がマッカーシーに投票しないのだそうです。

 ここでひらめきました。民主党としては共和党マッカーシーに投票して、さっさと議長選出してしまったらどうでしょうか?どのみち民主党が議長を取れる可能性はゼロですし、仮に議長を取ったところで議会少数派であることは変わらないので意味はありません。民主党がマッカーシーに投票すればオッサン(T)支持派はいきり立ち、多数派が民主党と取引したのではないかと疑心暗鬼になり、共和党内の軋轢は深まります。一方で、民主党は共和党多数派に「恩を売った」形になる。失うものはゼロで、得るものは大きい。ムキになって議長を取りに行かず、それこそ民主党下院議員全員でマッカーシーに投票して、圧倒的多数で議長選出!としてやればいいと思います。

 日本人である私は特に民主党・共和党どちらかを応援しているワケではないですが、トランプだけはダメだと思っているので、トランプ支持派が自滅していくのは歓迎です。人々の憎悪・対立をことさらに煽り立て、その怒りを悪用するトランプの政治姿勢は、まさに民主主義の敵だと思います。

 それにしても混乱していますなぁアメリカ政治。この混乱はアメリカ国内のみならず世界に与える影響が大なので、しっかりして欲しいものです。

 


気になる言葉(令和編)

2022-12-31 12:21:50 | 考えたこと

 ロシアによるウクライナ侵攻と新型コロナウイルスに翻弄された今年も、いよいよ終わろうとしています。

 今年は有名人であれ身近な人であれ、自分が影響を受けた人々が多数亡くなりました。自分の年齢からして、今後そのようなことはますます増えていくことでしょう。仕方のないこととは思いますが、寂しく、また身に堪えます。自分自身の健康と死についても、考えざるを得ません。

 仕事の面で言えば誠に忙しい1年でした。毎年忙しい忙しい言ってる気もしますが、今年はホントに忙しかったんだよぅ(泣)。その忙しい中で、年末に新刊書を書き上げることができました(発売は来年早々)。これは大きな励みとなりました。来年は2冊書いてやろうと目論んでいます。

 さて、実生活の忙しさとは裏腹に今年も閑散としたこのブログ、年末大晦日に何を書こうかと思ったのですが、かつて3年ばかり続けて「気になる言葉」を書くのが年末の定番となってました。

 気になる言葉2012

 気になる言葉2013

 気になる言葉2014

 毎年恒例の行事にしようかと思いましたが、止めました。なぜなら、飽きたから(呆)。というより忘れてたよ。で、今年はこれを復活させようと思います。なぜなら、気まぐれです。

 早速始めます。

 

1「ネタ」と「シャリ」

 Web上のある記事を読みました。「正式な寿司屋でタブーとされること」みたいな記事です(笑)。こういう雑学が大好物なんです。

 寿司屋における「正式」とは何なのか?その定義が気になるところですが、突っ込みどころはそこじゃありません。記事では、大意次のようなことを言ってました。

――お茶のことを「あがり」、お勘定のことを「おあいそ」というのは寿司職人の符丁であって、客の側でそれを使うべきではありません。それは恥ずかしいことです。また、寿司に醤油を付けるときは、ネタに付けるようにしなければなりません。シャリに醤油を付けてはいけません。

 って、分かりますかねぇ突っ込みどころ。「ネタ」も「シャリ」も寿司職人の符丁だろがよお(爆笑)。「ネタ」は「種」をひっくり返した言葉。種には料理などの具、材料という意味があります。「シャリ」は「舎利」。舎利とは仏の遺骨のことで、米の白い粒粒を遺骨になぞらえた表現なのでしょう。

 ネタもシャリも一般化した言葉になっているから客側で使ってもいい?それを言うなら、「あがり」も「おあいそ」も同じことになってしまいます。

 妙に「通ぶって」一般には分からない符丁を使うのは、確かに恥ずかしいことと思います。しかし言葉によるかな。「あがり」と「ネタ」はいいんじゃないですかねぇ?ネタのことを種と言ったら、「ププー!間違えてるよこの人」と逆に笑われてしまいそう。「あおいそ」は語源的に「愛想尽かしのようで申し訳ありませんがお会計をお願いします」という意味のようなので、確かに客の側で言うべきではないかも知れません。「シャリ」は骨でしょ?イメージが悪すぎなんで(客のみならず職人も)使わない方がいいでしょう。

 

2卑下

 最近、こういう表現をよく目にします。

――彼は「岸田氏にはそもそも政治的能力が不足している」と述べて、岸田総理を卑下した。

 分かりますかねぇ?他者を「けなす」「貶める」というような意味で「卑下する」と言っているのです。

 これは落ち着かない表現です。私の中のボキャブラリーでは「卑下する」は謙遜の意味であり、他者を批判するために使うことはあり得ないと思っていました。

――岸田総理は、「私は開成高校という名門校の卒業ですが、東大に3回も落ちた劣等生ですよ」と卑下した。

 岸田総理自身が自分のことを卑下するのは分かりますが、他人が卑下しちゃおかしいだろと思うのです。

 辞書で調べると、卑下には、「1自分を劣ったものとしていやしめること。へりくだること」という意味のほかに、「2いやしめて見下すこと」という意味もあるようです。それでは「卑下する」を「貶める」の意味で使っている人々は、この「2」の意味を自覚し意図して使っているのか?そんなワケねーだんべ!と思うのでございますことよ。そんな使い方、明らかに一般的ではありません。辞書には「2」の用例も載ってましたが、「自修の事を甚だ卑下なる田地に落ち沈ましむるなり」とありました。だけどこれねぇ、明治初期の「西国立志編(中村正直・訳)」の中の一節ですよ。「2」の意味が現代的に残っていることはあり得ないと思うのだけどな。

 

3躊躇う、彷徨う、蹌踉く

 読めますか?順に「ためらう」、「さまよう」、「よろめく」です。難読漢字クイズみたいなサイトを見ていると(だから雑学が好物なんですっ!)よく出てくる言葉です。で、「社会人ならこれくらい読めるのが常識云々」みたいな攻撃材料に使われます。

 だけどさ、これらはもともと「当て字」だよね。文法的には「熟字訓」というのが正しいのかな?意味を取って読み方を当てただけで、「躊躇」が本来的に「ためら」と読むわけじゃないですよ。俗なたとえで言えば、「本気」と書いて「マジ」と読む、みたいなもんです。

 一般的には全てひらがなで書きますし、ひらがなで書く方が正しい(漢字はない)ものだと思います。したがって、これらが読めなくても社会人失格とは言えないでしょう。

 

 と、著しくどうでもいい記事でしたね!来年もまたよろしくお願いいたします。来年も大晦日に「気になる言葉」を書きます!かな?約束はしません。

 

 


相続登記手続きがよく分かる本

2022-12-20 11:38:12 | 仕事のこと

 

 この度、新刊本を出版します。相続登記手続きがよく分かる本(秀和システム)です。

 令和6年4月1日から、相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)が義務化されます。そのためか、すでに現在においても相続登記の件数は増加傾向にあります。本書は、相続登記を自分でしたいという方向けの解説書です。相続に関する書籍は、相続全般を解説するものや、相続対策(相続税や遺産争いについて)の解説書は数多く出ていますが、そのような書籍では相続登記に関する記述は少なめです。そこで本書は、相続登記に特化して書きました。

 このような一般の方向けの法律手続きガイドブックを出版すると、よく聞かれます。「本を読んで自分で手続きする人が増えたら、それだけ仕事が減ってマイナスではないか?」と。

 それに対しては、いつも「お蕎麦屋さん」の例でお答えしています。

 人気あるお蕎麦の名店があったとします。その店主が、この度「おいしい蕎麦の打ち方」の本を出しました。この店主、「あー、こんな本を出したらみんな自分で蕎麦を打つのでお客さん減っちゃうなぁ」と、心配しますか?しないですよね。それは自分の「腕」に自信があるからであり、どれほど懇切丁寧にコツを伝授する本を書いたとしても、おいそれとマネができるものではないことを知っているからです。

 また、お蕎麦屋さんはこのようにも考えます。「店に来て蕎麦を食べたい人と、自分で蕎麦を打ちたい人は、そもそも違う人たちだ」と。お店で食べるのと自分で打つのでは、かかる手間も時間も桁違いですから。で、どうせ自分で蕎麦を打つなら是非おいしい蕎麦を打ってくださいと、蕎麦を愛する者としてコツを惜しみなく伝授するのです。

 私も同じように考えています。

 自分で相続登記をしようと考える人は、私がこの本を書こうが書くまいが、何らかの書籍・情報等を見て自ら相続登記をすることでしょう。だとしたら、もっと深く、もっと丁寧に解説した本を提供したい。市井の法律家として、コツを惜しみなく伝授したいと思っています。それでも難しい案件、難しい相続登記はたくさんあることでしょう。そのときにはどうぞ私に、あるいは私以外の司法書士に委任をして頂きたい。一般の方には難しい相続登記を取り扱う「腕」はおいそれとマネできるものではないという自信を、司法書士は持っています。

 ということで、相続登記を自分でしたいという方、あるいは少し興味があるという方は、どうぞお買い求めください。読んでみたけどどうも難しいという方は、司法書士にご相談ください。本書を通じて相続登記に関心が高まればいいなと思っています。

 なお、発売日は来年1月7日なのでご注意を。実際に発売になりましたら、再度ご案内いたします。


C-C-Bの笠さん死亡

2022-12-18 20:25:15 | おすすめの音楽

 「Romanticが止まらない」などのヒット曲で知られるC-C-Bのドラマー(兼ボーカル)の笠さんがお亡くなりになったとのニュースを聞きました。

 私の母校・高崎高校の翠巒祭(文化祭)は、最終日最後の「紅白歌合戦」が盛り上がるイベントでした。当時流行っていた歌手・バンドのコピーでの歌合戦です。もっとも、何が「紅」で何が「白」なのかよく分かりませんでしたが(男子校)。

 高校3年のとき、C-C-Bのコピーバンドで「Romanticが止まらない」を歌い、紅白に出場しました(笑)ひとつ問題があって、ドラムを担当する同級生は歌が歌えない、歌を担当する私はドラムが叩けない。口パクでいくか、ドラムパク(?)で行くか。5分間に及ぶ長考の末、ドラムパクで私が出て歌うこととなりました。

 いや懐かしい。しかし往時茫々。ずいぶん昔の思い出となってしまいました。

 C-C-Bは確かベースの渡辺さんも若くしてお亡くなりになりましたよね。

 同級生が亡くなったようで寂しいです。

 ご冥福をお祈りいたします。

 

 


防衛力強化と増税

2022-12-16 13:14:19 | 世の中のこと

 わが国の防衛力を強化すべきとの議論がにわかに熱を帯びてきています。それも史上空前の規模であり、防衛費倍増とまでは行かないまでも1.5倍増以上の規模で。よろずにヌルいわが政府にしてここまで思い切った決断をしなければならないほど、わが国を取り巻く安全保障環境は厳しいのかと。その現実に戦慄するものであります。

 さて、防衛力を強化するとして、必要になるのは当然カネですわな。増税という政府の方向性を目の当たりにして、国民は色めき立ちあわてふためき右往左往し。でもさぁ、「日本は甘い!もっと軍事力をつけろ!」と大声で言ってた人たちってかなりいたはずじゃん?どこ行っちゃったの?右派とかタカ派とかいう人たち。「よくぞ決断した政府!金は出すからどうぞ使ってくれ!」という国士様の声は全然聞こえません。もしかして、「軍事力をつけろ(ただしカネのかからない範囲で)」という主張だったの?

 みっともねーのはジミントーのセンセーたち。ビクビク怯えて「増税の前にやることがある」だとさ。それって「事業仕分けで無駄金を数兆円生み出せる」と言ってた旧民主党と一緒じゃん。結局ダメでそれ嗤ってたじゃん。もう忘れちゃったの?センセーたち記憶力悪いの?

 先日観たニュースでは猪口邦子さんが「国を守るのに国民が税金で支えないでどうする!」と、飛沫を撒き散らす勢いで熱弁していました。これまでタカ派の印象の強かった彼女ですが、スジの通った主張だと思います。それに比べてイシバとかなんとかいう輩。ポピュリズムのカタログから出てた人ですか?と聞きたくなるようなフニャフニャ感です。わが県選出のセンセェたちはどうなんですかね。確か防衛副大臣1名に防衛大臣政務官(経験者を含む)が2名。「防衛力強化のためには増税も辞さないかどうか?イエスかノーか?」とお聞きしたいもんです。

 ちょっとフラフラ頼りないですが、それでも防衛力強化のために増税も辞さずの姿勢を示し続けている岸田総理。内閣総理大臣の首と引き換えにしても初志貫徹して欲しいものです。それでこそ漢ぞ、それでこそ政治家ぞ。

 私の意見としては防衛費のために消費税率を少し上げるべきだと思います。将来にわたる安定財源ってそれしかないですよ。国民の命と安全のために必要ならば、やむを得ない負担です。国民全体で負担しましょう。

 国債?バカ言うな(笑)、論外。防衛力の前に財政的・経済的に国が潰れる。