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司法書士 岡住貞宏の雑記帳

日経新聞クロスワードパズル

2024-06-16 15:13:34 | 考えたこと

日経新聞の日曜版にクロスワードパズルがあります。

アレ、すっごい難問が多いんですが、難しいのはいいとして、ちょっと間違ってんじゃないの?ということも多いです。

 

例えば、本日令和6年6月16日の出題(カギ)。

「歌枕としても知られる、宮城・松島湾の塩釜浦にある島」とあります。

答えは「浮島(ウキシマ)」。というか、「ウキシマ」と「答えさせたい」ようであります。

 

枕草子にも「島は八十島。浮島」とあるくらいで、確かに「歌枕」として有名です。

 

しほがまの前に浮きたる浮島の浮きて思ひのある世なりけり

みちのくは世を浮島もありと云ふを関こゆるぎの急がざらなん

塩釜の浦の干潟のあけぼのに霞に残る浮島の松

 

みちのくの、塩釜の浮島。ああ、とても有名なんですね。

 

一見、何の問題もないように見えますが、この浮島、「島」じゃないんですわ、実は。

 

 

もう一度、日経の出題に戻ると「松島湾の塩釜浦にある島」と。まるで海に浮かぶ実在の島のように言ってますが、どこの島じゃい?という感じですね。そもそも、「塩釜浦」というのはどの辺を指しているのでしょう?現在の塩竈港とか塩竈湾、その辺りを指しているのでしょうか?現在は地名として「塩竈」という文字を使うようですが、「塩釜」という表記でよろしいの?地元の人、怒らない?「松島湾の」塩釜というのも、地元の人にとって正しい認識なんでしょうか?

 

昔の人は歌枕なんて実際に行く機会はなく、その噂や字面だけでイメージを膨らませていました。都の人にとって世界の果てであるような「みちのく」に、「世を憂き島」があるわけなんですよ。新幹線も飛行機もありませんし、本物の「浮島」を見て歌った人なんていません。あくまでも文学的な表現です。

 

けれども現代、日経編集部。実際に浮島がどこにあるか、どんな島であるかなんて、容易に調べがつくじゃないですか。実際に行かなくても、Google先生が行ってストリートビュー付きでご案内してくれるじゃないですか。それを平安時代そのままに「塩釜浦にある島」なんて、訳知り顔に。恥ずかしくないのかと思います。

 

日経クロスワードのネタ元は「コトバンク」であることが分かっています(自分調べ)。コトバンクで適当に言葉を拾ってきては、パズルを組み立てる。実はパズル作者自身、知りもしない初めて聞いた言葉、身に付いていない言葉なので、今回のような間違いが頻発します。

 

コトバンクで調べてみると、ありました。「うき‐しま【浮島】  宮城県塩竈(しおがま)市の松島湾塩釜浦にある島。歌枕。(精選版日本語大辞典)」と。この受け売り、というか丸写しだったわけです。精選版日本語大辞典の編者も問題ではありますが、それを疑いもせず丸写しの不勉強さに呆れます。ちなみに陸上の「浮嶋」は、塩竈市ではなく多賀城市にあるとのこと。もっとも、塩竈の海からほど近いのは間違いないようです。

 

同日の出題にもうひとつ変なのがありました。

「2つのカップを合わせたカクテル製造用カップ、〇〇〇カップ」

 

カクテル「製造用」のカップだから「シェーカー」かな?と思いましたが、シェーカーカップとは言わないだろうし字数が合わない。答えは「ジガー」カップ。

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いやそれさあ、カクテルの材料を「計量」するための道具だろ?そういうの「製造用」って言うかフツー?

 

まぁ、お遊びなんだから目くじら立てるのもどうかとは思います(笑)けれども、言葉を使ったお遊びだからこそ、もう少し言葉に敏感にならないと。そもそも新聞社って言葉を商売とする会社なんでしょ?「肝心の新聞記事も調べもせずテキトーに書いてるんだろうな」と思ってしまいます。

 

久しぶりのブログがこんな記事ですいません。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今様 (鈴木良地)
2024-06-16 20:41:57
岡住君が指摘するような問題って令和の日本であまねく起こっているように思います。私が現実に接するのは、職場の極小さい箱の中の出来事なのですが、近年(特にコロナ禍後)の学生と事務職員に同様の不満を感じます。いったん自分の脳で考えてから結果を出力する、というプロセスを(コスパ、タイパと称して)省略する人間が目立ちます。例えば、大学本部からメーリングリストで回ってきた内容がイマイチ分らんのでどういうこと?って学部の事務に聞くと回ってきたもんをそのまま撒いているいるだけなので私は知らんとおっしゃるのです。ネットジャーゴンだった「簡単なお仕事です。」を実践されている方がいらっしゃることは私的には衝撃的なのですが、出入りの業者にこんなことあるんだよって愚痴ると、今はそんなものなんですよって返ってくるので令和の日本では私のように感じるほうが少数派なのかもしれません。
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コメントありがとう! (おかずみ)
2024-06-16 21:58:28
良ちゃんご無沙汰、お元気ですか?コメントありがとうございます。

私も所属する団体からの連絡に「どういうこと?」と質問すると、「さぁ?」との返答がよく返って来ます(笑)
先日は、我々の同級生である県会議員に彼の発言について問い質したら、「さぁ?」と返答が返って来ました。前者(団体)の「さぁ?」は意訳ですが、後者(県議)は文字どおりそのままの「さぁ?」でした。からっきしのバ〇ですね(爆笑)
自分でも分からないことを分からないまま声に出す。それは呪文ですな。日本国中で呪文を唱えているようです。県議も日経新聞も。
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いづこも同じ? (鈴木良地)
2024-06-17 10:07:26
岡住君の周辺も大変そうですね。お仕事自体が大学教員よりかなり面倒くさくて大変だとおもいますが(日本語で意思疎通が出来ない日本人が目立つので)。ウサギの飼育小屋の屋根が強風ではがれかけて対策が必要だと伝えるのに「屋根、バタバタ」としか言えない小学生の話を読んだのが20年ほど前だと思うので、いよいよそういう連中が「社会人」になってきたのかもです。呪文なら、まだ適切な場面でとなえれば効力(開け、ゴマ!)があるので、呪文ですらないですよね。「頭の体操」の多湖輝氏によると女11歳男13歳で記憶の仕組みが変わって、論理的に了解できなかったことは記憶に残らないようになるそうです。呪文主義の方々はそもそも分かってないってことですよね。あまりに結果結果言い過ぎな副作用なんですかね。昭和の脳みそ筋肉の根性論の復活はまっぴらごめんですが、陰陽のバランスをとっていく東洋の哲学はどこにいったのでしょう。これもGHQの呪いなんでしょうか。(夏目雅子の遺作になった「瀬戸内少年野球団」の英語圏でのタイトルは”MacArthur’s Children"なんですよね。)
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