日経新聞の日曜版にクロスワードパズルがあります。
アレ、すっごい難問が多いんですが、難しいのはいいとして、ちょっと間違ってんじゃないの?ということも多いです。
例えば、本日令和6年6月16日の出題(カギ)。
「歌枕としても知られる、宮城・松島湾の塩釜浦にある島」とあります。
答えは「浮島(ウキシマ)」。というか、「ウキシマ」と「答えさせたい」ようであります。
枕草子にも「島は八十島。浮島」とあるくらいで、確かに「歌枕」として有名です。
しほがまの前に浮きたる浮島の浮きて思ひのある世なりけり
みちのくは世を浮島もありと云ふを関こゆるぎの急がざらなん
塩釜の浦の干潟のあけぼのに霞に残る浮島の松
みちのくの、塩釜の浮島。ああ、とても有名なんですね。
一見、何の問題もないように見えますが、この浮島、「島」じゃないんですわ、実は。
もう一度、日経の出題に戻ると「松島湾の塩釜浦にある島」と。まるで海に浮かぶ実在の島のように言ってますが、どこの島じゃい?という感じですね。そもそも、「塩釜浦」というのはどの辺を指しているのでしょう?現在の塩竈港とか塩竈湾、その辺りを指しているのでしょうか?現在は地名として「塩竈」という文字を使うようですが、「塩釜」という表記でよろしいの?地元の人、怒らない?「松島湾の」塩釜というのも、地元の人にとって正しい認識なんでしょうか?
昔の人は歌枕なんて実際に行く機会はなく、その噂や字面だけでイメージを膨らませていました。都の人にとって世界の果てであるような「みちのく」に、「世を憂き島」があるわけなんですよ。新幹線も飛行機もありませんし、本物の「浮島」を見て歌った人なんていません。あくまでも文学的な表現です。
けれども現代、日経編集部。実際に浮島がどこにあるか、どんな島であるかなんて、容易に調べがつくじゃないですか。実際に行かなくても、Google先生が行ってストリートビュー付きでご案内してくれるじゃないですか。それを平安時代そのままに「塩釜浦にある島」なんて、訳知り顔に。恥ずかしくないのかと思います。
日経クロスワードのネタ元は「コトバンク」であることが分かっています(自分調べ)。コトバンクで適当に言葉を拾ってきては、パズルを組み立てる。実はパズル作者自身、知りもしない初めて聞いた言葉、身に付いていない言葉なので、今回のような間違いが頻発します。
コトバンクで調べてみると、ありました。「うき‐しま【浮島】 宮城県塩竈(しおがま)市の松島湾塩釜浦にある島。歌枕。(精選版日本語大辞典)」と。この受け売り、というか丸写しだったわけです。精選版日本語大辞典の編者も問題ではありますが、それを疑いもせず丸写しの不勉強さに呆れます。ちなみに陸上の「浮嶋」は、塩竈市ではなく多賀城市にあるとのこと。もっとも、塩竈の海からほど近いのは間違いないようです。
同日の出題にもうひとつ変なのがありました。
「2つのカップを合わせたカクテル製造用カップ、〇〇〇カップ」
カクテル「製造用」のカップだから「シェーカー」かな?と思いましたが、シェーカーカップとは言わないだろうし字数が合わない。答えは「ジガー」カップ。
いやそれさあ、カクテルの材料を「計量」するための道具だろ?そういうの「製造用」って言うかフツー?
まぁ、お遊びなんだから目くじら立てるのもどうかとは思います(笑)けれども、言葉を使ったお遊びだからこそ、もう少し言葉に敏感にならないと。そもそも新聞社って言葉を商売とする会社なんでしょ?「肝心の新聞記事も調べもせずテキトーに書いてるんだろうな」と思ってしまいます。
久しぶりのブログがこんな記事ですいません。
私も所属する団体からの連絡に「どういうこと?」と質問すると、「さぁ?」との返答がよく返って来ます(笑)
先日は、我々の同級生である県会議員に彼の発言について問い質したら、「さぁ?」と返答が返って来ました。前者(団体)の「さぁ?」は意訳ですが、後者(県議)は文字どおりそのままの「さぁ?」でした。からっきしのバ〇ですね(爆笑)
自分でも分からないことを分からないまま声に出す。それは呪文ですな。日本国中で呪文を唱えているようです。県議も日経新聞も。