前回に引き続き、アメリカ大統領選挙の「不正」について。
トランプは「裁判する!」と息巻いてますが、どうにも理解できないことだらけです。
トランプ票がゴミ箱に捨てられてる画像をネットで拾って来て「これが不正の証拠じゃー!」とイキってるバカはほっとくとして(その写真を誰が撮って、捨てられてた票はいまどこにあるのかと小一時間問い詰めたい気持ちは抑え)、疑問点を3つばかり挙げます。
1ひと口に「裁判」と言いますが、トランプ陣営はどんな裁判をするつもりなんでしょう?
報道ではある州の裁判所の対応として、「開票が終了していることを理由に訴えを退けた」と言ってました。とすると、日本でいう仮処分を申し立てたということ?これから本案に移行するということでしょうか?
本案では選挙全体の無効を訴えるのか、無効票の確認を求めるのか。今回のバイデンvsトランプの得票差は400万票余りあります。激戦州に限ればもっと差は少ないとはいえ、無効票を確認するには数万から数十万の票を検証しなければならないことになります。
その間、よほど大きな不正の証拠でも出れば別ですが、直ちに選挙の効力が停止されるわけでもないでしょう。つまり、選挙結果に従いバイデンは大統領に就任し、ホワイトハウスに入り、孤独なトランプ陣営はその後何カ月もかけて1票1票を検証する・・・なんて、ナンセンスの極みではありませんか。その結果、「選挙は有効」では目も当てられません。
どうもこのあたり、上記のような画像バカは誤解しているようですが、「1票でも不正がみつかったら即選挙無効」ではないですからね。なぜって、100万票の投票(得票)があってそのうち1票の不正で選挙無効にしたら、99万9999票が死んでまうがな。そんなこと認められるわけないじゃないですか。
郵便票だけ全部無効にする、ってのも無理でしょう。だって事前に郵便投票のルールは決まっていたんだもの、それを後から変更されたんじゃルールに従っていた有権者(適正に郵便投票をした人)がたまりません。著しく正義に悖ります。
小さくても不正は不正として厳しく処罰すべきと思いますが、トランプが考えるような結果(選挙無効)を出すのは、かなり難しいんじゃないかなぁ。また、アメリカのような国でそんなに大規模な不正なんてできる訳がないことは、前回の記事で書きました。
2「バイデンは訴訟を受けて立とうとせず、勝利宣言で逃げようとしている。不正をしている証拠だ!」っていう主張も目にしました。
いや、こういう訴訟って、トランプが原告、バイデンが被告じゃないですよ。被告は選挙の実施主体、州政府とか州知事とかじゃないんでしょうか?訴訟当事者でなければ、そりゃ訴訟を受けて立てませんわなぁ。どうにも筋違いというか何というか・・・(暴言自制)
3最後に究極の「そもそも論」を。
そもそもトランプは、裁判所の判決には従うの?自分に不利な判決が出た途端「裁判に不正が行われた、認めない!」って言うなら、はじめから裁判をする意味もないですよ。
さらにそもそも、そんなに選挙制度が信じられないなら、どうして選挙に立候補したのか?まずは選挙の実施「そのものの停止」を裁判で求めるべきだったのでは?
いったんルールに従って戦っておきながら、負けた後でルール変更を主張する。こういうのって、アメリカ人的には恥ずかしくないのかな?木村太郎が「アメリカ人は徹底的に悪あがきをしないことの方が恥ずかしいと感じる」などとほざいてましたが、ホンマかいな?