倉野立人のブログです。

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「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察報告

2024-02-12 | 日記

今期 所属する「長野市議会 水道広域化調査研究特別委員会」の行政視察(1/22〜24)に参加しましたので、その概要をご報告いたします。

 

◇群馬東部域水道企業団の広域化の取り組み (1/24)

 「群馬東部域水道企業団」は、群馬県県内を流れる渡良瀬川(わたらせがわ)・利根川流域の 太田市・館林市・みどり市・板倉町・明和町・千代田町・大泉町・邑楽町(おうらまち)の3市5町が水道事業・水道用水供給事業を広域化した連合企業団です。

 

 

 

 そして、こちら「群馬東部域水道企業団」の広域化の経過については、これまでの視察や いわば一般的な広域化の成り立ちと全く異なるもの(経過)に、私たちは驚きすら覚えたのでありました。

 

◎当地域における広域化の経過

 平成21年 「両毛地域水道事業管理者協議会」設置

 平成24年 「8構成団体首長会議」各首長へ広域化研究推進の打診→承認→同研究会設立

 平成25年 「群馬東部水道広域化基本構想」→同基本計画の策定

    同年 「水道事業統合協定」調印→同協議会の設立

 平成26年 「水道統合準備室」設置

 平成27年 群馬県が「群馬東部水道企業団」の設立許可(連合企業長は太田市長)

 平成28年 4月より事業開始

 

 同地域における水道事業を取り巻く諸課題は、他のエリアと同様に 施設問題や収益問題 さらに職員(高年齢化/実数減少)など、従来型の水道運営による(事業持続の)将来不安がありました。

 

 

 

 その課題可決のためには、事業の広域化が必須であることは認識されたところなのですが、そこ(広域化)に向けての いわば枠組みについては「ボトムアップからトップダウンへ」との、一般的な合意形成とは真逆のプロセスを辿ったものだったそうです。

 前掲の経過を見ても分かるとおり、こちら「群馬東部域水道企業団」は、平成24年の基本構想から早期のうちに事業が開始されています。

 この〝スピード感〟は、関係自治体の首長が「トップダウン」で物事を進めてきたことあるそうなのでした。

 

 

 

説明によると、当該エリアは「上毛6市」と呼ばれ、群馬県太田市・桐生市・館林市・みどり市・栃木県足利市・佐野市が かねてより歴史あるコミュニティを育んでいるそうです。

その「上毛6市」は 既に平成21年頃から水道事業の構想を温め、やがて平成24年に首長会議が開かれた際、リーダーでもある太田市長の号令一下により、堰を切ったように一気に広域化事業が推進されたとのことでありました。

 

 

 

 

一般的に、また これまでの視察で〝体感〟したように、水道事業の統合広域化については 時間をかける中で自治体間の調整を行ない、ある程度条件が整ったところで(総合広域化の)事業に踏み出すところでありますが、こちら「群馬東部水道企業団」は〝まずは広域化〟を掲げ、いわば枠組みを先に作って それから課題の調整を行なうという独自のスタイルで事業に臨んだ(臨むことができた)とのこと。これは非常にレアなケースであり、同時に(逆に)、水道統合事業の統合広域化には 自治体間の信頼関係が不可欠であること(=信頼関係があれば事業はスムーズに進む)を実感したところでありました。

 

 

 

そのうえで同地区においては、平成30年度までの赤字解消/10年間で139億円の費用削減・各自治体からの職員の正規登用などの成果を挙げていることが報告され、手法はトップダウンなれど着実に成果が出ていることが強調されていました。

 

 今回の行政視察を通じ、その地方ごとに多様な方法(理念)の下に統合広域化が行なわれていることを知り、しかして その通底には、水道事業の統合広域化は これからの日本の社会構造の中で避けては通れない道であることも併せ実感したところです。

 そのうえで、統合広域化に当たっては「統合広域化ありき」ではなく、然るべきプロセスを踏むことが重要であること(群馬東部水道事業団についても、一見的には統合ありきに見えるが、その根底には長い歴史がある)、また、エンドユーザーでもある住民に対しても丁寧な説明を重ねてゆくことが肝要であることを再認識したところでありました。