◇長野市議会 令和6年2月臨時会 =みらいハッケンプロジェクト〝体験格差〟が生じないよう最大限の配慮を=
2月1日(木)に、長野市議会 令和6年2月臨時会が招集されました。
この議会においては、国の地方創生臨時交付金などを活用し、住民税所得割非課税世帯及び低所得の子育て世帯に対する価格高騰重点支援金(1世帯10万円/対象8.000世帯)・厳しい経営(運営)状況に陥るバス事業社への緊急支援金・子どもの多様な体験や学びの機会を提供する「子どもの体験・学び応援事業」の拡大に要する予算などが計上され、議論→採決に付されました(可決成立)。
このうち、私は (所管の)福祉環境委員会(こども未来部)で「子どもの体験・学び応援事業(の拡大)みらいハッ!ケン」プロジェクト」について意見具申しました。
「みらいハッ!ケン」プロジェクト とは、長野市が全国に先駆けて実施する 子どもの体験を後押しする事業です。
その趣旨は下記のとおり。
長野オリンピックでは、「子どもたちの参加」を掲げ、当時の子どもたちは大会の観戦や選手との交流、一校一国運動など、本物の体験を通じて多くのことを学び、それが子どもの成長や、生き方・考え方にもプラスの影響を生んできたと感じています。
こうした子どもの成長につながる上質な体験や学びの機会を、形を変えて現在において提供することは、オリンピックを開催した長野市らしい支援の在り方であり、未来に向け「人を育てる」取組を推進するため「子どもの体験・学び応援事業(「みらいハッ!ケン」プロジェクト)」を実施します。
とのことです。
これは いわば、オリンピック金メダリストである荻原市長の〝肝いり事業〟と申せます。
この事業の概要は、市内小中学生の皆さんを対象に 市の登録を受けたスポーツや文化芸術・自然体験・各種教室などの参加費/入会費/月謝等に利用することができる「ポイント」を付与するプロジェクトで、子ども(世帯)は、ポイントを活用し 子どもたちがプログラムを通じて自分の好きな活動を見つけ、自己肯定感を育みながら成長できる環境を提供する というものです。
実は この事業は、いわゆる〝拡大・継続事業〟なのです。
この事業は、昨年11月末から本年1月末にかけて〝モデル事業〟として実施され、利用状況についてモニタリングが行なわれました。
その結果を踏まえ、今回、内容(補助/クーポン支給内容)と実施期間が 拡大・延長されることとなったものです。
長野市に住んでいる小学1年生から中学3年生までの子ども(養育者)に対し、3万円のクーポン券(電子ポイント)を配布・子どもは今年4月から来年3月末までの1年間に亘って 何らかの〝体験〟ができることになっています。
「みらいハッ!ケン」プロジェクト 長野市HP
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【令和6年度も実施します】子どもの体験・学び応援事業(「みらいハッ!ケン」プロジェクト)について
子どもの体験・学び応援モデル事業(みらいハッ!ケンプロジェクト)では、体験活動や習い事で利用できる電子ポイントを配布します。
長野市
私は、この事業の趣旨~未来ある子どもたちに何らかの体験(機会)を促すこと~自体については評価するものです。
そのうえで(委員会)では「市が予算をかけて実施する以上は、全ての子どもに平等に体験の機会が提供(享受)されなければならない」と意見しました。
モデル事業の報告によると、さきに行なわれたモデル事業においては 約6割の子ども(世帯)がサービスを利用したとのことでした。
市(所管課)からは「急きょ実施し 約2ヶ月余の限られた実施期間でしたが、約6割の子どもが(サービスを)利用できました。」との〝自己評価〟が述べられ、多くの議員(委員)からも それを評価する声が出されました。
しかし、私は。
たとえ短期間のモデル期間との制約を差し引いても、6割の子どもがサービス利用→と いうことは、4割もの子ども(世帯)が サービスを利用できないままに期間終了を迎えてしまったのは 評価の一方で〝残念な結果〟だったとも言えるのではないか。
何らか体験できた6割の子どもは満足感を覚えることができたものの、残り4割の子どもは いわば蚊帳の外に置かれたままに過ごすことになってしまった。
これは、実質的な〝体験格差〟だったのではないでしょうか。
ただ ここには、さまざまな理由があろうと思います。
子どもが消極的なままでいた・親御さんや養育者の人が多忙で対応できなかった・事業そのものを知らなかった・参加したくても 条件等が整わず(参加を)見送らざるを得なかった、等々。
しかし 長野市が公金を支弁して事業を実施する以上は、それら多様な理由がありながらも それら全てを斟酌(しんしゃく)したうえで、全ての子どもが(内容はさまざまなれど)〝体験〟を享受できるよう計らってゆかなければならない。
積極的かつ条件の整った子ども(世帯)はサービスを甘受し、それ以外の子ども(世帯)は それ(体験)できないままに過ごすといった格差(体験格差)はあってはならない、と強く具申いたしました。
・・・・・・。
こんなことは考えたくもないのですが、現有の荻原市長は かつてのオリンピック金メダリストです。
いわば 競争を勝ち抜いて頂点を極めた〝勝者〟であります。
しかして それは、文科省(スポーツ庁)の手厚い支援の下(もと)でトレーニングを積んで得た成果であり、それ(金メダルという成果)自体は大(たい)したもんだと思うところですが、その うわば「やる気のある者よ集まれ!」というような〝成果主義〟を、この事業に持ち込んではいないだろうか。
積極的に「手挙げ」した者は報われ、下を向いた者は恩恵を受けなくても仕方ないよね、という理屈は許容されるものではない。特に この事業に関しては。
あと…これは非常に穿(うが)った見方なのですが、この事業の いわば〝源流〟は「経済産業省」にあるらしいのです。
文部科学省でもなければ こども家庭庁でもなく、経済産業省。
経済産業省といえば、さまざまな取り組みを通じて〝経済活性化〟を期する省(所管)です。
その所管が発信する 子どもの体験プラン…求めるところは「子どもの体験を通じて地域経済の活性化を」じゃないだろうか。
であるとすれば、子どもの体験は あくまで〝手段〟で〝目的〟は「地域活性化」だったりして。
そんなことは 考えたくもありませんが。
今後、長野市は モデル事業の〝成果〟を踏まえ、1年間をかけて あまねく子どもに体験の機会を与える、と説明しています。
ところが現実には、共働き家庭・シングルペアレント・障がい児・等々 子どもを取り巻く環境にはさまざまな様態があり、市もそのことは重々に承知しているハズです。
それらを踏まえて 敢えて(再)実施する事業。
市(所管課)は、そのこと(参加し難い子ども(世帯)の存在)については「地域コーディネーター」を配置し対応する としていますが、その成果(キャパシティ)についても 懐疑的な面は否めません。
前述のとおり〝荻原市長の肝いり〟で拡大・継続実施される「みらいハッ!ケン」プロジェクト 」は、その脚光ぶりの陰(かげ)となってしまう子ども(世帯)への目配り・気配りを怠りなくすることこそが強く求められています。
私は議論の最後に、今後 事業(再)開始に合わせ、検証として 定期不定期に中間集計と効果測定を行なうこと、それ(検証)を都度に分析し 未体験の子ども(世帯)に適切に案内(紹介)するなどして、くれぐれも〝体験格差〟が生じないよう、市の責任をもって事業に取り組むことを強く意見具申したところです。