倉野立人のブログです。

日々の思いを、訥々と。

かみ合わない障がい者福祉

2024-02-15 | 日記

ニュースや調査により 障がい者(知的・精神)支援の実態を改めて知る中、一方で〝当事者の実態〟も知らされ、複雑な境地に至ったところでありました。

 

先ずは一報。12日の報道で、神奈川県の「訪問看護会社」が、いわゆる社会的弱者を〝食い物〟にしていた内情がレポート(暴露)され、いわば〝現場の悪しき実態〟があることを改めて知らされることになりました。

 

 

 

それ(報道)によると、この訪問看護会社のターゲットは「障がい者」だったとのこと。

「訪問看護」とは、医師の指示を受けた看護師等が 病気等を抱える人の自宅等に伺い、その人らしい療養生活を送れるように支援するサービスです。

一見的には、この医療サービスは、病気療養中の人や要介護の高齢者の方々を対象にしていると思われていますが、実は近年 精神障がいや知的障がいを抱える障がい者さんを対象にする例が増えているそうなのです。

さらに、これも ある意味において意外ですが、訪問看護を司(つかさど)る「訪問看護ステーション」は 医療法人以外の株式会社等でも開設でき、いわば規制緩和が進んでいるそうなのです。

で、これ(規制緩和)に伴い、利益優先に走り 公的な報酬を不正・過剰に受け取っている事業者が散見されるようになっているとのことなのです。

 

私が見かけた記事では、愛知県内の女性看護師が かつて勤めた訪問看護会社での金満主義を嫌悪し転職したのに、その転職先でも同じような利益優先経営が行なわれており幻滅させられたというものでした。

それによると、こんな手法が 前の職場や転職先で組織的に行なわれていたとのこと。

①「健康管理」などの名目で、運営施設の入居者に 週3回の訪問看護をほぼ一律に契約させる

1人5分程度の短時間で多数の入居者を巡回する

早朝・夜間に訪問したように虚偽の記録を作り、診療報酬の加算を不正請求する 等々

 

さらに、神奈川県内の男性看護師は、かつて勤務した大手の訪問看護会社では、会議資料に「売り上げ」や「利益率」の目標がずらりと並び、目標として「確実に日本一にする!」との文言が掲げられていることに大きな違和感を覚えたそうです。

男性は「経営陣の口癖は「数字で判断せよ」でした。「どのようにしたら高い診療報酬が得られるか」が勤務の基準になっており、利用者のことは二の次三の次。会社では金儲けが優先され、働けば働くほど違和感が募った。」と述懐していたことが伝えられていました。

 

[参考]当該記事

   ↓

 

「患者よりカネもうけ」ナースが見た訪問看護会社のあきれた実態 障害者を「食い物」に(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 看護師が自宅に来てくれる「訪問看護」という医療サービスがある。病気で療養中の人や終末期の高齢者に医療処置をするイメージを思い浮かべる人が多いだろうか。だが、実...

Yahoo!ニュース

 

 

 

 

これまでも、福祉を食い物にしてきた〝偽(いつわ)りの障がい者支援〟が数多(あまた)報じられているところではありますが、この事例のように 法律の範疇の中(合法的)で給付金をせしめる手口は狡猾(こうかつ)と言わざるを得ず、そんな看護会社の手にかかった利用者さんの日常生活は良くなるどころか いわば〝カモ〟にされてると言えるほどでありましょう。

(ただ…現場(訪問先)では、事情をヨク知らない(または適正に判断できない)利用者さんは この〝悪徳訪問看護〟に対しても「ありがとう」と甚(いた)く感謝していることも往々にして想像でき、慚愧(ざんき)に堪えないところです)

 

他方 昨年末には、2022年度に 障がい者さんが施設職員から受けた「虐待」の件数が、過去最高の3,482人に上(のぼ)っていたことも報じられており、こちらも由々しき事態となっています。

 

 

 

[参考]当該記事

   ↓

 

障害者虐待、過去最多3482人 施設職員らから受けた人は4割増:朝日新聞デジタル

 家庭や施設で虐待を受けたと判断された障害者の数は2022年度に3482人にのぼった。厚生労働省が20日公表した。前年度比522人増で、調査を始めた12年度以降で最多。施設職員...

朝日新聞デジタル

 

 

 

このこと(虐待)についても、今さらと言うほど常態化しており(だからこそ過去最多となったのでしょうが)障がい者支援施設の根幹に横たわる問題と申せます。

従前にも触れましたが、本来は 利用者さんが主役であるハズの障がい者支援施設の運営が、いつの間にか 職員が〝主〟となり 利用者さんが〝従〟となっている。

利用者さんが居てくれてこその施設なのに「オレたちがオマエらを管理してやってるんだ」との〝逆転現象〟が。

ここには、職員の認識そのものを改めることが必須だと言わざるを得ないところです。

 

 

そんな中、ブレーンのMくんが また違う視点での障がい者支援…というより 障がい者さんそのものの認識について話して(伝えて)くれました。

 

「合理的配慮」と「わがまま」との対比です。

身体的・精神的にハンディを抱える障がい者さんは、社会的に支援を受ける いわば権利を有しているものですが、その社会的環境の中で ときに「わがまま」になっており で、それを〝当たり前〟と思っているフシがあるんじゃないか。

 

私たち社会(人)は、障がい者さんらに「合理的配慮」の下に支援を行なっています。しかして それは、いわば社会の公序良俗の上でのそれ(配慮)であり、それが利用者さんにとって〝何でもアリ〟と拡大解釈されるようでは、またハナシは違ってくるんじゃないか。

事例とすれば、障がい者さんが 本来はケアプランを作成する立場のケアプランナーに「私の洗濯物を取ってきて」と頼むこと。これは本来 訪問看護者の役割であり、それをケアプランナーに「当たり前のこと」として頼むのは〝わがまま〟じゃないだろうか。

 

[参考]当該記事

   ↓

 

合理的配慮とわがままの違いは?10の実例を交えてポイントを解説 | ミラトレノート

障害のある方が長くはたらけるよう、企業に求めることのできる「合理的配慮」。企業への上手な伝え方と合理的配慮を得るためのポイントについて解説します

ミラトレノート-就労移行支援お役立ち情報

 

 

 

 

そのうえでMくんは「一番の問題は、それぞれの所作(業務)に「公金(税金)があてがわれていることだ」と断じています。

このことは、前掲の全ての課題(問題)に当てはまります。

補助金をせしめる民間看護会社しかり・利用者を虐待する施設(職員)しかり・ケアプランナーに洗濯物を運ばせる利用者さんも然(しか)り、そこには いうなら障がい者さんと何の関係も無い人たちからの税金もが支弁されていること、そんな中で いわば偏(かたよ)った事業が為(な)されているとすれば、それは「不公平」というものではないか。

 

 

・・・・・。

それぞれが それぞれの価値観のままに行動することで生じる〝かみ合わなさ〟。

とりわけ障がい者支援については、それが「社会的弱者の救済」と、目的が崇高であるがゆえに 事態を非常にややこしくしていると申せます。

で、そこには 適正なジャッジメント(判断)が求められるところですが、何というか 関係者が皆おんなじ坩堝(るつぼ)に居ることで、判断能力そのものが低下(麻痺)している傾向にあることも由々しきところと申せます。

 

このままゆけば、社会そのものが瓦解(がかい)することになりはしないだろうか。

憂慮の念を共有したところでありました。