倉野立人のブログです。

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行政視察報告 =東京都日野市「クリーンセンター・プラスチック類資源化施設」=

2023-05-16 | 日記

所属する「長野市議会 福祉環境委員会」の行政視察に参加しています。

この日(5/15)は、東京都日野市のゴミ処理施設「日野市クリーンセンター」に伺い、その中でも「プラスチック類資源化施設」を視察研修しました。

その背景には、環境に関する法律のうち プラスチックの資源活用を推し進める法律「プラスチック資源循環促進法(新プラ法)」の施行(2022年度)があるのです。

 

 

 

 

これまで「プラスチック」に類別されるゴミの分別収集と再資源化は『プラマーク』が付けられた「容器包装プラスチック」を対象に行なわれてきました。

 


 

 

それらを踏まえたうえで「新プラ法」では、これまで分別収集と再資源化が行なわれてこなかった「製品プラスチック」についても、収集・再資源化を行なうことを市区町村の努力義務として定めているのです。

「製品プラスチック」とは、玩具や容器などに用いられる いわゆる〝固いプラスチック〟を指します。

プラごみなどの燃えない固形ゴミは、機械によって破砕(はさい)するのですが、例えば長野市(長野広域)のゴミ処理施設に装備されている破砕機では この製品プラまで砕く強度が無く、現在のところ(製品プラは)不燃ゴミとして処理されています。

 

 

 

時代の流れは この〝固いプラゴミ〟をもリサイクルゴミとして回収すべきというようになってきており、長野市においても その状況変化(新法施行)に則した対応が求められてきています。

日野市は、その点において先駆的な取り組みを行なっているのでした。

 

日野市は、平成2年度に 周辺2市と広域で新たなゴミ処理施設を建設する計画を立てましたが、その計画に対し 地元住民(市民)から反対の声が上がり、そのことが逆に 日野市のゴミ処理に対する意識(ゴミの効率的・有機的処理)を高めることになったそうです。

同市ではこれまで、昭和44年に導入の 路傍にゴミ捨て場を設けた「ダストボックス方式」を採用していましたが、これは いつでも何でも(ゴミを)出せると、市民にとっては便利な方法でしたが、一方で分別・資源化に不適当で さらに設置場所周辺の生活環境が悪化し交通の支障になるなどの問題点があったとのこと。

 

 

 

この状況を打破すべく 日野市は「ごみ改革」と銘打ち、ゴミ収集袋の有料化や個別収集などの〝改革〟を断行、今では全国有数の「ゴミ排出の少ない自治体」にランキングされるようにまでなったそうです。

 

そのうえでの「廃プラ・製品プラの同時回収」です。

日野市では、平成2年のクリーンセンター設置の際 既に製品プラまでも破砕できる強靱な刃をもった破砕機を導入していたそうです。

このことについて 質疑の中で私が問うと、その先見性は 意外なところにあったことが伝えられました。

担当職員によると、新たなクリーンセンターを設置する頃は「製品プラ」の破砕ゴミが 主に海外で需要があり、いくばくかの利益を生む可能性があったそうです。

そこに目をつけた日野市は、新たな施設を整備する際に 製品プラを加工(破砕)できるようにしたうえで、行政の財政負担の軽減(利益の創出)を見込んで、当初から製品プラを破砕できる強靱な機械を導入し 現在に至っているそうです。

ところが その後は社会情勢の変化で、製品プラ(ゴミ)の需要は無くなってしまいましたが 現下「新プラ法」が施行された際には、他自治体に先んじて破砕装備が備えられていたことから 結果「先進市」として評価されることになったそうなのです。

 

 

 

ひと亘りの説明の後、施設内を見学させていただきました。

施設の3Fには「プラスチック類手選別室」が設置されており、多くの作業員の方々が プラスチックとして資源化できる・できないの選別作業を担っておられました。

 

 

 

流れてくるゴミ(基本プラごみ)の中には鋭利な物もあるため、作業員さんは直(じか)に(ゴミに)手指が触れないよう それぞれ工夫を凝らして選別に当たっています。

 

 

こちらの人は「しゃもじ」にスプーン?を取り付け、実に手際よく選別を行なっておられました。

 

 

 

それぞれに工夫を凝らして 一心不乱に作業に臨む作業員さんの姿に直(じか)に接し、当市でもゴミ行政に真摯に向き合う姿勢のようなものを見させていただいた感でありました。

 

その前段では、搬入されたプラごみは ベルトコンベアで「プラスチック類ごみ破袋機」に運ばれ、シュレッダーの刃を巨大化したような機械によって 家庭などから出されたごみ袋を破ったうえで「風力選別機」に運ばれ、強い風を当てることで 重いもの・軽いものに分けられます。そのうえで、手作業による選別に供されるのでした。

それらの工程を経て純度が増したプラごみは「プラスチック製容器包装圧縮梱包機」に運ばれ、ここでプラごみは 一辺1m、約270kgの巨大な立方体ににまとめられ、再製品化すべく「マテリアルリサイクル」され、出荷に供されるのです。

 

 

 

ちなみに この巨大なサイコロの横には、再生リサイクル製品として「パレット」が展示されていました。

住民が排出したゴミが、今度は物流を支える素材として 再び世に出ることになるのです。

 

 

 

 

プラごみを巡る歴史は、去る西暦2000年に 一般廃棄物の減量と資源の有効活用を目的に「容器包装リサイクル法(容リ法)が全面施行されたことに端を発しています。

容リ法では、包装容器を作るメーカーや 包装容器を用いるメーカーなどに対しリサイクルのための費用を支払うことが義務化され、メーカーなどから徴収された費用は 分別収集し再資源化を行う市区町村に再分配されています。

一方、法施化後 まだ日が浅い「新プラ法」に基づき処理される「製品プラスチック」については まだこのような循環型の制度や仕組みができあがっていないのが現状です。

したがって、新プラ法によって製品プラスチックの収集と再資源化が市区町村の努力義務となったものの そのコストは市区町村の自費になってしまうのです。(日野市では 年間で約2,000万円)

このことから、新プラ法という制度(法律)が整備(施行)されたことは評価されるものの、処理に関する支援(補助)などの仕組みはまだこれからの感、各自治体の自助努力に対し適正に支援してゆく国の姿勢も問われるところでありましょう。

とりわけ長野市においては 製品プラを破砕できる強靭な「刃」を有した機械もこれからの配備になることから、さまざまな面で課題が予見されるところです。

 

私たちが社会生活を送る中で 絶対に発生するゴミ。

例えば食品トレイやペットボトルは、飲食の直前までは重宝されても それ(飲食)が終わった途端に邪魔な存在になってしまう。言いようによっては理不尽なものです。

その 便利で快適な社会生活の副産物として生まれるゴミを でき得る限り有効に活用(再利用)してゆくことは、私たち人類に課せられた使命とも申せます。

このことについて、今後も 官民を問わず人智を尽くしてゆくべきことは、循環型社会の構築に向けた必須作業であると 改めて思わされたところであります。