長野市が 子どもたちの欠かせぬ居場所であった「青木島遊園地」を半ば一方的に廃止したことで、市(市長)は 子どもたちの〝新たな居場所を提供する〟として、計画(案)を示し、該当となる青木島小学校で説明会を開催しました。
私は議員の立場で出席(傍聴)しました。(会場は 撮影・録音が禁止)
会場には、保護者が約50名ほど。その他 区長や関係者など合わせて 約100名といったところでしょうか。
説明会が急で しかも週末の午前中ということもあり、肝心の保護者さんたちの出席が少ないのです。
この限られた人数の方々に対して説明を行なったとしても「周知した」とは言えないでしょう。
説明会の中で、長野市は「青木島こども未来プラン(案)」として計画案を示しました。
が その内容(進め方)は、いわば〝期限ありき〟と称されるような拙速な計画(案)でありました。
それによると、計画の大義は「青木島小学校周辺の子育て環境や住環境などの諸課題を一体的・総合的に解決する」とし、さらに「放課後に 離れた場所に移動することなく、伸び伸びと自由に遊べる環境の確保」また「多数となる保護者の送迎車両の(施設周辺への)入り込みなど 子育て環境と住環境の一体的改善を図る」としています。
しかし残念ながら この計画案を読み解くと、その実行のためには かなりの面で(それも肝心の子どもたちに)新たな制約(我慢)と負担を強いるものであることが垣間見えてきます。
(青木島小学校)
計画案の骨子は「統合」です。
青木島遊園地の廃止に併せ そこ(遊園地)に隣接する児童センター(低学年対象の学童保育施設)を廃止、そのうえで 青木島小学校の校内にある子どもプラザ(3年生以上を対象にした学童保育施設)と統合して、学校施設(校庭・体育館など)を遊び場として共用させるとしています。
また 小学校のプールを取り壊して、その跡地を遊び場や職員駐車場として活用するとのこと(水泳の授業は外部の施設を利用)
(プール部分)
さらには将来的に、同校北校舎の長寿命化工事に合わせるように 小学校南側の青木島保育園の移転(老朽化に伴い)を計り、工事の際には そこ(保育園)を仮設教室として活用し、校庭への仮設教室の建設を避ける ということだそうです。
(北校舎)
(青木島保育園)
そして 廃止する児童センターは、不登校対応の中間教室や 子育てママの拠(よりどころ)として活用する、ということです。
(青木島児童センター)
この まるで将棋やチェスの駒を巧みに動かすかの計画案は、一見すると「ヨクできた案」に見えます。
施設を校地内に統合し〝徒歩0分〟の放課後児童施設の運営を実現、さらに潰したプールに新たな遊び場を設け、さらに将来的には 移転する保育園の園児室も仮設教室として活用すれば、校庭を仮設教室で占有することも無い…いかにも理想的な計画案に聞こえるところでありました。
しかし、これを聞いた 私を含めた「現場」の関係者さんは、何故か釈然としないのです。
そうです。そこには、今まさに施設を運営する実態(現状)が加味されておらず、まさに「統合ありき」さらには「期限ありき」の計画案であることが明らかであるからです。
学校関係者や放課後学童施設の関係者さんによると、現在でも 低学年・高学年でそれぞれ120人超の放課後児童を預かっており それぞれ過密状態になっているとのこと。
それが「統合する」ということは、今でも過密な児童センター(低学年)の放課後児童が一気に小学校の校内に流れ込むことになり、その受け皿が必要になるのは当然のことです。
ところが 今の段階では、青木島小学校には 放課後児童を十分に受け容れる空き教室は「無い」とのことです。
そうなると、空き教室以外の〝余裕教室〟をあてがうことになるようですが、それも固定的に確保できるものではなく 教員や支援員さんの余計な負担が増すばかりになることが懸念されます。
何より、これまで「ただいま!」といって〝帰宅〟してきた児童センターが無くなることで、放課後児童の安住(あんじゅう)の場所がそうでなくなってしまうことは、児童にとって〝新たなストレス〟になるのではないかと強く憂慮されるところです。
ちなみに 青木島小学校には、やや広い「集会室」があり 市はそこを当て込んでいたようですが、説明会の後の質疑で そこ(集会室)を活用する全国レベルの青木島合唱団の保護者から「週三回の放課後は 必ずそこ(集会室)を使っているので流用は困る」との声があり、そして何より 市はそのこと(合唱団の定期利用)を知らなかったことが分かったことから、この計画案が いかに付け焼き刃であったことが露呈したのでした。
この計画案は、行政レベルでは〝スピード対応〟として評価されるのかもしれないけれど、これを強行すれば またもや罪も無き放課後児童に窮屈な思いをさせることは自明です。
今回の〝期限ありき〟の計画案を受け、私たち市民は 改めて「子どものためにどうすることが最善か」を共通認識として検証を進めることとしました。
現時点で言えることは「放課後学童施設の校地内への移転統合を否定するものではないが、安全確実に放課後児童を受け容れる環境が整うまでは 青木島児童センターは存続させるべき」ということであります。
長野市(だけじゃないかもしれませんが)には悪い癖があります。
一度(ひとたび)計画を「こうする」と決めたら、後はテコでも動かず 市民の声も聞き置くだけで、既定路線を進もうとする。
しかし 私たちは先に「中部勤青ホーム体育館」の存続を、市民レベルの意見交換会を端緒に(存続を)実現した実績があるのです。
今回の計画案についても、その手法で臨んでいったら。
決して「反対のための反対」ではなく、あくまで建設的に(前掲のとおり)子どもたちのためにどうすることが最善か を、市民と行政(職員)が対等の立場で話し合い 計画を修練してゆく。
市民と行政(職員)は、決して争う立場では無い。
しかし、これまで一方が 片やの意向を斟酌しないままに事(こと)を進めたばっかりに事態がおかしくなってしまった。
もう そんな轍(てつ)は踏まないよう、互いに知見を尽くしてゆこう。
・・・・・。
遊園地を廃止したばっかりに、こんな大仕掛けな計画を立てなければならなくなってしまった。
このことで失なわれたことは 余りに大きい。
これから どれほどの新たな予算と、人件などの手間が要されることか。
そして何より、長期に亘り 子どもたちの居場所を奪ったあげく、行政不信の温床を成してしまった。
返すがえすも…
いずれにしても、こと ここに及んだ以上は、最適な結果を求めてゆきたい。
遊園地を失なったときの悲しい思いを、二度と味わうことのないように。
[参考]青木島こども未来プラン(案) =長野市HP=
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https://www.city.nagano.nagano.jp/n040500/contents/p006040.html