要となる智を継ぐもの

株式投資についてつらつらと書くブログ(走り書き)。誤字脱字錯誤に計算間違い多数。補正・修正は読み手側でしてください。

成長の定義

2011-01-18 11:20:37 | 投資日記
投資を行うに当たって成長と言う言葉を頻繁に使います。これは私を含めて大体の投資家が使う言葉でしょう。仮に3分間で『株式投資と言う仕組みについて要訳せよ』とプレゼンを依頼されればさせれば大体の人が使うと思います。

『成長』

良い言葉です。成長と言う言葉には「飛躍」「繁栄」だとか暗喩を伴っているように思います。

しかしここでもう一度定義を致しましょう。成長とは何でしょうか。色々な人と情報交換をさせていただく上で、この疑問に行き当たりました。成長とは何か、どこから生まれて何を経由し、どこに行きつくのか。非常に興味深く、投資においてこのと言うは非常に有意義な事ではないかと思います。ここで一つ成長と言う言葉を私なりの成長の解釈を記したいと思います。

一般的な意味での成長と言うのは、いわゆる売上成長、利益成長の事であろうと思います。前年比何%の売上増、利益増。これが成長と言う言葉の用途として最も使用頻度が高いと感じております。事実、○収×益と言う言葉は成長を軸にしてPLを論じています。

しかし、逆にBSを軸にした成長は殆ど論じられていません。これは驚くべき事です。PLとBSは少なくとも対等の関係にあると考えております。むしろ、格としてはBSの方が上でしょう。何故ならばPLは一期間の成績しか捉えておらず、半面、BSは設立当初からの痕跡を蓄積しているのですから(※勿論棚卸資産の計上方法や引当金関連、固定資産の減価償却、除却損等はPLにも繁栄されますが…)。

例えばPLが高校2年生の1学期の中間テストの成績だとすれば、BSは小学校から高校2年の1学期の中間テストまで包括的に含んだものだからです。どっちが大事かと言えば、論じがたい所ではありますが、基本的には彼の生き方を投影しているBSの方が重要でしょう。少なくともPLが絶対的に重要だとは私は思いません。

さて本題です、BSの成長率は本当に使えないのか、それとも使えるのか。もし使えるならばどう言う場面で使えるのか。私は結構使えるのではないかと考えています。特に『資本成長率』は秀逸です。何せ、資本は過去利益の塊です。

良く考えてみれば、GDP成長率が消費税以下の世界で利益の成長率を追い求める事は妥当かと言えば、それは違うでしょう。ぐんぐん成長をする企業もありますが、殆どの企業はGDP並の成長しかしないです。大した強みもない企業が成長を求めて拡大すれば既存からの返り討ちを浴びて先行投資を回収できずに赤字で撤退するのが目に見えています。こう言う会社に限って成長拡大路線を発足時には大々的に銘打ってメディアに露出するのですが、撤退時は夜逃げ同然にひっそりと行われるのです(倒産しかけたら、悪い意味でメディアに露出しますが…)。因みに、会社方針に投資家も同調します。銘柄購入時は彼らの計画をロクな査定もせずに信じ、危うくなると反省をせずに他企業の有望性にひかれ乗換ます。悪びれもせずに、『今回の銘柄入れ替えは撤退では無く、乗り換えです』と言っているに違いありません。そしていつのまにかスッテンテン。本当に馬鹿です。ま、私の事ですが…。

さて、気を取り直していきましょう。成長を別の切り口で考えてみましょう。そうですね、最近寒いのであったかい風呂で例えてみましょうか。その前にまず、投資の目標を確認しておきましょう。


投資家の目標は何でしょうか?『嫌な労働をせずに良い生活をしたい』からでしょう。
その為に必要な戦略はなんでしょう?『金持ちになる』からでしょう。
その為に必要な戦術はなんでしょう?『投資で儲ける』でしょう。

これを風呂で言いかえれば、下記のようになります。

目標:あったかい風呂に入って身体を温める事
戦略:バスタブにお湯を溜める事
戦術:バスタブにお湯を素早く溜める事

ここで重要な事、お湯を素早く溜める事で重要な事はなんでしょうか?言うまでもなく、バスタブにお湯が溜まるまでに必要な時間を最小化する事です。その為に考えるべきは、蛇口の水量と満杯になるまでのバスタブの容量です。

そう、大事なのは「蛇口から出る御湯の水量」と「残りのバスタブの容積です」です。言いかえれば、既に溜まった御湯の成長率(=満杯になるまでに必要な御湯の減少率)です。間違っても蛇口から出る御湯の水量の成長率ではありません。それは枝葉であり、大抵の場合まやかしです蛇口は無限に捻れません。給湯器も限界があります。成長するにしても倍になるのに早くて数年、遅いと10数年以上かかります。さらにその成長率を得るために、本来溜められるはずの御湯を犠牲にし、すっからかんのバスタブから御湯張りをし始めていては一向に御湯は溜まりません。

ここで言い変えるのであれば、、

バスタブ=資本家として自立できる原資の量(=年間必要費用/(割引率))
バスタブの御湯=既に持っている資本の量(=簿価or解散価値)
蛇口から出る御湯=既に持っている資本の利益(=ルックスルー利益)
蛇口から出る御湯の水量の成長率=投資先の利益成長率

大前提として、投資先の資本が株式市場を通じて適正に査定され、適正な値が付けられる事が風呂に浸かる最重要前提ですが、まぁ大の期間において簿価に近い価格で時価総額は決定している(PBR0.5以上PBR5以内で殆どの企業の株価は推移)ので、深刻な問題では無いでしょう。数年待てば簿価水準で売却出来る可能性も高まりますしね。ま、いずれにせよ、いつなんどきでも、大抵の場合ボチボチの価格で市場は還元してくれます。パチンコの還元率よりはましだと思ってください。

そう言えば、バフェットは「ROEが15%程度で推移しているのであれば利益の変動はあまり気にしない」なんて事を言っていたのを思い出しました。それはそうです。直利で資本が15%ずつ増えていくのですから願ってもない事です。後は再投資する際に利回りの良い(=資本成長率の高い=資本増殖率の激しい)投資先に投資をしていけばいいわけです。


私も早くゆっくり資本の御湯につかりたいものです。

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