「野球やゴルフ、サッカーには興味がない」
「酒も飲まない、タバコも吸わない。ギャンブルもやらない」
そう言うと、下卑た笑みを浮かべて、
「じゃあ、これ?」 と小指を立てる品のないオヤジの多いこと。
入社以来、いろいろな場面で、そんな会話を何度も繰り返してきました。
野球やゴルフなどスポーツの話題が豊富で、
毎晩、連れ立って飲み屋に行くような酒好きのオヤジたちは、
他の男もみな自分と同じようなものだと思っているようで、
なかなか信じてもらえません。
私は野球やサッカー選手の名前をほとんど知りませんし、
各地のゴルフコースや酒の銘柄のウンチクもありません。
馬の名前も知らなければ、馬券の買い方すら知りません。
このような話題や知識は、
取引先の接待や商談、上司とのコミュニケーションのために必要な、
サラリーマンとしての一般常識だと言う人もいます。
確かにビジネスライフにおいて、これらの話題が場を和ませたり、
相手との親近感を深めるための、導入となることが多いのは事実です。
そういう意味では、若いころはそれをハンデに感じることもありました。
また、人によっては、「人と違う」ということに思い悩むこともあるでしょう。
しかし、そのことを自分にとってプラスにするかマイナスにするかは自分次第です。
人が使える頭脳と時間は限られています。
記憶の中の白いページには、
努力してスポーツの試合結果や芸能アイドルの名前を覚えるくらいなら、
自分が本当に好きなこと、興味のあることを刻むべきです。
仕事に関係のない時間は、
飲みたくもない酒を飲んだり、やりたくもないゴルフをするくらいなら、
自分が本当にしたいこと、興味のあることに使うべきです。
大切なのは、そうして得たことをどうやって活かし、
自分の生活を豊かに、満足したものにしていくかということです。
手段を目的だと勘違いするから悩むのです。
相手が興味を持ってくれるなら話題にすればいいし、
そうでなくても自分がリフレッシュされ、また明日から仕事に立ち向かえるなら、
それはハンデではないし、人と違っていてもいいのです。
サラリーマン生活の残り時間が気になりはじめる頃、
それが間違いではなかったことに気がつくはずです。