美しいフォルム、洗練された筆さばき。
勘のいい人なら、アルタミラやラスコーの洞窟の絵を思い出すかも知れない。
これ、遠い時代の記憶を受け継いで、現在でも作られている工芸品なんです。
ジンバブエの、ヒョウタンを使ったマラカスです。
わかりますよね、この細い柄の部分を握って振ると「シャカシャカシャカ」と小気味良い音を出す、アレです。
それにしてもいろんなデザインが、と言うよりいろんな形のヒョウタンがあるもんです。
丸くてイボイボのなんか、どっちかっつ~とカボチャみたいですよね。
こんなのもあるんです。
マラカスと言う言葉を聞くと、つい連想してしまうところの摩羅滓(まらかす)。
そこからさらに思い浮かべてしまう(思い浮かべないってば!)この嬉し恥ずかしい造形。
ゲイバーのカラオケの脇にタンバリンなんか置くのをやめて、ぜひ一つ備え付けて欲しい逸品です。
これはもう、究極の愛の形、エルゴノミックデザインの結晶。
握りやすさと言い......以下略。
なになに?気が散って歌えない?
ん?でもこれ、ナミビアのなんですよ。
マラ・カスと言う風な下卑た発想はないはず。
どうなってるんだろうねぇ???
ひょっとしてこれ、本来は別の用途なのかも。
宗教上の儀式に使われ、立派なカギの部分がついた柄を股ぐらに挿入して法悦の踊りをおどるとか....んなわけないか。
謎の物体です。
さてと、話題がお下品になってしまったので、気を取り直して繊細な工芸品をご覧に入れましょう。
目は子安貝とも呼ばれるタカラガイの仲間で、髪の毛はどうやらゴクラクチョウの羽で作られている。
用途は......
用途は、もう少し色々見てもらって考えてみるのもイイかも知れない。
これなんか、なかなかカワイイ小物入れというか、ポシェットとしても使えそう。
さっきのがお洒落着なら、こっちは普段着と言ったところですかね。
え?普段着?
もうおわかりですよね。
コテカとか呼ばれてる、あれです。
ペニスケース。
これは残念な事に先っちょが壊れちゃってる。
「ヤリ族」だけに、使ってた人のがよっぽど元気だったのかも知れませんね。>んなわけないから
って言うか、ここの展示品もそうだけど、全部使用済みなのよね。
きゃっ、臭ってきそう。
.....ちょっとまって。
これをコレクションした人たちって、現地に行って原住民が着けてるやつでこれは!と思う物を見つけると、さっそく脱がせて持ち帰ったのかしら?
(^_^;
さてと、ここまでのは、Flaccid Length(平常時)の大きさを収納するには十分なサイズのモノばかりを見てもらいました。
以前、ドイツ人はXLのコンドームしか買わないってな事を書いたことがありますが、見栄っ張りというのはいつの時代にも、そして洋の東西を問わず普遍的に存在するようです。
[経験のない男は小ささを気にし、経験がある男は大きさを気にする。]
誰の言葉だったか、なかなかに味わい深い格言です。
たまに、用途不明な大きさの逸物に出会って、往生したことはありませんか?
色々話を聞いてみると、巨根の人って意外に大きいことを気に病んでたりするんですよね。
やっぱり、細やかなテクニックに勝るモノなしなのかしらん。
.....いけね、なに書いてるんだか。
つづき、行きましょう。
あるいは虚位の申告かもしれないとはいえ、この愛情深いデザインには心惹かれるモノがあります。
とくに、根元を飾る羽根飾りというか付け毛というか、マイフェアレディーにも出てきそうなデザインです。>出てこないってば!
つぎに、パッケージデザインとしても意表をついているモノを一つ。
俗に、「一太、二長、三曲がり」と申しますが、ここまで思い切ったデザインになると、ホントはどんな中身なのかとついつい興味を惹かれてしまうのも人情です。
展示の解説が、なかなか泣かせてくれるんで、載せてみました。
「ペニスケースは各自が形・サイズを工夫し制作する」
もう、何も言いますまい。
さてと、僕としてはここからがホントにビックリだったんだけど、
こんな展示を見つけたんですよ。
なんと、縄文時代のヒョウタンが見つかったってな話し。
「熊本県宇土市の曽畑貝塚からも、縄文
時代前期のヒョウタンが1個完全形で
1987年に発見されている。現在までし
られている縄文時代のヒョウタンはす
べて壷形で、沖縄には近年までそれに
近い形が残っていた。」
これまでのところ、一番古いのは琵琶湖の湖底の縄文遺跡でみつかったやつで、放射性炭素による分析では今からおよそ9800年前(9600年±110年BP.)と測定されているって言うんだから、オドロキ!
いえね、さっきの写真で気がついた人もいるかもしんないけど、インドネシアでも部族によってはペニスケースは使われてるのよね、未だに。
んでね、南の海経由で日本に渡ってきた連中の中にも、ペニスケース愛用派がいたかもしれないって事。現に、材料のヒョウタンは、こうして縄文遺跡からちゃ~んと見つかってるしね。
ただ、残念なことに、「現在までしられている縄文時代のヒョウタンはすべて壷形」ってことで、なぜかペニスケースに使える細長いヒョウタンは見つかってないのよねぇ。
日本の土を、ペニスケースふりふり闊歩してたご先祖様を想像しかけたのに、栽培がうまくいかなかったのかしら。
で、仕方なしに壷形のヒョウタンの底を切ってヒモで腰に固定して.....ハッ!これって、もしかして、黒猫のプロトタイプ?
発見だわっ!きっとこれは大発見よっっ!>ぼかっ!
閑話休題
興味ある人は人類の原器ヒョウタン1万年の世界展へ
それは、夜ごとに冷気を募らせ、虫たちを押し黙らせる秋雨の合間に、姿は見せず居所を知らせてくる。
それは、そう、雨傘越しに通り過ぎた人のベーラムの香りにはっとさせられるのと似ている。
ベーラムの香りか。長い不在のうちに忘れ果てたと思っていたのに、一瞬のうちにすべてを思い出す。
この匂いは誰?
この匂いは、若き日の父の匂い。
あぁ、そうではなかった。
追憶は飛躍しやすいものだ。
夜の戸口に立ち、ポケットの鍵をまさぐっているその時、今僕の鼻腔をくすぐり、遠い記憶をたぐり寄せたこの匂いは?そう、金木犀の香りだった。
それは、夜の街のどこかに佇んでいるはずだ。
普段は忘れているけれど、そう遠くないどこかに。
今はもういない父の記憶のように。
記憶は彷徨う。
学生の頃暮らしていた世田谷の砧という町で、小ぶりのオリーブのような実をたわわに着けた木を見かけた事がある。白色の花を咲かせるギンモクセイ(Osmanthus fragrans)だった。キンモクセイは、実を着けない。原産地の中国から持ち込まれたのが雄株だけで、未だに国内で流通しているものに雌株がないためなんだそうな。
みのひとつだに なきぞかなしき
とは、実はこの金木犀のことであったか。>違うからっ!
僕の大好きな西脇順三郎に言わせると
「見よこの人を」空をみあげるとキンモクセイの黒い
大木が老人のように立っている
田園の憂鬱の源泉
サボテンのメキシコの憂鬱
ウパニシャッドの中へ香水をたらしたようだ
西脇順三郎 「粘土」から抜粋
となる。
古代哲学の香りが夜を満たす。
ところで、僕はかつて、とっても出来の悪い生徒が集まる事で有名な某女子校の非常勤講師をした事がある。
後輩の身代わりというか、言ってみれば人身御供。
とんでもないアホ集団のまっただ中に突然投げ込まれたのだった。
それが僕の偏見から来るものでないという証拠に、そこを無事にやめて何年かしてから卒業生たちと呑む事になったとき、例えばこんな話を聞かされた。
「先生は知らなかったと思うけど、あのときアタシは●●してたのよ」
「やだっ、だいじょうぶよぉ~、すぐに●●したから」
とか、ああ、やっぱりとてもじゃないけど書けないや。
で、無難な当時の授業中のエピソードを紹介しようかと思うのだ。
「センセ~、ちょっと聞いて良い?」
「ん?なに?質問? めずらしいねぇ、良いよ!」と僕。
「あのさぁ、この頃町のあっちこっちでぇ~、トイレの臭いがするのよぉ~。あれってなんなのぉ~?」
「そうそう、くっさいのよぉ~。あれ何なの?」
「え? 汲み取りとか?」と僕。
「やだ、ちがうのぉ~。もっとねぇ、ネチョォ~っと甘ったるい臭いって言うのかなぁ。」
「そうそう、この頃急になのよ。あっちこっちで気持ちわっる~いのぉ~」
もちろん、この質問?授業の流れを全く無視している。
まぁ息抜きに良いかってんで、僕も話に乗る。
「あ、わかったよ。それ、金木犀の香りだよ。」
「へ? キンモクセイ?なにそれ?」
「木の花の香りなんだよ。」
「うっそ~、やっだ~、きも~い! それってトイレの臭いのする花なの?」
「キャァ~、信じられなぁ~い!!」
「違うってば、逆! キンモクセイの花の香りを合成してトイレの消臭剤に入れてるの!」と僕。
「ギャァ~、きっも~い!そんなの関係なぁ~い!」
「そうよそうよ。トイレの木、トイレの木!、トイレの木!きゃぁ~っっ!!」
連中、騒ぎ出すきっかけが欲しかっただけだったらしい。
やれやれ。
ピコレットっていう消臭剤が売れ始めた頃のお話し。
で、とにかく、この経験で僕が得た教訓はと言えばこうだ。
・・・キンモクセイの花の下で、恋を語ってはならない・・・・
それは、そう、雨傘越しに通り過ぎた人のベーラムの香りにはっとさせられるのと似ている。
ベーラムの香りか。長い不在のうちに忘れ果てたと思っていたのに、一瞬のうちにすべてを思い出す。
この匂いは誰?
この匂いは、若き日の父の匂い。
あぁ、そうではなかった。
追憶は飛躍しやすいものだ。
夜の戸口に立ち、ポケットの鍵をまさぐっているその時、今僕の鼻腔をくすぐり、遠い記憶をたぐり寄せたこの匂いは?そう、金木犀の香りだった。
それは、夜の街のどこかに佇んでいるはずだ。
普段は忘れているけれど、そう遠くないどこかに。
今はもういない父の記憶のように。
記憶は彷徨う。
学生の頃暮らしていた世田谷の砧という町で、小ぶりのオリーブのような実をたわわに着けた木を見かけた事がある。白色の花を咲かせるギンモクセイ(Osmanthus fragrans)だった。キンモクセイは、実を着けない。原産地の中国から持ち込まれたのが雄株だけで、未だに国内で流通しているものに雌株がないためなんだそうな。
みのひとつだに なきぞかなしき
とは、実はこの金木犀のことであったか。>違うからっ!
僕の大好きな西脇順三郎に言わせると
「見よこの人を」空をみあげるとキンモクセイの黒い
大木が老人のように立っている
田園の憂鬱の源泉
サボテンのメキシコの憂鬱
ウパニシャッドの中へ香水をたらしたようだ
西脇順三郎 「粘土」から抜粋
となる。
古代哲学の香りが夜を満たす。
ところで、僕はかつて、とっても出来の悪い生徒が集まる事で有名な某女子校の非常勤講師をした事がある。
後輩の身代わりというか、言ってみれば人身御供。
とんでもないアホ集団のまっただ中に突然投げ込まれたのだった。
それが僕の偏見から来るものでないという証拠に、そこを無事にやめて何年かしてから卒業生たちと呑む事になったとき、例えばこんな話を聞かされた。
「先生は知らなかったと思うけど、あのときアタシは●●してたのよ」
「やだっ、だいじょうぶよぉ~、すぐに●●したから」
とか、ああ、やっぱりとてもじゃないけど書けないや。
で、無難な当時の授業中のエピソードを紹介しようかと思うのだ。
「センセ~、ちょっと聞いて良い?」
「ん?なに?質問? めずらしいねぇ、良いよ!」と僕。
「あのさぁ、この頃町のあっちこっちでぇ~、トイレの臭いがするのよぉ~。あれってなんなのぉ~?」
「そうそう、くっさいのよぉ~。あれ何なの?」
「え? 汲み取りとか?」と僕。
「やだ、ちがうのぉ~。もっとねぇ、ネチョォ~っと甘ったるい臭いって言うのかなぁ。」
「そうそう、この頃急になのよ。あっちこっちで気持ちわっる~いのぉ~」
もちろん、この質問?授業の流れを全く無視している。
まぁ息抜きに良いかってんで、僕も話に乗る。
「あ、わかったよ。それ、金木犀の香りだよ。」
「へ? キンモクセイ?なにそれ?」
「木の花の香りなんだよ。」
「うっそ~、やっだ~、きも~い! それってトイレの臭いのする花なの?」
「キャァ~、信じられなぁ~い!!」
「違うってば、逆! キンモクセイの花の香りを合成してトイレの消臭剤に入れてるの!」と僕。
「ギャァ~、きっも~い!そんなの関係なぁ~い!」
「そうよそうよ。トイレの木、トイレの木!、トイレの木!きゃぁ~っっ!!」
連中、騒ぎ出すきっかけが欲しかっただけだったらしい。
やれやれ。
ピコレットっていう消臭剤が売れ始めた頃のお話し。
で、とにかく、この経験で僕が得た教訓はと言えばこうだ。
・・・キンモクセイの花の下で、恋を語ってはならない・・・・