中国古代の思想家・荘子は「人間は天地自然であれば、それで幸福なのだ」と説いた。
以下、第一冊【内篇】から引く。
あれこれと精神を疲れさせ同じことを繰り返しながら、
それが同じだという事を知らないでいる。
それを朝三(ちょうさん)とよぶ。
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猿飼いの親方がトチの実を与えるのに「朝三つにして夕方四つにしよう」と言ったところ、
猿どもはみんな怒った。
「それでは朝四つにして夕方三つにしよう」と言ったら猿どもは悦んだという。
実質は変わらないのに、それでいて喜びや怒りの感情が働くことになった。
聖人は善し悪しの分別を調和させて天地自然のバランスに任せるのだ。
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私たちの日常の暮らしにも、この類の事柄が皆無とは言えない。
朝三暮四の四字熟語を戒めとしたい。