般若心経

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般若心経

2017-03-29 | Weblog
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鳩摩羅什 法華経の来た道 (佼成出版社)



 今年1月に刊行されたこの本は2010年に急逝された立松和平氏の未完となった作を息子の横松心平氏が引き継いで執筆した長編小説です。
 鳩摩羅什《くまらじゅう》は玄奘三蔵とともに仏典の二大訳聖の一人として知られており、漢訳した経典は数百点に及び、中でも法華経(妙法蓮華経)は名訳といわれています。また般若心経は玄奘三蔵訳のものがよく知られていますが、その250年ほど前に鳩摩羅什も漢訳しています。
 物語は現代の一人の青年が法華経に出会い、鳩摩羅什の足跡をたどることになる話と、約1600年前の羅什の父鳩摩炎の話から羅什の誕生、成長、修行、経典の漢訳へと至る話が織り交ぜて展開されます。併せて長者窮子《ちょうじゃぐうじ》、良医治子《ろういじし》、諸法の実相などの法華経のお話、また『願以此功徳 普及於一切 我等与衆生 皆共成仏道』によせる羅什の思い入れなどが随所に取り入れられており、興味をそそられながら読み終えました。

【最後の結び】

 鳩摩羅什が漢訳した「妙法蓮華経」は、馬の背に揺られ、山脈をおりてきた風に吹かれ、水田の緑の間を抜け、朝鮮半島にもたらされた。さらに時を経て船に乗せられた経典は、荒れ狂う波を乗り越えて、日本に上陸した。
 千六百年たった今なお、「妙法蓮華経」は訳されたそのままの形で読み継がれている。
 鳩摩羅什が生涯を懸けて磨き上げた一字一句が、私たちの手元にあることの驚きと喜びは、日々、新鮮なものである。

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