般若心経

写経
四国八十八ヶ所

般若心経

2016-06-07 | Weblog
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梅雨入り




般若心経
 お経は、高からず低からず、速からず遅からず、同じ調子で読むのが原則だそうだ。
八十八ヶ所の札所では、いろいろな般若心経を聞くことができる。
響き渡るような大きな声、やっと聞こえるような小さな声、一字一字丁寧に確認しながら読んでいるような般若心経、流暢に滔々と本職のお坊さんだろうかと思うような般若心経。
どこかお国なまりのある般若心経、なかでも大坂の人の般若心経はすぐ判る。
団体の般若心経、これは一段と声が大きい。大勢いるからボリュームが大きくなるのではなく、団体になると一人一人の声が自然と大きくなるようだ。傍でお唱えしていると、ひとりでにその流れに引き込まれてしまう。引き込まれないようにと思っていても、ついつい自分がどこを読んでいるのかわからなくなってしまう。静かに、無心に、また願い事を念じながらお唱えするどころではない。
 ところで、先日お参りした善通寺ですばらしい般若心経を聞いた。本堂ご本尊薬師如来さまの前でのことである。
お遍路姿の中年のご夫婦が少し離れた場所から、お勤めされていた。このご夫婦、とてもいい声である。お唱えしていた般若心経は少し抑揚があり、軽くメロディーがついている。まるで歌っているようである。それでいて仏さまの前での違和感がない、周囲の雰囲気に溶け込んでいる。声明だろうか。聖歌のようでもある。いつも聞く般若心経とはまったく違う。
YouTubeでもいろいろな般若心経を聞くことができるが、このご夫婦のような般若心経は聞いたことがない。
ハーモニーのとれたふたりの声が香の香りただよう少し暗いお堂のなかに静かに響いていた。聞いていてすごく気持ちがよかった。
声楽家だろうか。 またどこかで聞くことができるだろうか。 できれば、もう一度聞いてみたいと思う。