これまで村上通典著『いろは歌の暗号』に掲載されていた五段書きの「あめつち」
を基に字母歌の暗号解読を試みてきたが、字母歌である以上は詩歌としての意味も
当然あると思うので大矢透の意味づけした「天地の詞」を参考にして真の意味を探
ってみたい。
「天地の詞」
分類 字母歌「あめつち」 天地の詞
春 あめ つち ほし そら 天地星空
夏 やま かは みね たに 山川峰谷
秋 くも きり むろ こけ 雲霧室苔
冬 ひと いぬ うへ すゑ 人犬上末
思 ゆわ さる おふせよ 硫黄 猿 生ふせよ
恋 えのえを なれゐて 榎の枝を 馴れ居て
と意訳されている。
春から冬の四季に分けられたところは、対句の形に整えられているし、自然界の様
子が次々目に浮かぶように構成されており、声に出して諳んじても心地よい響きを
持っている。しかし後半の「思」「恋」の箇所になると、まったく趣を変え大矢透
の訳詞ではまったく意味不明となる。
字母歌「たゐに」と同様にこの後半部分が暗号のサインを出している箇所であろう
村上通典氏も下図を用いて後半部分から「なをふせよ→名をふせよ」「ていれ→手
入れ」を暗号と指摘しておられる。
村上氏の説の中で『山』の中に「の」を取り込む口実を述べている部分は面白い。
この点に関しては、「やま」を「山」とした「いろは」の先例が絶好の口実を提
供する。つまり、この図の二字「やま」を「山」で表すと「ま」が抜けるので、そ
の穴埋めに「の」を入れるというのである。
ところが、二字「ひりた」の並び方を変えて「ひたり→左」と読めば、それにつな
がる四字「まね・みき」から「真似・右」が読みとれるので、「やま→山」を真似
て「うへ→上」とし、「へ」が抜けたところにも「の」を入れたくなる。
なぜなら、それで漢字のバランスが取れ、しかも、字母歌であるにもかかわらず、
「え」が重複している「あめつち」の「へま」を確認するように、絵文字『山』の
「へま」の後始末に、「えのえ」の「の」を重複して使うことになり、いかにも意
味ありげに思われるからである。
「左」という言葉をヒントと受け止めて、『山』の左側を見ると、矢印で順序を示
した五字「なをふせよ」が「名を伏せよ」と読めることに気がつく。それに、「天
地の詞」に出てくる「人」「犬」を合成すると「伏」になる。つまり、この図では
「お」を「ぬ」、「え」を「り」に置き換えて、「おくら」と「ひえだ」という名
を伏せているということである。だから*印をつけた二字「ぬり」は名を伏せるた
めの「塗り」と読める。
そのふせられた名を読み取るためには「手入れ」が必要なことを示すかのように、
左側の行の三字「れゐて」を下から読むと「ていれ→手入れ」になることも、いか
にも暗号らしい。このような見方をすれば、「天地の詞」で全く意味の分らなか
た「おふせよえのえをなれいて」が100%暗号に活用されている。
と記載している。
私も村上氏と同じように思っているが、暗号として読む場合の具体的指示を読み取
る必要があろう。
この図で特徴的なのは「えのえ」である。
「えのえ」は上から読んでも「えのえ」。下からよんでも「えのえ」。
つまり「えのえ」の前の部分は上から読み、「えのえ」の後の部分は下から読むと
いう指示なのだ。そうすれば「手入れ名を伏せよ」と暗号文を手にいれることが出
来る。
では「えのえ」とは何でしょうか?
詩歌としての「天地の詞」は前半部分は「上末」まで、なぜなら「すゑ」の「ゑ」
の隣にある「お」によって「おゑ」と読めるから。
すると「ゆわざる(お)ふせよ「えのえ」をなれいて」となる。
しかし、(お)は「ぬくら」の「ぬ」を「お」に変えたために、(ぬ)に置き換え
られているはずである。そうすると「えのえをなれゐて」がイメージとして立ちあ
がってくる。
伏見稲荷縁起の餅を的にして矢を射た物語である。そして、「えのえ」が何を指し
いるかも見えてくる。「えのえ」は「絵の枝」で伏見稲荷神符の絵の中に描かれた
枝、つまり杉の枝を指している。
「なれゐて」は「汝射て」で矢を射た張本人、つまり秦氏をさしていると思われる
しかも秦氏を「ぬ・奴?」と言っている。
「言わざる(ぬ)伏せよ。絵の枝を汝射て」は前回の「たゐに」と同様に、この暗
号も「秦氏」がターゲットのようである。
前回に読み取ったメッセージの「しかにんとする」は「志賀人とする」と解釈する
と欽明天皇以来、秦氏の居住地は山城・志賀の地に一大勢力を誇っていた。
また、「いろはそめ」「あめつちほ」とも読みとったが、これらは字母歌を作成し
た順序であろうか、「いろは ぞ 芽」が始め。「あめつち 穂」で穂は芽が出た
あとに出るものだから、「いろは」の後に出来たものと思われる。
前回の「たゐに」と比較すれば「あめつち」は圧倒的に高度な暗号であろうと思う
が、「秋の七草」にはじまる一連の暗号を知らなければ解くことも難しい暗号では
ないだろうか。
「あめつち」了
を基に字母歌の暗号解読を試みてきたが、字母歌である以上は詩歌としての意味も
当然あると思うので大矢透の意味づけした「天地の詞」を参考にして真の意味を探
ってみたい。
「天地の詞」
分類 字母歌「あめつち」 天地の詞
春 あめ つち ほし そら 天地星空
夏 やま かは みね たに 山川峰谷
秋 くも きり むろ こけ 雲霧室苔
冬 ひと いぬ うへ すゑ 人犬上末
思 ゆわ さる おふせよ 硫黄 猿 生ふせよ
恋 えのえを なれゐて 榎の枝を 馴れ居て
と意訳されている。
春から冬の四季に分けられたところは、対句の形に整えられているし、自然界の様
子が次々目に浮かぶように構成されており、声に出して諳んじても心地よい響きを
持っている。しかし後半の「思」「恋」の箇所になると、まったく趣を変え大矢透
の訳詞ではまったく意味不明となる。
字母歌「たゐに」と同様にこの後半部分が暗号のサインを出している箇所であろう
村上通典氏も下図を用いて後半部分から「なをふせよ→名をふせよ」「ていれ→手
入れ」を暗号と指摘しておられる。
村上氏の説の中で『山』の中に「の」を取り込む口実を述べている部分は面白い。
この点に関しては、「やま」を「山」とした「いろは」の先例が絶好の口実を提
供する。つまり、この図の二字「やま」を「山」で表すと「ま」が抜けるので、そ
の穴埋めに「の」を入れるというのである。
ところが、二字「ひりた」の並び方を変えて「ひたり→左」と読めば、それにつな
がる四字「まね・みき」から「真似・右」が読みとれるので、「やま→山」を真似
て「うへ→上」とし、「へ」が抜けたところにも「の」を入れたくなる。
なぜなら、それで漢字のバランスが取れ、しかも、字母歌であるにもかかわらず、
「え」が重複している「あめつち」の「へま」を確認するように、絵文字『山』の
「へま」の後始末に、「えのえ」の「の」を重複して使うことになり、いかにも意
味ありげに思われるからである。
「左」という言葉をヒントと受け止めて、『山』の左側を見ると、矢印で順序を示
した五字「なをふせよ」が「名を伏せよ」と読めることに気がつく。それに、「天
地の詞」に出てくる「人」「犬」を合成すると「伏」になる。つまり、この図では
「お」を「ぬ」、「え」を「り」に置き換えて、「おくら」と「ひえだ」という名
を伏せているということである。だから*印をつけた二字「ぬり」は名を伏せるた
めの「塗り」と読める。
そのふせられた名を読み取るためには「手入れ」が必要なことを示すかのように、
左側の行の三字「れゐて」を下から読むと「ていれ→手入れ」になることも、いか
にも暗号らしい。このような見方をすれば、「天地の詞」で全く意味の分らなか
た「おふせよえのえをなれいて」が100%暗号に活用されている。
と記載している。
私も村上氏と同じように思っているが、暗号として読む場合の具体的指示を読み取
る必要があろう。
この図で特徴的なのは「えのえ」である。
「えのえ」は上から読んでも「えのえ」。下からよんでも「えのえ」。
つまり「えのえ」の前の部分は上から読み、「えのえ」の後の部分は下から読むと
いう指示なのだ。そうすれば「手入れ名を伏せよ」と暗号文を手にいれることが出
来る。
では「えのえ」とは何でしょうか?
詩歌としての「天地の詞」は前半部分は「上末」まで、なぜなら「すゑ」の「ゑ」
の隣にある「お」によって「おゑ」と読めるから。
すると「ゆわざる(お)ふせよ「えのえ」をなれいて」となる。
しかし、(お)は「ぬくら」の「ぬ」を「お」に変えたために、(ぬ)に置き換え
られているはずである。そうすると「えのえをなれゐて」がイメージとして立ちあ
がってくる。
伏見稲荷縁起の餅を的にして矢を射た物語である。そして、「えのえ」が何を指し
いるかも見えてくる。「えのえ」は「絵の枝」で伏見稲荷神符の絵の中に描かれた
枝、つまり杉の枝を指している。
「なれゐて」は「汝射て」で矢を射た張本人、つまり秦氏をさしていると思われる
しかも秦氏を「ぬ・奴?」と言っている。
「言わざる(ぬ)伏せよ。絵の枝を汝射て」は前回の「たゐに」と同様に、この暗
号も「秦氏」がターゲットのようである。
前回に読み取ったメッセージの「しかにんとする」は「志賀人とする」と解釈する
と欽明天皇以来、秦氏の居住地は山城・志賀の地に一大勢力を誇っていた。
また、「いろはそめ」「あめつちほ」とも読みとったが、これらは字母歌を作成し
た順序であろうか、「いろは ぞ 芽」が始め。「あめつち 穂」で穂は芽が出た
あとに出るものだから、「いろは」の後に出来たものと思われる。
前回の「たゐに」と比較すれば「あめつち」は圧倒的に高度な暗号であろうと思う
が、「秋の七草」にはじまる一連の暗号を知らなければ解くことも難しい暗号では
ないだろうか。
「あめつち」了