ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

字母歌に仕組まれた暗号 「いろは」1

2009-11-13 20:27:55 | 日本文化・文学・歴史
字母の一字、一音を用いて歌の形式に意味のある詞をつくる字母歌。古来和歌、短
歌、俳句、川柳などを育み愛好してきた日本人であるが、字母歌として後世に伝え
られているのは「いろは」「あめつち」「たゐに」と呼ばれる三つのみである。
これまで「たゐに」と「あめつち」に仕組まれた暗号の解読を試みてきたが、最後
に「いろは」を取り上げました。

字母歌暗号説が唱えられたのは江戸時代で七段書きされた「いろは」の沓にあたる
七字を「咎なくて死す」と解釈し、これを意図的なものと国学者・谷川士清(こと
すが)が説いており、その後この「咎なくて死す」をテーマに人形浄瑠璃「仮名手
本忠臣蔵」や「菅原伝授手習鑑」の脚本が出来て、現代の歌舞伎にも登場するよう
になったが、大正時代に国学者の大谷透の『音図及手習詞考』以外に文学研究のテ
ーマとする学者はあらわれなかった。しかし一般の人には「咎なくて死す」は魅力
的テーマであり、井沢元彦氏他の本の題材にされたことがきっかけで村上通典氏の
『いろは歌の暗号』が出版された。

村上氏はこの本で暗号解読のための基本的な仕掛け「五段の分かち書き」を試み
その中に隠された「山上憶良」の名前を発見した。この発見がなければ私は字母歌
の暗号に出会うこともなかっただろう。
今回も『いろは歌の暗号』の五段書き「いろは」図を拝借する。



村上氏は、この図のように絵文字「上」に納まる「山上憶良」に気づかれた時を
『いろは歌の暗号』の「暗号解読図第一号」から紹介しよう。

 『猿丸幻視行』のページに印刷された「いろは」の、八字「やまのうへおくら」
に丸印を付けてみると、以外にも、その丸印は、あまり散らばらなかった。これな
ら、一行の文字の数を変えると、もっと意味ありげになるかもしれない。面白半分
の気持ちで、私は図3のように「いろは」を五段書きにして、あらためて八字「や
まのうへおくら」に丸印をつけてみたのである。
すると、「へ」を除く七字が、きれいに、下駄のようにつながった。これを見れ
ば、誰しも偶然以上のものを感じるはずである。そして、一字だけ孤立している
「へ」はなんとかならないだろうかと考えるであろう。
旧かなづかいでは、「上」を「うへ」と書くが「うえ」と読む。したがって、
「へ」を何とかしようとすれば、それを「え」で代用することを思いつく。その
結果、図4のように、山上憶良の名を表わす仮名八字「やまのうえおくら」が落ち
こぼれなく一つにつながることになる。
さらに、図4を眺めていると、「ま」がなければ丸印の集まりが漢字「上」のよう
に見えることに気づく。その漢字「上」は憶良の姓の一字である。誰でも、邪魔に
なる「ま」を始末し、丸印の集まりで漢字「上」ができないかと思うに違いない。
すると、「やま」を漢字「山」に置きかえれば、「まのび」とも「まぬけ」ともと
れる「ま」を始末できることが分かる。したがって、山上憶良の名を表わす仮名が
「いろは」でどんな配置になっているかを調べる気になれば、ほぼ必然的に、漢字
「上」に見える図5が得られることになる。



と記述している。が、上図では「やまのうえおくら」。村上氏も気にしているが正
しくは「やまのうへおくら」でなければならない。
しかし良く観察すると大変面白い答えが二行目に用意されている。

「へ とちりぬ」思わず笑ってしまった。

村上氏の発想で感心したのは「やま」を漢字「山」に置き換えたこと。こうした処
理によって絵文字「上」が完成するし、「上」一字だけでは訴え方が弱いが、山と
上の漢字ふた文字が揃って憶良の姓をはっきり意識できる。

そして「やま」を「山」にすることによって「ま」が抜けた沓の部分にもうひとつ
のメッセージが浮かび上がる。

 左から読むと「もめてゐねよぬほ」
       「揉めて往ねよ奴穂」であろうか?
    意味は「揉めて行ってしまえ奴の族め」
    ただし「往ぬ」は「いぬ」が正しい仮名づかいである。

「あめつち」でも「ゆわさるぬふせよ」→「言わざる奴伏せよ」と読みとったが、
「ぬ」とは誰のことだろうか?








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