「たゐに」は『口遊(くちずさみ)』(970年)という源為憲(みなもとためのり
・?~1011年)が藤原為光の子松雄君(当時七歳・記憶力抜群とされる)のために
暗誦用に作った教科書に載っている字母歌である。
名古屋の真福寺蔵『口遊』「書籍門(19 門のひとつ)」の写本には
大為尓伊天 奈徒武和礼遠曾 支美女須土 安佐利 比由久
也末之呂乃 宇知恵倍留古良 毛波保世与 衣不祢加計奴
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私が字母歌の暗号解読を思い立ったきっかけは、村上通典氏の『「いろは歌」の暗
号』と出会ったことによる。この本は1994年1月に㈱文芸春秋から出版され、著者
は今治明徳高校の数学の先生であったが、古代史の暗号解読に専念するため退職さ
れたという。数学的思考が随所に見られるため、数学音痴の私には理解不能の箇所
も多少あったが、なにより素晴らしいのは暗号解読のための基本的なルールに気づ
かれた事である。 . . . 本文を読む
近世になると字母歌には暗号が仕組まれていると説を発表する人が現れました。
江戸時代の国学者・谷川士清(たにがわことすが・1709年~1776年)が『和訓栞
(わくんのしおり)』という国語辞典を編みましたが、その大綱で七段書きされた
「いろは」の沓(終りの字。始の字は冠という。)にあたる七字「とかなくてし
す」を「咎(罪)なくて死す」と解釈し、これを意図的なもの説いている。
この、いろは歌の . . . 本文を読む
世に広く知られている字母歌は「いろは歌」であるが、他に「あめつち」と「たゐ
に」と呼ばれる字母歌が伝えられている。
「たゐに」は源為憲(?~1011年)が970年に成立させた『口遊(くちずさみ)』
に載っている字母歌である。
『口遊』は為憲が、藤原為光(後に太政大臣)の長男で、当時七歳だった記憶力
抜群の松雄君のために暗誦用に作った。と序文には書かれているが、かなり難解な
部分もあるという事なの . . . 本文を読む
私たちが「じぼ」と耳にしたら、真っ先に連想するのはやさしく慈しんでくれる母
「慈母」でしょうが、今回の謎解きは言葉を生み出すお母さんともいえる「字母」
です。
人は互いに意思や情報を伝えあうときに言葉を交わしあうが、その言葉の発音を示
すつづり字の一つ一つを「字母」という。
その用いる言語によって字母も様々に異なり、英語のアルファベット、インドの梵
字、朝鮮のハングル文字、日本語の仮名などがある . . . 本文を読む