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ブログ 古代からの暗号

「万葉集」秋の七草に隠された日本のルーツを辿る

『東日流外三郡誌』の中の孝謙天皇 16

2011-11-22 17:13:10 | 日本文化・文学・歴史
宮城県多賀城市にある東北歴史博物館で出会った「なまはげ」のお面につけられて
いた表示「あまのはぎ」と「スネカ」は「秋の七草」の「はぎ」(日本人の基層をなす人々
の呼称)そのものを表す民間伝承でした。
一般的に「なまはげ」と呼称されているが、その土地、土地で呼び方が違っている
事はその伝承が古い故と考えられます。「なまはげ」の行事を行う地方は秋田県、
山形県、岩手県、新潟県、福井県などで圧倒的に日本海沿岸にあり、古代にあった
高志(古志・越)の国の領域と重なり、風土記で八束脛の伝承が残されている地域
とも一致している。
『日本書紀』の饒速日尊(火明命)と長髄彦(ながすねひこ)の物語の登場人物や
『越後風土記』や『常陸国風土記』にわずかに記されている「脛の長さが八束ある
ところから名付けられた八束脛」もはるか昔に息づいていた我々日本人の祖先の姿
なのです。裁判で偽書と認定されたという『東日流外三郡誌』ですが、この本が世
に出なかったならば、山上憶良や大伴家持が暗号として残した「はぎ」の存在は永
遠に闇のなかに隠れたまま忘れ去られたことでしょう。

それまでに「あらはばき」(=はぎ)の存在に気づいて疑問を持った人々もあったよう
だが、深く追求してはいない。

*菅江真澄 寛政年間に奥州を巡り歩き、郷里の三河国一宮である砥鹿神社の末社
      にあった「荒羽々気神社」が奥州にあることに疑問を持った。
*柳田国男 『石神問答』で「武蔵には荒脛社と称する由来不明の小社数多く、西
      多摩郡小宮村大字養沢のアラハバキのみは門客人明神社と書くよしに
      候」と関心を示している。
*折口信夫 地主神みたいな神社以前の土着神
*石上堅  『日本民俗大辞典』でアラハバキ神を旧土地神(地主神)と見る「門
      客神地主神」説を打ち出している。
*中山太郎 天孫民族が我が国に渡来せぬ以前に先住民族によって祭られたもの。
*吉野裕子 アラハバキのハハキは蛇を指すとし蛇神信仰とした。

アラハバキ神が世間の注目を浴びるようになったきっかけは『東日流外三郡誌』が
青森県市浦村史資料編として昭和50~52年にかけて刊行されたことによる。その後
様々な本が出版されている。私は平成の初め頃から万葉集の「秋の七草」が掛け
言葉の暗号ではないかと気づき「はぎ」を調べ始めたのだが、そこで出会ったのが
近江雅和著『隠された古代ーアラハバキ神の謎』であった。著者は定年まで読売新
聞社に勤務したという民間の歴史研究家である。

『隠された古代ーアラハバキ神の謎』のまえがきに
「戦後、戦前の皇国史観を否定するあまり、古代史は土器や古墳の編年に置き換え
 られ、科学的に厳密なデータだけを望むことはむしろデータの切り捨てであり、
 マイナスになりかねないのではないか。広く情報を集めて、もっと別の角度と方
 法で実体像を探りだすことを試みてもよいように思われてならない。確からしさ
 を求めて仮説を作り、それでより合理的に説明が出来るのであればその仮説は真
 実に近いはずである。」
あとがきには
「今まで聞いたことのないアラハバキ神とは、いったいどういう神だったのか、そ
 れを何とか解き明かしてみようとして、6年を経過した。『外三郡誌』を足掛か
 りにして探り続けたのだが、津軽に荒吐族が居たことは判っていても、各地のア
 ラハバキ社とどう結び付くのか、なぜ武蔵に集中するのか、と疑問が次から次へ
 と出てくる。そこで今回は、かねて習得していたkj法(文化人類学者・川喜田
 二郎氏の創始した技法)を用いて、がっちりと仮説の組み立てをやってみた。
 kj法では、集めたデータが真実か否かはあまり問題としない。関係ありそうな
 気にかかるデータを集めて、なぜそのデータがうまれたのか、その背後を探る事
 に特徴と意義がある。」
という視点で調査研究をしておられる。

私もまったく同感であり、考古学は歴史研究に必要で重要なことはもちろん承知し
ているが、歴史とは人間の歴史であるという視点が欠けているのではないかという
思いがある。

近江雅和氏の著書『隠された古代ーアラハバキ神の謎』と『記紀解体』(1993年、
彩流社)は私の「はぎ」の教科書となった。



















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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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素晴らしい! (本木陽一)
2011-11-24 22:01:07
こんにちは。偶然このブログに行き当たりまして、ものすごい内容に驚き、いま最初から読ませていただいております。すばらしい研究成果ですね。あまりの素晴らしさにひとまずお礼を。
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