我々現代人にとって、王権の象徴といえば天皇家の三種の神器(八咫鏡・草薙剣・
八尺瓊勾玉)を思い浮かべるが、記紀の神話で王権の象徴として矛が存在している
だろうか?
まず、古事記では既に紹介した八千矛の神(たくさんの矛を持った神)がいる。
また、日本書紀の巻二の本文の大巳貴神(大国主)が葦原中国を天神に献上しよう
とする場面で、国を統治する時に矛を用いよと、次のように述べている。
乃ち国平らけし . . . 本文を読む
出雲王朝の末裔という富家の紋章<交い矛>は平安時代になってから<交い大根>
に変えさせられた、という富氏の証言も確認すべきことと思い『日本家紋総鑑』で
<交い大根>を探してみた。これによれば陰と陽の二種類の<違い大根>があり、
陰の紋を用いる富田氏の注記には「出雲国より起こる宇多源氏佐々木氏族」とあり
陽の紋には本庄氏・丹後国宮津藩の大名家の定紋・美濃国高富藩の大名家の替え
紋とある。また丸に違い . . . 本文を読む
今まで記紀に書かれている神話は、虚構の話であって実在性はないと思われている
が、出雲の神話の中で初めて人間の匂いを感じた。
出雲王朝の末裔という富氏の主張が『古事記』の逸話や諏訪神社の神紋と深く係わ
っていると思われるからだ。富氏の主張には出雲井神社や富村の富神社など具体的
な地名が出てくる。私は朝日カルチャースクールで『出雲国風土記』を学んできた
ので早速地図を広げて、出雲井神社や富神社を探して . . . 本文を読む
伏見稲荷神社の祭神である宇迦之御魂神とは、出雲大社の祭神である大国主命では
ないかと考えている私にとって、誠に貴重な情報が眠っていた。出雲の国譲りに登
場する諏訪神社の祭神・建御名方富命の富を共有し、出雲王朝の末裔という富氏が
現存し、その富氏からの取材を軸に著した『謎の出雲帝国』である。その冒頭には
私の謎解きに係わると思われるヒントが書かれていた。伏見稲荷神符の中で出雲の
建御名方富命を解く鍵 . . . 本文を読む
伏見稲荷神符を解く鍵として描かれている違い鎌をたどっていくうちに、熊野曼荼
羅の中の稲荷神も稲を担いだ老翁として描かれていることがわかった。しかも、こ
の稲荷神が出雲大社の「古伝新嘗祭」の「釜の神事」にも登場する。
古伝新嘗祭は祭りの当日、釜社の神釜を祭場に移した後、夜になってから出雲国造
と神官によって執り行われる。まず、熊野神社から授かった火鑽臼、火鑽杵で鑽り
だした聖火で調理したご飯と酒を . . . 本文を読む