半ぐれ行政書士の徒然日記-Ⅱ

信州は小諸の半ぐれ行政書士
仕事のこと、地域のこと、様々な出来事を徒然なるままに書き記します

おそるべし、元気な90歳

2007年10月02日 | 感じたこと、云いたいこと
 自分が子どもの頃出会った60歳を過ぎた人たちは、例外なく「お爺さん、お婆さん」だった。それは童話に出てくる「お爺さん、お婆さん」と何ら変わりなく違和感も感じられなかった。

 それがどうだろう今のこの変わりようは。僅か三十数年しか経っていないのに、世の中の高齢者の基準が大きく変わってしまったように感じる。
 自分の両親も既に70歳に近い年齢になっているが、昔感じた「お爺さん、お婆さん」という感じが全くしない。もちろん、自分の親に限ったことではない。私の感想では概ね80歳を過ぎなければ「お爺さん、お婆さん」という印象を受けることはなくなった。

 しかし、世の中には90歳を過ぎても歳を感じさせない方も大勢いる。

 まずこの夏にお会いした90歳過ぎの女性。数年前にご主人を亡くし、子どもがいないので、その財産を遺贈させるべく公正証書遺言を作成したいとの依頼を受けたが、この方のお宅に伺いまずビックリさせられた。
 平屋建ての自宅の庭には家一軒分の家庭菜園があり、ナスやピーマン、きゅうり、トマトなど色とりどりの野菜が植えられていた。しかし、その畑や庭には草が一本もないのだ。
 「よく手入れされてますね」と声をかけると、「一人暮らしでやることもありませんからね」と笑って応えられた。家に入るときれいに整理整頓されていて、身の回りのことは全て自分でしているのだという。
 目が衰えてきてとはいうものの耳はしっかり聞こえ、自らの意思も明確に表示できる。とても90過ぎとは信じられず、見た目やその受け答えからは、せいぜい70代前半にしか感じられない。
 本人から承った遺言内容を事前に公証人と打ち合わせ、公証役場に本人をお連れする日を決め、その日取りを伝えにいくと「半ぐれさん、申し訳ないけれどその日は、日が悪いので次の日にでも変えてほしい」とのこと。カレンダーを見ると「仏滅」。
 「やっぱり悪い日とわかって、敢えてその日を選ばなくてもいいものね」
 90歳を過ぎてもしっかりとしている訳がほんの少しだけわかった気がした。

 次にやはり90歳を過ぎた実家の近所のおばさん。我が家では、近所の4軒で農作業を行っているのだが、その方のうちは事情があって夏から秋の間は彼女が主に農業をしている。90歳を過ぎた今でも自転車に乗って畑や田んぼに出かける。
 先月22日に実家で稲刈りがあったのだが、その“稲刈り”作業は「飯米(はんまい)」といって自家消費用で天日干しにする作業のものだった。その日は稲刈り機で刈り倒した稲束を「ハゼ掛け」にかける作業を行った。
 私と彼女がチームを組み、背の高い私がハゼに稲束を掛ける役割、彼女が「ツッタシ」といってハゼ掛けに稲束を掛ける人に稲束を渡す役割をした。
 農業をされたことのない人はほのぼのとした風景を連想されるかもしれないが、誰しもできる限り早く作業を終えたい気持ちが自然と作業の速度をあげる。
 世間話をしながらも徐々にそのペースは速くなり、いつしか私の方が追い付かないほどに彼女は「ツッタシ」を見事にこなした。
 「おばさん、いくつになる?」
 「92」
 「いつまでも元気だね」
 「そりゃそうよ。私たちの時代は食べるものもロクなく。粗食に耐えてきたから、逆に生きることには一生懸命だもの」
 飽食の時代を過ごしてきた我々とは違う人間の逞しさを感じた。




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