女装子愛好クラブ

女装小説、女装ビデオ、女装動画、女装記事などを紹介していきます。

女装小説「アルバイト」10

2025年04月07日 | 女装小説
【10】
 後始末は彼らが手伝ってくれ、七時過ぎに中野駅まで送ってもらい、田無の私のアパートには八時過ぎに帰ってきました。今日一日の楽しかったことを思い出しながら、でも伊豆へ行ったらまた泳げと無理矢理言われたら困るな、でもやっぱり水着を買って持って行こうかななどと他愛もないことを考えながらアパートの階段を上ろうとしたと気暗がりから声をかけられヒーッと思わず小さな悲鳴をあげてしまいました。
 「遅かったな、いい女になってるからそばに来るまでわからなかったぜ」
 工藤君が私の帰りを待っていたようです。
 「何処へ行ってたんだよう。電話をかけてもいつも居ないし、それにそっちから全然連絡してきやがらねえし」
 工藤君は私の顎を彼の手でしやくるようにしながら低い声で脅します。
 私は怯えで身体が震えるのを押えられません。
 「ごめんなさい、毎日ある人の所に女中がわりに行かされてるんです」
 「男にか、お前そいつに女にされてるんか」
 彼は私がやくざのような男に捕まっているのかと想像してるようでちょっと警戒した口振りになりました。
 私は彼をアパートに入れたくないし、自分は太郎さんの女になったのだと言う意識ができています。
 「ねえ、だからここへもしょっちゅう男の人が来るから帰って、お願い」
 「嘘つきやがれえ、俺と別れたいと思って好きなことを言いやがって」
 言うなり私の頬を平手でバーンと叩きました。悲鳴を上げて私はしやがみこみました。彼は私の両手を掴むと泣きながらしやがみこんで許しを請う私を横の路地へ引き摺っていきました。
 日曜日のせいで誰もいないのか、あたりから物音もしません。
 「格好といい、声といいまるっきり女になりやがって」
 彼は地面に倒れた私の側にしやがみ私のワンピースの裾を捲り揚げ、しげしげと眺めながら言います。
 「最後に一回だけサービスしろよ、そしたら許してやるから、それともお別れに思い切り痛めつけてやろうか」
 私は覚悟を決めました、彼はフエラチオだけで終わってしまいます。
 「お願い、言うこと聞きますから堪忍してください」
 私は彼ににじり寄り、立って私の方に向けたGパンのチャックを下ろし彼のものを引き出すと、口に含みました。
 これで私は太郎さんだけの女になれるんだ、「太郎さん許してください」と念じながら口と舌を必死に動かし、工藤君への最後のご奉仕をしました。

出所 「インナーTV」1994年第2号

第2号に掲載された章は以上です。
次からは第3号のものをアップしていきますね。
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桜の木の下で

2025年04月06日 | 女装子愛好日記
おはようございます。
今朝はまだ青空です。

昨日は近くの公園で桜の木の下を歩いてきました。
桜のピンクは青空に映えます。
桜の名所での花見も楽しいですが、毎日歩く公園がピンクで彩られるのを見るのも楽しいですね。

みなさま、よい日曜日をお過ごしください。
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女装小説「アルバイト」9

2025年04月06日 | 女装小説
【9】
 彼がトイレから出てきてどうして泣くのかと尋ねますが自分の気持ちを答えることができません。慰められるとよけい悲しくなってくるばかりです。
 結局、泣くだけ泣くと気分がすっきりしてきました。
 洋服を着て、居間に逃げてしまった彼のそばにそろっと戻り、照れくささを隠してワンピースの衿を直す振りをしていました。
 「お姫さま、やっと落ち着かれましたか、私は決して山賊ではありませんから、そんなに嘆かないでください」
 とどう勘違いしてるのか彼はそんなことを言いながら私を優しく抱き寄せました。
 「謝らないといけないのは私のほうよ、ごめんなさい」
 私は彼の厚い胸の男の匂いをかぎながら、安らぎと女として男を愛する幸せにいつまでも浸っていました。
 ふと時計を見ると、もう四時を回っています。
 「いけない、修ちゃんがもう帰ってくるわ」
 私の意識は一瞬にして主婦の意識に変わりました。
 エプロンをしてキッチンで修くんと約束したハンバーグ作りにかかりました。
 「トモヨ、喉かわいたな」
 居間のソファーに寝そべってテレビを見ながら気楽なことを言ってる彼に冷蔵庫からビールを抜き、ハムとチーズを切って持っていき、
 「美味しいハンバーグを作るんだから、お腹を空かせて待ってて」
 という私の腕をつかんで自分のほうに倒そうとします。
 「もう、どうしてそんなに親子そろって悪さなの」
私は彼の手を引き離しキッチンに逃げました。
 挽肉をこねハンバーグを作り、あとは焼けばいいだけに準備し、野菜サラダを作り終わったところに上手い具合に修くんが帰ってきました。
 「わあ、ハンバーグ、先生の自慢のやつでしょう」
 「そうよ、たくさん作ってあげますからね。お父さんのお料理とはちょっと違うわよ」
 「お、すごい自信」
 彼は当然のように私に彼のバッグを渡すと居間へ走っていきました。
 私はバッグの中味のバスタオルと水泳パンツを手で洗ってベランダに干すため居間を横切ると、
 「修、自分の水泳パンツぐらい自分できちんとしろ」
 とさっきまで私に悪さをしていたくせに偉そうに父親になっているので、私はわざと吹き出す仕種で、彼をからかいました。
 私のハンバーグもサラダも二人に大好評でした。勿論、失敗していても優しい二人はきっとおいしいと誉めてくれるでしょうが今日のは自分でも大満足の出来でした。きっと幸せな主婦の気分が今までにない出来栄えを呼んだのだと思いました。
 「八月になったら、お父さん、本店の方に替わるから、そうなれば休みをとれるから三人で伊豆へ泳ぎに行こうか」
 「えっ、本当、泊まるんでしょ」
 彼の話ではいよいよ彼が彼のお父さんの跡を継いで社長になるそうです。
 「僕は本当はスタンドの現場の仕事をやってる方が向いてるんだが、そういうわけにはいかなくてね」
 「所長が偉くなられるのは当然ですけど、でも営業所の皆は寂しがるでしょうね」
 「ねえ、先生も泳ぐんでしょう」
 私たちがしんみりとなっていると修くんが会話を、父親が言い出した旅行のほうに向けようと割って入ってきます。
 「えっ、私は泳げないから泳がない」
 「大丈夫だよ、教えてやるよ、ねえお父さん」
 「そうだなあ、トモヨ先生の水着姿を拝見したいもんだな」
 私はテーブルの下で彼の足を蹴りました。
 「先生、ビキニ、ハイレグのやつ、」
 にやにや笑いながら修くんまでからかいます。
 「お前、生意気にハイレグなんか知ってるんか」
 「当たり前じゃない、それぐらい」
 「私は絶対水着なんか着ません。もう二人で私をいじめるんだからあ」
 こんな具合に三人で話してると楽しくてすぐに時間を忘れてしまいます。

出所 「インナーTV」1994年第2号

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女装小説「アルバイト」8

2025年04月05日 | 女装小説
【8】
 次の日曜日、所長のほうから、
 「修に泣かされたんだってな」
 「あらっ、修ちゃんが話したんですか」
 「お父さんは本当に先生におちんちんがあるのを見たの。僕は先生は絶対男の人じゃないと思うなと真剣な顔して言ってたよ。そう言われれば、僕も見たことはないから自信なくしたよ」
 「意地悪、もう」
 その日は修くんはラグビーの練習日なので皆で水泳をするということで出かけていました。
 案外、日曜日は二人っきりにさせてやろうとの彼の気遣いかも知れません。
 所長に抱き寄せられ、まず甘いキスだけで早くも陶然となってまるで貧血状態となりました。
 とても暑い日だったので思い切ってノースリーブのサマーワンピースを着ていました。
 綿のオレンジ地に白と黄色の小花模様がプリントされたフエミニンなワンピースでウエストの共布地のベルトをリボン状にバックで結ぶととても可愛らしく自分では気に入っていますが外を歩くまでは勇気がいりました。
 そのワンピースの裾から彼の手が滑り込んできて私の股からその上へとパンスト越しに探るようなタッチで撫で上げていきます。ガードルはつけていないので小さな両股の間に隠れている女の子にないものを探り当てられてしまいました。
 「あっ、やめて、お願い」
 私は身をすくませて恥じらいます。でも彼の手は、執拗に私の小さなものをわざと掴むようにいじくりまわします。
 「意地悪、そんな恥ずかしいことばかりしないで、ああ、もう、あは~ん」
 そんな恥ずかしいことは絶対嫌だと思うのと反対に普段は両股の間に隠せるような男として発育不全な私の男性自身が精一杯大きくなろうと立ち上がり、その快感に泣き出したいほどの気分です。
 さんざん泣かされぐったりとしている私の横に立ち上がったかと思うと、彼は軽がると私を両腕に抱きかかえ寝室に運び、ベッドの上に優しく寝かせました。
 「洋服を脱いだほうがいいかな」
 との彼の言葉に、私はよろよろとベッドから降りワンピースとパンストを脱ぎました。
 彼もTシャツ、ズボンと脱ぎ、トランクスも脱ぎました。
 筋肉質の良く日焼けした逞しい身体に大人の男性自身がそそり立っています。
 ベッドにあぐらをかいた彼に促されてスリップ姿の私もベッドに上がり彼に寄り添いました。彼のたくましい肩から胸、小さな乳首と私の唇で優しく愛撫しながら、私は上半身を折り曲げてゆき、やっと食べることが許され力大のように彼のそそり立った男を口に合みました。
 彼に快感を与えたいと心から願う私は、夢中でしやぶり、砥め、吸いました。
 彼のほうは私のブラの下から手をいれ、乳首は無いけど男にしては大きい乳首を摘むようにして愛撫してくれます。
 ときどき電気にしびれるような快感が身体を走り彼を頬張ったままで呻いてしまいます。
 彼は私の口の中には発射してくれず、今度は私を仰向けに寝かせると、スリップを捲り、ピンクのショーツに覆われた私の下半身をしみじみと見るように眺めました。
 「いやっ、恥ずかしい」
 私は両手で顔を隠して身をよじります。
 「いやあ、ほんとに素敵だよ、こんなきれいなパンティをはいて、それに細くて白い足、ここはちょっと膨らんでいるけどそれでも女の子だと言われると錯覚してしまうよ」
 恥ずかしがってうつ伏せになろうとする私を許さず仰向けに押さえつけたままで今度は私の片足を手で持ち上げて、ショーツを片足だけ脱がせました。片一方の太股にショーツを引っ掛けているような格好で下半身がむきだしにされました。
 「すぱらしいよ。トモヨ可愛いよ」
 歓声をあげながら私の小さな男をいじくります。もともと恥毛の薄い私は腋毛と同じように思い切ってきれいに剃ってしまっていました。
 「修の奴、チンポコの毛が生えたと喜んで見せに来たけど、トモヨのここを見せたらびっくりするだろうな」
 「もういやっ、恥ずかしいことばっかり言って、所長なんか大嫌い」
 私は泣く振りをしてしやくりあげました。
 「ごめんごめん、トモヨが可愛くて堪らないんだ、怒らないで」
 あやすように私の身体を揺さぶりながら所長は顔を寄せるととうとう私のものを口に含みました。
 「ああん、そんなあ」
 恥ずかしさと快感で大きな声で叫びたいような切なさです。
 私の限界を計っているように、しばらくしてやっと私を放してくれた所長は身体をよじってベッドの端っこの小物入れの引き出しに腕を伸ばします。私は飢えた犬のように恥ずかしげもなく彼の男にしやぶりつきます。
 じっとしていて彼に顔を見られるより、顔を伏せて彼に奉仕を続けているほうが恥ずかしくないのが本音です。
 今度は私のアヌスに彼の指が入ってきました。なにかクリームがアヌスの入口からずっと奥のほうまで塗られています。
 私は覚悟して身を固くしていました。
 工藤君とは三回セックスをしましたが、いつも私が彼にフエラチオをさせられて、精液を飲まされるだけでした。
 仰向けの私の両足を抱え上げて、彼が入ってきました。焼け火箸を当てられるというたとえを聞きますが勿論そんな経験はありません。しかし本当にそんな経験を自分が知っていたようにその瞬間目がくらみそのたとえを実感しました。
 「力を抜いて、だんだんなれてくるから」
 彼の声を聞くと私は安心します。彼のもので自分の身体を貫かれているという感激のほうが痛みより強く、痛みを忘れさせてくれます。嬉しさに涙が湧いてきて目尻からこぼれるのに気がついた彼は、
「そんなに痛いのかい」
 と動きを止めて聞いてくれます。
 「違うの、嬉しいから」
 「ああ、好きだよトモヨ、これからは僕は君の所長じやないからね、西野太郎という恋人だよ」
 彼は私の唇を吸いながら、両手で私をきつく抱きしめ腰を突き上げます。
 私は大学生になってから、声変わりが完全にしていない地声をわざと低く押える不自然な発声方法で少しでも男らしく見せようと苦心していましたが、最近はそれをやめて自然に戻し、逆にもっと高く細い声を出そうと意識していましたが、今や完全に女になっている私から無意識に耐え切れずあえぎ出る声は女そのものです。自分の声に自分で興奮が高まりもう我慢の限界がきたと気を失いかけたとき、彼の身体が震え硬直したと感じた瞬間、私のアヌスの奥が熱くなりました。
 「ムムムム……」
 「太郎さん」
 彼の私の身体を締め落とすような強い力に気を失いそうになりながら私も思い切りの力で彼を抱き締めます。
 やっと人心地を取り戻した私は自分の男性自身からも少量の精液が飛んで出て、彼のお腹を汚したことに気がつき、死にたいような恥ずかしさを感じながら、あわててテイツシユペーパーで、
 「ごめんなさい」
 と謝りながら彼のお腹から拭きとりました。
 二十二歳にもなって射精の経験のなかったのがこんなときに男であったことを証明され混乱した私は、彼に女にされた喜びも頭の中から飛んでしまい、情なさが頭の中に拡がりもうどうしようもなくなって彼が立ち上がってトイレに入ったとたんに部屋の角っこでしくしくと泣き出してしまいました。

出所 「インナーTV」1994年第2号
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女装小説「アルバイト」7

2025年04月04日 | 女装小説
【7】
 隔日に所長宅に通うことになり、昼過ぎに着くと預かっている合鍵で中に入りい修くんが学校から帰ってくるまでの間、お掃除とお洗濯をします。所長に頼まれたわけではありませんが、私自身でやりたくて、修くんに家の中のことを全て教えてもらい、何がどこにあるかと言うこともすっかり覚え、自由に家事ができるようになりました。
 修くんともすっかり仲良くなりました。
 彼は勉強も私が教えなくても優秀だし、ラグビーのチームに入っています。
 身長は百四十八センチで六年生ではちょっと大きいだけですが、体重は五十キロとだいぶ重いそうで気にしているところが可愛いです。
 私の体重が四十二キロと知って、
 「ねえ、プロレスごっこしようよ、先生は本当は強いんだろう。男の大学生だったと言ったじやない」
 彼の申し出に応じない私に、余りにもしつこく挑んでくるのに少し腹も立ってきたし、喧嘩ではないのだから体重は私より重くても小学生にまさか簡単には負けるはずが無いと思い、
 「一度だけだからね」
 と念を押し、彼の挑戦に応じることにしました。
 しかし弱気な私は絶対欧ったり、蹴ったりしないこと、苦しくなったら我慢しないですぐやめることなどルールをうるさく決めようとすると、
 「もう大丈夫だって、先生が泣いたら、すぐ止めてあげるから」
 とあなどられてしまいました。
 階下は共稼ぎの夫婦で昼間は居ないから少々暴れても大丈夫と言うことで居間のソファーを隣の部屋に片づけてとっ組み合いを開始しました。
 やはり気力で負けている私のほうが、彼の外掛けで筒単に下になって倒れてしまいました。
 倒されてもたもたしている私はたやすく彼に馬乗りになられ両腕を押さえつけられました。私は跳ね起きようとしましたが、両手も彼に乗られた身体もびくとも動きません。疲れと彼の重さでお腹が苦しくてとても駄目だと諦めかけたとき、
 「よしもう一度立たせてやろう、力が弱すぎて面白くないから」
 と言いながら私の上から立ち上がると私の腕を引っ張って起こしてくれました。
 それから私の悲劇は始まりました。
 彼がラグビーチームに入るまで習っていた柔道の技の稽古台にされてるように次から次へと技をかけられ投げられたと思うと引っ張り起こされ、また投げられという有様でした。参ったと言う言葉をだす余裕さえなくして半、べそをかきながら、倒れたまま失神した振りをしようと思っている私の右腕をつかんだ彼は、今度は引っ張り起こさないで私の腕を自分の両股の間に挟むとそのまま私の肩と胸の上に倒れ込みました。
 逆手をとられた私は悲鳴を上げました。逆十字固めだと後で教えられましたが、その痛さと言ったらとても我慢ができませんでした。
 あわてて立ち上がった彼にもう責められないようにうつ伏せのままあまりの痛さに泣いている振りをしましたが、本当に涙が出ていました。
 「もう参ったの」
 勿論嘘泣きだと見破って彼は笑いながら顔を覗き込んできました。
 「もう本当に降参、堪忍して」
 私は指で目尻の涙を拭いながら弱々しく哀願しました。彼は私の涙に気がつきちょっと驚いたようでした。
 「先生ちっとも強くないじやないか、柔道を習いに来てる小学校の女子より弱いよ」
 「だって弱虫だから女の格好してるんじやないの」
 修くんにぼろくそに言われても、一度も反撃さえできず最初から一方的にやられっぱなしの私はもう腹も立ちません。
 修くんよりはっきり弱いことが証明されてさっぱりしました。へんに自分は彼より年長の男だと意識していることが馬鹿みたいでした。
 「お父さんの言うことは嘘だったの?だって先生を怒らせると恐いとか言うんだもの」
 「冗談よ、修くんたら本気でいじめるんだもの、先生気が遠くなりそうだったわ」
 「ごめんね、お父さんに言いつけないでね」
 と言ったくせにすぐに彼から所長にこの日の出来事を話したみたいでした。

出所 「インナーTV」1994年第2号

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女装小説「アルバイト」6

2025年04月03日 | 女装小説
【6】
 七月の最初の日曜日、所長の家へ行く日になりました。
 いろいろと迷った末、やはり小学生とは言え初対面の所長の息子さんにどう思われるか心配だったので、赤井さんのアドバイスとは反対にあんまり女っぽい格好はやめました。と言うよりやはり女装に勇気と自信がありませんでした。
 スタンダードな白の綿ショーツに薄いブラウンのパンストをはき、その上に白のショートガードルをはき、工藤君に泣かされた日の薄ブルーグレイのソフトジーンズパンツをはきました。
 上半身には色々の厚さのパッドを自分で縫い付けたブラの中から一番薄いパッドの白のシンプルなジュニア用のようなブラを選んで着け、ホワイトブルーのニット編みのポロシャツを着ました。胸の膨らみはほとんど目立たず、ブラが透けてみえることもありせんが、色をパンツと合わせたつもりだったのが、ポロシャツのホワイトブルーは着て鏡に映してみるとすごく女っぽくちょっと恥ずかしくためらいましたが、女なんだから当たり前かなと思い直して、顔に軽くファンデーションをつけ口紅だけを塗りました。
 お昼過ぎ中野駅から近い素敵なマンションの四階の所長の家に行きました。
 表札を見て所長の名前が西野太郎ということを初めて知りました。
 西野所長がバイト先のガソリンスタンドの本店の社長の息子だと言うこと、奥さんともう何年も前に離婚をして、やもめ暮らしであると言うことぐらいは赤井さんから聞いて知っていましたが、肝心の名前さえ知らなかったのです。
 所長と息子さんはテレビを見ていました。
 「ちょっと待っててね、もうすぐ終わりだから」
 しかたなくラグビーを大声で応援している二人の前のソファーに座ってじっとしていました。
 「ラグビーは好きじゃない?」
 退屈そうにしている私に気がついた所長に尋ねられました。
 「当たり前だよ、先生は女の人なのに」
 「ははは、びっくりするだろうがこの先生は男の人なんだよ」
 「うそだあ」
 大声を出しながらソフアーにのけ反ったやや肥満型の息子さん以上に私のほうがびっくりしました。女として
家庭教師をしてくれと私に言っておきながら、まだ改まって紹介もしてないうちから男だとばらしてしまうので
すから。
 私は恥ずかしさに身の置場がない思いで、恨めしげに所長の顔を吽々にらみながら、俯いていました。
 息子さんは興昧深げにテレビより私のほうをちらちらと眺めます。
 やっと所長はテレビを消しました。
 「お待たせ、こいつが息子の修です。よろしく」
 私は修くんに恥ずかしげに会釈をしました。
 「修、こちらが原田トモヨ先生、ご挨拶しなさい」
 「こんにちわ、トモヨだから、先生やっぱり女なんだよねえ」
 「いや、先生は本当に男なんだ。だけどまるっきり女の人と変わらないだろう。だから女の人として暮らしているんだ。人間は自分に合った好きな生き方をすればいいんだよ。人の真似ばかりしたり、自分の意思が弱い人間が一番良くないんだ、ゴーイングマイウエイを貫く勇気こそが男らしさなんだよ」
 けっして好きで始めたわけでなく無理矢理させられた時に、断る勇気が無かっただけで、しかも女装をするようになってからよけい意気地無しをさらけだすようになっている自分にとって、耳の痛い皮肉な褒め方で修くんを諭している所長が恨めしい気がしました。
 「だからお前、先生を女だと砥めたことをしたら、本当はすごく強いから恐いぞ。先生、もしあんまり言うことを聞かなかったら、遠慮なくがつんとやってやってください」
 所長はますます図にのって言いたいことを言って、目を丸くしている修くんにわからないように私にウインクしました。
 でも私もますます恥ずかしくて家庭教師に来ていることも忘れて、身をすくませて、修くんの前で畏まっていました。
 「今日は勉強しなくともいいんでしょ、漫画読んでこようっと」
 父親が居るせいもあり、お互いに照れ合って私と修くんの会話が弾まないのに耐え切れなくなったのか、修くんは自分の部屋へ逃げていってしまいました。
 にやにや笑うばかりで、私と修くんの盛り上がらない途切れがちな会話に助け船を出してくれなかった所長は、
 「やっと俺達に気を利かせんといかんとわかったのかな」
 と言いながら私の横に座って腰の後に手を回してきました。
「所長、ひどい、最初から私のことをばらしてしまって」
「だったら、ずっと隠しておいたほうが良いのかい」
 改まって言われると困ってしまいます。
 「だって、あんなふうにはっきりと言われると恥ずかしいですもの」
 所長は腰に回した腕に力を入れ私を引き寄せました。
所長の胸に顔を寄せるような格好をとらされ、自然と女っぽくなってしまった私は彼の胸に顔を隠しながら、甘えるようになじりました。
 「すべて初めからわからせておいたほうがお互いに理解し合えるんだよ。心配いらないって」
 彼は私の顔を上げさせ、私を抱き寄せると私の唇に彼の唇を合わせました。
 唇同士の軽い触れ合いから今度は私の唇をこじあけるように舌を入れ私の舌を弄んだり強く口を吸ったり、私は夢の中にいるように陶然となってしまいました。
 さすがに修くんが同じ家にいることで所長はそれ以上のことはしませんでしたが、私は女として所長にこのまま愛されたいと願いながらしばらくの間、彼の厚い胸に身をもたれかけていました。
 それから気を取り直し身繕いし、所長に頼まれてキッチンに行きお湯を沸かしました。私にお皿やカップや紅茶のあり場所を教えに来た所長に、またお皿を待ったまま抱き寄せられ、膝の力ががくんと抜けるような愛撫を受けました。
 「むうお紅茶がいれられないから・:、修くんを呼んで向こうで大人しくしていてちょうだい」
 と彼を居間に押し戻しました。
 三人で私が買ってきたケーキと紅茶をいただきましたが、所長の愛撫を受けただけですっかり気分が落ち着いて自信が湧いてきていることが我ながら不思議でした。

出所 「インナーTV」1994年第2号
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女装小説「アルバイト」5

2025年04月02日 | 女装小説
これまでは第1号に掲載されたものをご紹介しましたが、ここからは第2号に掲載されています。

【5】
 私は女装にすっかり慣れたと言うより、女子学生のアルバイターとしての生活が身に付いてしまったため、男装をしていても女の子と間違えられるほどで、なんとなく大学へも行きにくくなり、もっぱら毎日バイト先のガソリンスタンドに通っていました。
 工藤君はあれ以来も相変わらず私に対する態度は冷淡だし、時には横暴でした。
 私自身の彼に対する恐怖心は小さくはなりましたが、自分の女のように扱われ服従させられ、いつも彼の顔色を伺っていなければならないことが憂鬱でした。

 六月も終わろうというそんな頃、私は西野所長から事務室に呼ばれました。
 「トモヨちゃん、申し訳ないんだが、君は今月で終わりにしてもらいたいんだ」
 私は突然のことでびっくりしました。
 内心ではバイトをやめたいなと思いながら工藤君が恐くて言いだしかねていたのですから喜ぶべきなのですが、突然それを所長から言われたので不意を突かれた気分でした。
 「本社のほうから、夏休みの女子学生のアルバイトが三人も来ることになってしまったのだよ。それでトモヨちやゃんに男の子として働かせるのは無理だし…………そう言うわけなんだ」
 「はい…………わかりました」
 「それで、僕から個人的に君に頼みがあるんだが」
 「はい、何でしょうか」
 「僕は本当の女の子より女らしいトモヨちゃんが大好きなんだが、夏休みの間、僕の息子の家庭教師をやってもらえないかと思って。小学校六年生なんだが、いつも一人で放ったらかしにして可哀相なんだ。勿論バイト代ははずむよ」
 「でも私にできるでしょうか。あんまり自信がありませんけど」
 「大丈夫だよ。優しいお姉さんとしてつき合ってやってほしいんだ」
 「ええっ、今と同じように女としてですか」
 「勿論そうだよ。僕は息子が勉強なんかできなくったっていっこうに構わないと思ってるから、ただ夏休みに君のような優しい人と過ごさせてやりたいだけなんだ」

 思いがけない話に戸惑いながらも、私のような者を馬鹿にしないでいつも優しく思い遣りのある態度で接して
くれている所長に、以前から憧れを抱いていましたので、結局七月から所長の家へ行くことに承知しました。
 お陰と言うか工藤君からは、私の方から好んで辞めることを決めたわけじやないため、恐い顔でにらんでいるだけで文句は言われませんでした。
 三か月のバイト代を貯めてあったので赤井さんにつき合ってもらい、洋服、下着、アクセサリイ、化粧品とた
くさんのものを買いました。
 赤井さんは女性にしてはがっちりとした体型で、性格もさっぱりしているせいかいつもパンツルックでスカー
トをはいているのを見たことがありません。
 そのくせ私にはスカートや少女ルックのサマーワンピースのようなものばかり勧めます。
 「トモヨはお尻が小さいからパンツより少しフレアーなスカートの方が似合うのよ。私が大好きなんだけど自分には着れそうもないのをトモヨに着てもらうんだから、文句を言わないの。さあ早く着てみて」
 「もういいよ、このサイズなら着なくとも合ってるもの」
 「合ってるって誰に」
 私が照れくさがって女言葉を省略しようとするとすぐに見破って意地悪な質問をしてきたり、言い直しをさせ
たりします。
 「私にきまってるでしょう。もう意地悪」
 「だめだめ、きっちり試着をしないと婦人ものは結構サイズがまちまちなの」
 「だって、試着室は混んでるもの」
 それでも渋る私を許してくれず無理矢理、混んだ試着室へ連れて行かれ何度も着替えをさせられました。
 でも二つ年下の赤井さんはまるで年下の妹の面倒を見るように、私を女性に変身させるために真剣に取り組んでくれます。

出所 「インナーTV」1994年第2号


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女装小説「アルバイト」4

2025年03月31日 | 女装小説
【4】
 私は初めての経験ですが、まさか女として男性に連れて行かれるとは、考えてもいませんでした。
 逆らうことを諦めている私は、俯いて彼に従いました。
 部屋に入ってもどうしていいかもわかりません。
 ソファーに座った彼が、
 「ビールを出せよ」
 と言うので私はあわてて冷蔵庫からビールを出し彼に注ぎました。
 「お前も飲めよ」
 「あたし、飲めないから」
 「あたしか、本当にお前は女っぼいな。まあいいからコップを待ってこっちへ来いよ」
 横に座った私にもビールをついだ彼は私の肩を抱き寄せるようにします。
 ビールをこぼさないようにテーブルに置こうと身体を前に曲げたので彼の腕を振り解いたようになりました。
 「あ、お前、俺が嫌なのか、そうかお前大学生だものな、女の恰好してても高校生に負けるわけないよな」
 「違います、コップを置いただけよ、お願い、いじめないで」
 私は彼の胸にすがりました。
 そして彼の胸でまた泣き出していました。

 泣いてる私は彼に抱き寄せられ女性ともしたことの無い初めてのキスを強引にされました。
 そして彼の手は私のシャツのボタンを外し私の腕をとって脱がせ、さらにベルトを外しパンツも脱がせました。
 ブラとガードル姿で彼に抱きすくめられ、唇、耳、首、腋、ブラの中の乳首と彼に愛撫と言うか、荒々しく舐めたり吸ったり噛んだりされ、私は彼の腕の中でぐったりとなってしまいました。
 今度はそんな私のソファーの横の床のじゆうたんに倒すと、ガードルを膝のあたりまで引き下げ、
 「さあ、もっといじめて泣かしてやろうか、この姿で廊下に放り出してやろうか、それでもお前は男とはばれないぜ」
 とからかいます。
 「ほら、もっと泣け、男のくせに女より女のお前は泣いてる格好が一番似合っとるぞ」
 の声に、
 「いや、いやもう許してください。お願い、なんでも言うことを聞きます。ごめんなさい」
 身をよじらせて、恥も外聞もなく、女らしさを彼に認めてもらおうと私は泣きました。
 年下の彼に辱められ、いじめられていることが、快感のように感じていました。
 その日たまたま私はショーツの代りに生理用ショーツをつけ薄型のナプキンを挟んでいました。

 しくしく泣いている私のピンク色の生理用ショーツには彼も気が付いたようで、さらに辱めをいろいろと与えました。
 最後に一番屈辱的な、
 「あなたのおちんちんをおしゃぶりさせて」
と言わされた私は、前に立った彼のズボンを下ろし彼のものを口に入れました。
 彼にもっと舌を使えとかいろいろと言われるとおりに従い、しまいには顎が外れるかと思うほど疲れましたが、彼がうっと声を放つのと同時に口の中一杯に苦い精液が発射されました。
 こぼすと彼からまた苛められる、と必死で飲み込みました。
            
 その後急に優しくなった彼は私をベッドまで抱いていってくれ、並んで横たわり、彼の腕の中に抱いてくれました。
「もうこれからいじめない?」
「いや、明日からも一日に1回泣かせてやる」
「嫌々、そんなの、工藤のばか」
私は彼の胸の中でいつまでも甘えていました。


出所 「インナーTV」1994年第1号

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女装小説「アルバイト」3

2025年03月30日 | 女装小説
【3】
 2か月近く過ぎ6月になると、私たちのユニホームも夏用になりました。
 なんと私には、衿が赤で、半袖の先に赤のラインがはいった白いシャツと赤のミニキュロットでした。
 男の子達は衿と袖のラインはブルーでした。
 既に私は、アパートからブラ、ショーツ、パンスト、ガードルをつけて出勤するようになっていましたが、更衣室で赤井さんと着替えを終え、ちょっと口紅をつけ姿見に写すと、はっきりとブラのシルエットが写っているのでびっくりしました。
 「だんだん良い女になってきたなあ、トモヨちゃんは」
 とまず所長に冷やかされました。
 このころ同僚達は私のことを原田と言う姓にもじってトモヨと呼ぶようになっていました。
 同僚達からもバストのあたりばかり見られているようで恥ずかしくてたまりませんでした。勿論薄いパットを縫い込んでいるだけなのてペチャパイに近い膨らみですが、それよりもブラが写っていることが恥ずかしいのです。

 そして朝礼が始まり、6月からのサービスキャンペーンの実施の説明が所長からあり、二人ずつペアを組んで常に仕事をすることになりました。
 「工藤君はトモヨちゃんとやってくれ」
所長の声に周りから歓声があがります。
 工藤君は19歳の夜間高校組ですが、私自身どちらかと言うと彼が苦手でした。
 彼は170センチを少し越えた程度のがっちりとした体格であまり冗談も言わず無愛想で私ともほとんど喋ったこともありませんし、荒っぽそうで私の様な者を侮っているような感じがしていました。
 仕事が始まったとき私のほうから、
 「よろしくお願いします」
 と頭を下げました。
 お客さんが来て二人で作業するとき、男の子二人のチームに劣ると言われないよう、私は必死に走り回りました。
 私のほうが年上ですが、当然リーダーは工藤君で彼は平気でお客さんの前で私にいろいろと命じます。
 その都度私は「はい」と返事をしてアシスタントに徹しているつもりでした。
 しかし私たちはキャンペーンの得点は下位でした。

 ―週間程経ったある日、仕事があがって彼に「お先に」
 「ちょっと顔貸せよ」
 と作業場の裏の廃品置場に連れていかれました。
 彼の顔色から不機嫌なことがわかっているので私は不安で脅えていました。
 「さっきからなんだよう、客に女扱いされてちゃらちゃらばっかりしやがって」
 「えっ、そんなことしてませんよ」
 震え声で私は反論しました。
 「なにお、俺は頭にきてんだよう、お前でもチンポついてんだろう、やきいれてやろうか」
 お客さんが私を女の子だと思って、冗談を言ったり、中には電話番号のメモをくれたり、聞かれたりしますが、決して私はそれに乗っかってわざと女っぽくしたり、ましてちゃらちゃらなどしたことはありませんし、そんなことができる自分でもありません。

 でも工藤君は私がいくら弁解しても聞いてくれずかえってますます荒っぽくなり、私のおでこを小突いたりするので、とうとう私は耐え切れなくなってしゃがみ込んで泣き出してしまいました。
 本当に恐いのと、情けないのとが一緒になった気持ちでどうにもなりませんでした。
 着替えて近くの駅で持ってるように言われて、やっと許された私は泣いているのを他の人に見られないようにして更衣室に上がりました。
 自分が悪くないのに悔しいけれど、彼に痛い目にあわされないためには、女らしくするしか無いと思い、赤井さんと一緒の時に買ってロッカーに置いてあった、白にブルーのストライプのはいった長袖のシャツにグレイとブルーの混ざった色のソフトジーンズをつけました。どちらも婦人ものであり、太めの臼のベルトをつけた姿は完全に女性の装いでした。
 泣き顔を洗い化粧もきっちりし、ショートヘアーを整え直すと、自分でも平気で歩けると自信を侍てるほど、どこから見ても女性にしか見えませんでした。

 また事務を執っている赤井さんにも見つからないように事務室の横の非常階段を下り、走って裏道へ抜け、駅へ行きました。
 先に待っていた工藤君は私の姿を見てびっくりしたようでした。
 私の格好を見て思いついたのか、初めからの予定なの
かわかりませんが、彼は私を駅の裏に並んでいるホテル街の方へ連れて行きました。そして今まで来たことがあるように、その中の1軒に入りました。


出所 「インナーTV」1994年第1号

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女装小説「アルバイト」2

2025年03月30日 | 女装小説
【2】
 翌朝、赤井さんからいろいろなショーツ、ブラ、スリッでガードルなど紙袋に一杯の下着を手渡されました。すべて所長のお金で赤井さんが買ってきてくれたそうです。
 更衣室についてきた赤井さんがその中からショーツとブラを一つずつ出して、
 「今日はこれをつけたら?残りは家へ待って帰って、明日からは家から着てきなさい。それからここの更衣室を使っていいからね」
 そして明日からにする、と恥ずかしがる私を許してくれず、彼女の前でパンツまで脱がされブラとショーツをつけさせられました。
 彼女はもうすっかり私を同性扱いしているのか恥ずかしげもなく私の前で、
 「細い足ね、うらやましい。私の半分ぐらいしかない、毛も全然生えてないし」
 とか言います。
 私は身長は162センチですが体重は42キロぐらいで、45キロを越えたことがありません。彼女は背は私より低いですが体重は60キロ近くあると思います。
 その後、彼女とは昼休みや休憩時間でも女同士で一緒にいることが多くいろいろとお互いに話し合いましたが、彼女は高校を卒業してすぐ勤め、現在二十歳で私より年下でした。でも私が消極的だし、女装を彼女から習っていることもあって、彼女のほうが年上のように振舞っているし、自分でも彼女より年下と言うか、彼女に従っている感じが自然でした。
 ジャージのスエットに着替えた私に今度は化粧品のいろいろ入ったポーチをくれ、そこからファウンデーションと口紅を取りだし、
 「私もお化粧はよくできないの。これから二人で練習しよ」
 と言いながら、ちょこちょこと私の順に薄化粧をしてくれ、もともと男にしては長めの髪を整えてくれました。
 私がブラの中にいれたパットのせいで胸がででいるのではないかと気になってジャンパーでそれを隠そうとチャックをあげながら外に出ていくと男の子達がにやにや照れた笑いを浮かべながら挨拶します。
 その後仕事をしていても周りの同僚は、女性に対するように扱うので照れくさいし、特に夜間の工業高校に通っている十代の子にさえ私の方が弱いものと言う感じで扱われることに恥ずかしさを感じました。
 そのくせ暇な時に彼等がタイヤを待ち土ける競争をして遊んでいたりするのに参加できす、横で見ているだけの私に、
 「原田さんもやってみな。お嬢さんの力はどれくらいかな」
 と言われ、女の子らしく尻込みしかできないのでした。
 自然と私は休憩時間や会社の帰りなど、赤井さんといることが多くなりました。
 彼女のアドバイスでパンツやブラウス、シャツなど婦人ものを買うようになりました。


出所 「インナーTV」1994年第1号

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