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一般企業と学校の違い

2010年02月11日 | 教育
 ものを見るとき、個々のものからなる集団であろうと、一つのものであろうと、おおざっぱな見方をするときと、一つ一つであれ、部分部分であれ、事細かに見る見方がある。
 それで、たぶん、「商売」に関わるときは、事細かに見る方が意外に収益が良くなったりする(と思う)。商売というのは、どんな大企業であれ「1+1=2」の世界だからだ。街の小さな本屋に平積みになっているハウツーものの大半がこれに関することだ。「一つ一つ」「事細かに」とは、「誰に対しても何に対しても常にそうだ」である。基本的に「誰に対しても愛想が良くそつがない」が客商売に関わる「ビジネスチャンス」を広げるのだと思う。「事細かに」は「客のニーズに応える」だろう。
 ところが、学校という集団は、この点、大いに異質であろうと思う。「事細かに」「客のニーズに応える」ことで、「教育」はなしえないからだ。わかりやすく言うと、お金を払っている「客」に「嫌なこともさせる」「不快な思いをさせる」のが学校というところである。それで、「集団」として「客」を扱うことで、こうしたことが非常にしやすい環境になる。「あんただけじゃないんだ、他の人もいるだろ、だから、我慢しろ」という劣悪な環境が功を奏するのである。満員電車の不快感に似ているかもしれない。しかし、学校が満員電車と違うのは、烏合の衆でないことだ。だから、不快が立ちこめる中でいかに快適に過ごすかを考えさせ、行動させることになる。この観点においては、「嫌なこと」や「不快感」が軽減されたり、場合によっては、より高い価値さえを生みだす。それで、これを無意識的に企図しているのが学校である。
 ところが、こうした学校だけが持つ特性は理解されない。理由は明白である。他のどんな企業体であっても、こんな理不尽がまかり通る場所がないから、異質である学校は尋常ならざる場所だと判断され、時に、糾弾される。「他の社会がどうなっているか、あんた方は知っているのか。学校は変だ。通常の社会的常識に反するから、改めよ。公務員だから、自分勝手な気楽なことができるんだ」などと。そんな考え方から、教員も一般企業などを経験することが重要である、という判断になるのだろう(と推測する)。
 ふつーの「会社」にとって大事なのは、自分の会社がつぶれないことで、つぶれないという前提があって社会に貢献する、ということだ。我が身を殺してまで、会社をつぶしてまで社会貢献することを考えないだろう。しかし、同様の考え方が学校に入り込むと、自分の学校の生徒、自分の学校の生き残りを考えることが最優先されることになる。
 また、どんな会社だって、持ちつ持たれつ、他の企業との協力のもと、経営を安定させる。長い目で見て利益があるからこそ「おつきあい」で、時に損することがあったとしても、縁を切らずにつきあう。もし、この考え方を学校という公的団体に当てはめると、とんでもないことになる。「○○中学校とのつきあいは長いから、多少、点が悪くても性行が良ければ入れてやっていいよ。もし、悪い生徒を送ってくるのなら、もう、お宅の中学の生徒は引きうけないよ。」という「信頼関係」が生じることになるからだ。しかし、こうした考え方は、通常の一般企業なら、「よくある話」であろうし、「自分の企業の生き残る戦略」としてあまりにも無意識的に当たり前のこととして公的に捉えられることだろう。
 学校が企業などの一般的常識を受け入れるとは、こうしたことも含めなければならくなるということである。
 何であれ、あるものを取り入れるということは、それが併せ持つ利点欠点のすべてを受け取ることである。ところが、当たり前だけれど、こんなこと、受け入れられるはずがない。それなのに、「学校の先生は一般社会常識を知らない」などと負の側面だけが表出される。表裏は一体である。一般企業で「当然とされること」、「良しとされること」が学校では「絶対にダメ」になることがたくさんある。世の中、そんなに何でもかんでも良いことばかりがあるわけがない。学校という社会は、社会から遊離した存在なのである。全く異なる価値観で動く社会である。だから、わざわざ「学校」が存在する。
 
 学校を一般企業と比べてどうのこうのと批判する人は、そのあたりのことをしっかりとご理解していらっしゃるのだろうかとしばしば思う。
 きわめて分かりやすく言うと、一般社会の居酒屋でもバーでもナイトクラブでもどこでもいいけど、オモテとウラが奇妙に入り交じり、意識無意識的な駆け引きと取引が織りなす綾こそがたぶん面白さを際だたせる、きわめて世俗的で人間関係が濃厚に出る時空の論理は学校では通用しないよ、ということである。

 ↑余り推敲してない。

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