答案の出来の良し悪しは「点数」で判断されるが、英語の場合、「やや難関」の大学を目指す生徒の場合、点数ではなく綴りや表現の間違いで、その生徒がきちんと普段から勉強をした生徒かそうでないか、まあ、少なくとも、付け焼き刃の受験勉強で取った点数かどうかわかったりする。
低学年時にサボって「やや難関」の大学を目指す生徒は、それなりに高い?志とプライドと自信を持っていて、1・2年の時に勉強をしたかどうかは受験勉強と関係がないと思っている。高校受験の時に何とかなった成功体験を持つことも多い。(だから低学年のときサボっている。)
こうした生徒の答案に見られる英文の表現にはいくつかの特徴がある。
一つは、big word とでも言うような語を使いたがることである。たとえば、「試験前、彼は良い成績を取ろうと努力した」を'He enveavered to get good grades before the examination.'などと表現する。make an effort/efforts を知らないのである。理由は、単語を覚えるのは受験対策の単語集からで、文章表現から覚えないからだ。だから、高校1・2年、ひょっとしたら、中学の文章表現で出てくる語を正しく使えなかったりする。当時は勉強をサボっていたから、全く覚えがないのである。(熟語集まで手が回らないというのもあるだろうが。)それに、「やや難関」大学の場合、語彙がそれなりに難しかったりするから、問題文を読むための難しめの語彙の暗記が重要になる。だから、意外に高校1・2年のテキストに出てくる語彙を知らない。(「学校の英語は役に立たない」など言う大人はこういう人にも多いのかなと思う。)
あるいは、動詞による表現を好む傾向がある。He made progress. と表現すれば良いものを He progressed. など、名詞と動詞の両方がある語の場合、動詞だけで表現する。日本語は、動詞+副詞で表現するものを、英語では、動詞+形容詞+名詞で表現することが多い。形容詞をいろいろ変えて程度や状態を表すのである。しかし、普段から勉強をしてないと、こうした表現はなかなか習得出来ない。make progress なら、make no progress, made great progress など、形容詞を変えて表現できるが、make と progress の間に語句が入ると、1つのパターンというわけでないからなかなか覚えにくいのである。だから、日本語の発想に近い progressed greatly などと表現する。
上記、たまたま、make を使った熟語が例になったから、「ということは、熟語が大事だということか?」と思われた方がいたかもしれないが、big wordに関してはそういうわけでもない。partを使えば間違いではなかったのに、わざわざportionを使って間違える、とか。partは受験用単語集に書いてないから思いつかないのである。
他の間違いは、中学生、高校1年で出てくる単語の綴りの間違いである。happyをhapy と書いたり、million がmilion になったり、believe が beleive になったりする間違いである。一見「うっかり」ミスである。しかし、この手の間違いは、する生徒は、とにかくさまざまな単語で間違える。注意力が養われてないのだ。こうした易しい単語の間違いがなぜ高校3年まで見過ごされてきたかは、(まあ、指導者の注意力が全く関係ないとは言わないが)その単語が試験に出ない限り、もっと言えば、減点されない限り、気がつかないものだからだ。「わかれば良い」と考えると、また、低学年の試験で記号問題を多用すると、こうした間違いの発見が遅れる。
以上の観点で英作文の答案を見られたら、それぞれの受験生について興味深い知見が得られるかもしれません。このブログの読者で大学受験の英語の答案を採点される先生は、どうぞ、ご参考に。